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日本とアメリカの薬剤師。その役割や年収を徹底比較

2018年12月発表の人気職業ランキングで第7位にランクインするなど(13歳のハローワーク公式サイト調べ)、数ある職業のなかでも高い支持を誇る、薬剤師。厚生労働省の調べによると有資格者は年々増え続け、2016年には30万人を超えました。「医療職に就きたかった」「医薬品に助けられた経験がある」「独占業務資格ならではの就職・転職のしやすさ」など理由はさまざまでしょうが、薬剤師の仕事は日本において、人気のある職業のひとつであるようです。

一方、海外を見渡すとどうでしょうか。例えば、アメリカ。同国で1976年から定期的に行われているギャラップ(世論)調査「誠実度と倫理観の職業比較ランキング(Honesty/Ethics in Professions)」における2018年の結果が昨年12月に公表され、薬剤師は看護師・医師に次いで第3位という結果でした。

業種 2018年 2017年
看護師 84% 82%
医師 67% 65%
薬剤師 66% 62%

参考:「誠実度と倫理観の職業比較ランキング(Honesty/Ethics in Professions)

これは、電話調査で各職業の「誠実度と倫理観に対する評価」を「とても高い、高い」「普通」「低い、とても低い」の3段階で評価していて、看護師は84%、医師は67%、薬剤師は66%の人が「とても高い、高い」と答えています。薬剤師は2017年の62%から信頼感をアップ。看護師には大きく引き離されたものの、医師とは僅差であり、日本と同じく薬剤師に対する評価の高さが分かります。

このように、両国で評価されている薬剤師ですが、日本とアメリカで仕事内容や求められる役割、そして年収に違いはあるのでしょうか。さっそく調べてみました。

日本の薬剤師の仕事とは?

薬剤師法の第1条では薬剤師の任務として「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の控除及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」と定められています。

具体的には、医師の処方箋に基づいた医療用医薬品の調剤および調剤時の服薬指導が薬剤師の代表的な仕事と言えるでしょう。OTC医薬品の販売や相談も当然ながら含まれます。 また2016年4月から始まった「かかりつけ薬剤師・薬局」制度に伴い、「服薬情報の一元的・継続的把握」や「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」といった役割を果たすことが期待されています。

日本の薬剤師の主な業種

日本の薬剤師の業種は、大別すると以下のようになります。

薬局薬剤師

病院や診療所で発行された処方箋をもとに医薬品を調剤する調剤業務、服薬について説明する服薬業務、処方状況や飲み合わせのチェック、患者から見聞きした情報を管理する薬歴管理など、幅広く対応します。また近年は在宅患者への薬学的管理・服薬指導を行う薬局も増加しています。

ドラッグストア薬剤師

ドラッグストアでは、OTC医薬品についての相談・販売が薬剤師に求められる主な役割。そのほか健康食品・サプリメントの選択、化粧品や日用品の販売業務などを行います。また、近年増加している調剤併設型の店舗では、当然ながら調剤も担当します。

病院薬剤師

病院に勤務し、薬の調剤や服薬指導、在庫・品質管理、注射薬や点滴の調整・管理などを担当します。また、入院時の持参薬の把握や入院患者の回診への同行、薬物治療モニタリングや栄養サポートチームでの連携など、医師・看護師・管理栄養士などと協力してチーム医療に携わります。

企業薬剤師

薬局、ドラッグストア、病院以外の企業で働く薬剤師を指します。業種は多岐にわたりますが、主な3種は下記のとおりです。

  • 製薬会社-「研究職・開発職」として医薬品の開発に携わり、その医薬品の人体への有効性や安全性を調べます。
  • 医薬品卸-管理薬剤師として勤務し、医薬品の保管管理を担当します。医療機関からの問い合わせに対応し、適切な情報を提供します。
  • 治験業界- CRAまたはCRCとして勤務。医薬品として国の承認を得るために、人における有効性と安全性を調べる臨床試験に携わります。

行政薬剤師

国、県庁、保健所などに勤務します。薬事監視員として医薬品の品質不良や不正表示などについて指導・取り締まりをしたり、衛生研究所では感染症予防のための調査・研究をしたりすることも。警察や自衛隊で麻薬取締役官や自衛隊薬剤師として働くケースもあります。

ここに挙げたほかにも、教育委員会などから委任され、小中学校や高等学校で学校医や学校歯科医とともに学校保健の仕事に就く学校の薬剤師、アスリートやスポーツ愛好家に対してドーピング防止や薬に関する教育を行うスポーツファーマシストもいます。

アメリカの薬剤師の仕事とは?

多くの人から信頼を集める、アメリカの薬剤師の業務内容もチェックしてみましょう。アメリカ労働統計局が発表している「OCCUPATIONAL OUTLOOK HANDBOOK」(2012年度版)によると、以下のようです。

  • 薬の処方内容と、患者の投薬量に関する医師の指示が適正であるかを確認。
  • 薬の処方内容が、患者が現在服用している別の薬または患者の健康状態にネガティブに作用しないかを確認。
  • 患者に対して、服薬指導をする他、副作用の可能性について説明する。
  • 食生活やエクササイズ、ストレスマネジメントの他、健康上の問題にもっとも効果的な健康器具や健康関連グッズについて患者に助言。
  • インフルエンザの予防接種と、ほとんどの州ではその他の予防接種も実施。
  • 保険証券用紙に記入し保険会社と協力して患者に必要な薬を提供する。
  • 調剤技師(Pharmacy Technicians)と研修中の薬剤師(インターン)の監督。
  • 記録の管理やその他の管理運営上の業務を実施。
  • 他の医療従事者に対して、患者への適正な薬物療法を教育。

