ウエルシア薬局やツルハドラッグをはじめ、ドラッグストア大手企業はコロナ禍でも薬剤師を積極的に採用しており、近年では調剤併設型店舗の展開に力を入れる企業も増えています。比較の際には「大手企業」とまとめられることもありますが、働き方や待遇・制度の面で各社さまざまな違いがあることをご存じでしょうか。
ここでは薬剤師の働く職場、ドラッグストア業界を牽引する売上高上位5社「ウエルシアホールディングス」「ツルハホールディングス」「コスモス薬品」「スギホールディングス」「マツモトキヨシホールディングス」の募集要項から、基本情報や就業コース・教育研修制度を比較し、各社の特色をご紹介します。自身に合った職場を見つける一助としてください。

大手ドラッグストア比較-基本情報

年収/月収/手当

想定年収450万円以上の企業が多い

想定年収・想定月収が最も低いのはスギ薬局の年収469万円（月給29万3,000円）でした。中途薬剤師の場合、経験・能力によって年収が上がるため、下限よりも高い年収を狙っていくこともできるでしょう。また、コスモス薬品では募集要項に入社2年目の想定年収を650万～700万円（月給46万6,200円～月給50万円）と明記しており、他社に比べて高い水準となっています（2021年6月時点）。
手当としては、広域に店舗展開している企業が多いため、転勤手当や単身赴任手当が設けられているケースが多いです。そのほか、ツルハドラッグやスギ薬局の家族手当・子ども手当のように、世帯をもっている薬剤師へ手厚い支援を行っている企業もあります。募集要項には記載されない昇給率や退職金などについては、企業に精通した薬剤師専任のコンサルタントまでご相談ください。

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大手ドラッグストア比較-異動・転勤範囲

出店エリア

広域に店舗展開する企業が多い

大手ドラッグストアは広域に店舗を展開する企業が多く、今回取り上げた5社のなかではスギホールディングス以外の4社は30以上の都道府県に出店しています。 一方、スギホールディングスは創業地である愛知県をはじめ、東京都や大阪府など都市部およびその近郊に出店を集中させています。

異動・転勤範囲

多くの企業で異動の制限・異動なしを選択可能

ウエルシア薬局やコスモス薬品、スギ薬局では、薬剤師のキャリアプラン・ライフプランによって3種類の異動・転勤範囲を選べます。それぞれの特色は以下の通りです。

• ナショナル職…全国転勤がある代わりに年収レンジが高く、家賃補助などの福利厚生が手厚い。昇進・昇格にも有利。
• リージョナル職…転勤範囲が特定のエリア内に限られる代わりに、ナショナル職よりも待遇面は控えめ。
• エリア職…自宅から通勤90分圏内の店舗異動しかない、各種補助やキャリアアップよりもライフプランを重視する人向けの働き方。

また、マツモトキヨシの場合は基本的に全国転勤ありですが、「限定勤務地制度」が設けられているため、実質エリア職のような働き方を選択可能です。

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大手ドラッグストア比較-教育・研修制度

教育・研修制度

各社、マネジメントと医薬品知識の両方をフォロー

教育・研修制度については各社、名称は異なるものの内容が類似している三種類の制度を用意しているケースが多いです。

• 社会人・薬剤師としての基礎を身につける研修
• OTC医薬品、調剤など薬剤師として専門性を高める研修
• 店長、管理薬剤師などマネジメント向けの研修

調剤併設型の店舗をもっている企業の場合、OTC医薬品に関する研修はもちろん、調剤に関する研修やセミナーを設けている企業が一般的です。

特徴的な取り組み

社内認定資格や社費での大学院留学など

スギ薬局では、ファーマシストスーパーバイザーや在宅医療訪問薬剤師などの社内資格を設けており、薬剤師としての専門性を高められるとともに、資格取得により昇格・昇給にもつながります。また、ウエルシア薬局では、筑波大学院や順天堂大学病院と連携しており、がんに関する専門的な研修が受けられるほか、社費で大学院に留学することもできます。
そのほか、マツモトキヨシでは男女共同参画の推進の一環で、女性薬剤師のみを対象とした「チャレンジ薬局長研修」が設けられています。