勤務先などによって薬剤師に求められる役割は多少異なり、さまざまな活躍の場があるようです。アメリカの薬剤師の業種事例を挙げましょう。

アメリカの薬剤師の主な業種

薬局薬剤師(Community pharmacists)

チェーンのドラッグストアや独立系の薬局などの小売店に勤務。患者に医薬品を提供し、処方箋やOTC医薬品、患者が抱える健康上の心配など、あらゆる質問に答えます。インフルエンザの予防接種の実施など、プライマリ・ケアを提供する場合もあります。

臨床薬剤師(Clinical pharmacists)

病院や診療所、介護施設などで働く薬剤師です。調剤業務も担当しますが、大半の時間は患者の直接ケアに携わり、病院では医師やヘルスケアチームと院内を巡回することもあります。処方する薬の提言、服薬指導・管理、健康診断の実施と患者へのアドバイスも行います。

コンサルタント薬剤師(Consultant pharmacists)

医療施設や保険業者に対して、薬物治療または薬局サービスの向上などについてアドバイスをします。高齢者の処方箋管理などに関しては、患者に直接アドバイスをすることもあるようです。

製薬業界の薬剤師(Pharmaceutical industry pharmacists)

製薬会社などに勤め、マーケティング、営業、リサーチと開発などの領域で活躍します。治験の設計や実施を担当したり、新薬の開発に携わったりすることも。薬の安全規定の制定や、薬の品質管理保証にも携わっています。

アメリカの薬剤師を補佐する「Pharmacy Technicians(テクニシャン)」

さらにアメリカには、薬剤師が患者や医療従事者に処方薬を出すのを補佐する「Pharmacy Technicians(テクニシャン)」という専門職がいます。日本では「調剤技師」「薬局テクニシャン」などと訳されます。
ほとんどの州でテクニシャンは薬を調合でき、リフィル処方が可能かどうかを医師に確認できます。また、自動調剤機も操作できます。
ただし、彼らは薬剤師の監視下で働いており、テクニシャンが処方薬を患者に渡す前に、必ず薬剤師がその内容をチェックしなければいけません。
その他、一般的な仕事内容は次の通りです。

  • 顧客や医療従事者から処方薬を出すために必要な情報を引き出す。
  • 処方箋に必要な薬の量を計測する。
  • 処方薬をパッケージや容器に詰め、ラベルをつける。
  • 在庫管理をして、薬や備品の在庫不足があれば薬剤師に注意喚起する。
  • 処方箋支払いの受付と、保険給付支払手続を処理する。
  • 顧客、患者の情報(過去の処方履歴含む)をデータとしてシステムに入力する。
  • 顧客からの電話対応を行う。
  • 顧客から薬や健康に関して質問がある場合、薬剤師に相談できる機会を調整する。

日本とアメリカの薬剤師/テクニシャンの年収比較

年収 有資格者
日本の薬剤師日本の薬剤師 543.8万円 301,323人
アメリカの薬剤師日本の薬剤師 1,375.7万円 312,500人
アメリカのテクニシャン日本の薬剤師 351.8万円 402,500人

アメリカの薬剤師とテクニシャン年収は2019年2月26日時点$1.00= 110円で換算

なんと、アメリカと日本の薬剤師では年収に倍近い開きがありました。アメリカの人口は約3.2億人、日本は1.2億人に対して、両国の薬剤師の数はほぼ同じ水準。人口当たりの薬剤師数が少ないアメリカでは薬剤師の需要が高くなり、高年収になりやすいのかもしれません。

またアメリカでは、日本の国民皆保険制度と異なり一部の限られた人しか公的な医療保険に加入できません。民間保険は高額かつ、保険の種類によっては手厚い診察を受けることができないアメリカ人にとって、ドラッグストアや薬局に勤める薬剤師は、医師の代わりになるほど頼りになる存在です。
実際、アメリカの薬剤師は医師から委任を受けると処方箋を書くことができる「依存型処方権」を持つなど、日本の薬剤師とは異なる役割も担っています。社会的地位や信頼度が高いのはうなずける話で、それが年収にも影響するのでしょう。薬剤師に比べて補助的役割であるテクニシャンの年収が低くなるのも納得できます。

日本の薬剤師とアメリカの薬剤師の差とは

日本とアメリカの薬剤師、そしてテクニシャンを比べてみていかがでしょうか。大きな違いとして、米国にはアシスト役のテクニシャンがいて、その上位職が薬剤師であるという点。基本的な役割や勤務先ごとの業務内容は近しいところもあれば、米国では薬剤師が予防接種を実施できるなど、日本に比べると大きな裁量が与えられていることが分かります。
薬剤師の裁量という点では、日本の薬剤師においても徐々に拡大していく動きが見られます。
一般名処方による後発医薬品への切り替えが普及しつつありますし、リフィル処方箋の導入についても厚生労働省で議論の俎上にのっています。
しかし、アメリカのように高年収化が進むかと言えば、近年の厳しい診療報酬改定を見る限り難しいと言わざるをえません。
むしろ、「医療費の削減」と「薬剤師数増加」を背景に、年収が下がっていく恐れすらあります。
年収アップを叶えていくためには行政が掲げる「対物業務から対人業務へ」の言葉の通り、「かかりつけ機能」を発揮していくことが大切でしょう。
職場ナビでは薬剤師の年収についての記事や、薬剤師のクチコミ投稿を元にした企業への満足度ランキングの記事を掲載しています。ぜひご覧ください。

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参考
13歳のハローワーク
平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
薬事法
Pharmacists~アメリカにおける薬剤師の実態~
Pharmacy Technicians~アメリカにおける調剤技師の実態~
bureau of labor statistics (アメリカ薬剤師年収)
Bureau of Labor Statistics (テクニシャン年収)
平成29年賃金構造基本統計調査



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