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大手ドラッグストア比較-子育て支援

育児休暇制度

企業によって取得期間に約2年の差

育休制度については、法令で定められている「1歳になる前日まで」の取得を認めている企業のほか、独自により長い休みを保障している企業もあります。マツモトキヨシでは、2歳になる前日まで、スギ薬局では2歳になった次の4月まで、ウエルシア薬局では3歳になる前日まで休みを取得可能です。つまり、ウエルシア薬局では法令で定められた期間より2年長く育児休暇を取れるため、子育てに集中したい薬剤師にとっては大きな魅力と言えそうです。

子育て期間中の支援制度

子の体調に合わせた柔軟な休暇制度も

産育休期間に取得できる特別な支援制度を設けている企業もあります。マツモトキヨシでは休憩時間の前後に連続して1～3時間の私用外出ができる「フレキシブル育児・介護休憩」を設けています。また、スギ薬局では「配偶者出産特別休暇」を設けており、男性でも出産に合わせて2日間休暇をとることが可能です。

時短勤務制度

マツモトキヨシ、スギ薬局の支援が充実

時短勤務制度については、マツモトキヨシ、スギ薬局の手厚さが目立ちます。両社は、時短勤務制度の取得可能期間が「子どもが小学6年生修了時まで」と他の企業に比べて大幅に長く、子育てと両立して働くことが可能です。

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大手ドラッグストア比較-その他福利厚生

各社様々な福利厚生がありますが、薬剤師として特徴的なものを比較しました。

連続休暇制度

マツモトキヨシでは最大7連休が取得可能

かつては長期休暇が取りにくい印象があったドラッグストア薬剤師ですが、近年は連続休暇がとれる企業が増えています。コスモス薬品、マツモトキヨシ、スギ薬局ではそれぞれ「リフレッシュ休暇」として、連続休暇制度を設けています。なかでも、マツモトキヨシは最大7連休の取得が可能と他社より充実した内容です。

家賃補助、社宅制度

ウエルシア薬局、マツモトキヨシの補助が充実

いずれの企業でも、自宅勤務以外の働き方を選択している薬剤師に対して借上社宅制度やその他支援制度を設けています。なかでも、ウエルシア薬局は実質自己負担なし、マツモトキヨシでは自己負担１万円と手厚い印象です。

社員割引比較(医薬品補助)

マツモトキヨシ、スギ薬局は社割を明記

ドラッグストア大手企業では、多くの会社で社員割引を実施しています。スギ薬局など、医薬品だけでなく、自社のPB商品などを安く買える企業もあります。

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まとめ

年収や働き方、研修制度、福利厚生とさまざまな項目でドラッグストアの大手企業５社を比較しました。
転職先を見つける際、薬剤師として企業理念や経営方針に共感できることはもちろんですが、自身のライフプランやキャリアプランに合った制度が整っているかどうかも大切な視点です。時短勤務や連続休暇制度など、福利厚生面まで理解したうえで転職先を選びましょう。
興味が湧いた企業や、他の企業について詳しく知りたいと思った方は、お気軽に薬キャリエージェントのコンサルタントまでお問い合わせください。「転勤範囲による年収の違い」「OTC業務と調剤業務の割合」「子育て支援や福利厚生の利用実績」など、ご要望に応じて情報を調べた上で希望に沿った企業をご提案します。

薬キャリ職場ナビでは、勤務経験がある先生だからこそわかる、「給与・評価制度」や「仕事のやりがい・教育制度」「女性の活躍・働きやすさ」などのクチコミを募集しています。是非、いまのお勤め先についてのクチコミをお寄せください。

＜参考資料＞

• 【2020年版】ドラッグストア　売上高ランキング
• ウエルシアホールディングス株式会社
• 株式会社ツルハホールディングス
• 株式会社コスモス薬品
• 株式会社マツモトキヨシホールディングス
• スギホールディングス株式会社