ドラッグストア業界で働くうえで知っておきたい最新の売上高ランキング。この記事では、ドラッグストア業界全体の市場規模や上位10社の市場占有率、今後の業界動向についても解説します。新型コロナウイルス感染症によってもたらされていた厳しい制限が緩和され、個人消費が回復し始めた2022年度。感染縮小とともにマスクや消毒液などの衛生用品の需要が落ち着きを見せる一方で、外出機会の増加を受けて化粧品の需要が増加するほか、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要にも回復の兆しが見られています。
それではドラッグストア業界における最新の売上高ランキングをチェックしてみましょう。

2023年版ドラッグストア売上高ランキング表

• ※各社の売上高と店舗数は、下記のセグメントで集計
  • マツモトキヨシ・ココカラカンパニー、サンドラッグ、クリエイトSDホールディングス、…ドラッグストア事業
    その他の企業は単一セグメントのためセグメント分けなし
• ※店舗数は国内のみを集計
• ※ランキングは有価証券報告書提出企業と売上高を公表している企業で作成

【2023年版】ドラッグストア売上高ランキング

売上高1位の座は変わらず、“1兆円企業”のウエルシア

ドラッグストア売上高ランキング2023年版の第1位は、ウエルシアホールディングスでした4年連続の1位獲得となり、ドラッグストア業界においてその地位を盤石なものにしつつあります。
ランキング全体では、上位10社中すべてが増収しました。その要因のひとつとして挙げられるのが、売上高上位各社は調剤併設型店舗を積極的に増やしていることです。コロナ禍が落ち着き受診行動が戻りつつあり、処方箋受付枚数の増加に対応する形で業績を伸ばしました。ここからは、ドラッグストア売上高ランキング上位3社の今年度の業績を見てみましょう。

各企業の説明文下部に「薬剤師クチコミ評価を見る」では、実際に勤務経験のある薬剤師のクチコミを閲覧できます。合わせてご覧ください。

ランキング1位 ウエルシアホールディングス
売上高1兆1,442億7,800万円

ドラッグストアブランド/法人名：ウエルシア薬局 / シミズ薬品 /  丸大サクラヰ薬局 / クスリのマルエ / 株式会社よどや / コクミン / ププレひまわり

ウエルシアホールディングスは前年度に引き続き、出店戦略として「M＆Aを含む新規出店の推進」「調剤併設店の増加」に取り組みました。
2022年６月には株式会社コクミン（162店舗）および株式会社フレンチ（３店舗）を、2022年12月には株式会社ふく薬品（25店舗）を子会社化しました。グループ全体の店舗数は104店舗の純増となり、合計2,763店舗になりました。このうち調剤併設型店舗数は2,019店舗で、前年より180店舗増えて2,000の大台を突破しました。積極的なM＆Aを併設型店舗の拡大が増収に貢献し、売上高は昨年に引き続き1兆円を超えました。

ウエルシア薬局への薬剤師のクチコミ

ランキング2位 ツルハホールディングス
売上高9,700億7900万円

ドラッグストアブランド/法人名：ツルハドラッグ / くすりの福太郎 / レデイ薬局 / ツルハグループドラッグ＆ファーマシー西日本 / 杏林堂薬局 /  ビーアンドディー / ドラッグイレブン

昨年に引き続き、既存エリアのドミナント強化を図ったツルハホールディングス。全国140店舗の新規出店と１店舗の事業譲受、74店舗の閉店を実施し、グループ店舗数は2,589店舗になりました。
調剤併設店の拡大やプライベートブランド「くらしリズム」の売上構成比の上昇戦略などが奏功し、売上高は9,700億円で前年度比105.9％を記録。減収となった昨年から巻き返しに成功しました。

ツルハドラッグへの薬剤師のクチコミ

ランキング3位 マツキヨココカラ＆カンパニー
売上高9,512億4,700万円

ドラッグストアブランド/法人名：マツモトキヨシ （ マツモトキヨシ東日本販売 / マツモトキヨシ甲信越販売 / マツモトキヨシ中四国販売 / マツモトキヨシ九州販売 / マツモトキヨシファーマシーズ / ぱぱす・ 示野薬局 ） / ココカラファイン / 株式会社岩崎宏健堂

2021年10月に旧マツモトキヨシホールディングスと旧ココカラファインの統合により生まれたマツキヨ＆ココカラカンパニー。店舗数は3,409店舗と業界の圧倒的1位を維持しています。国内の顧客獲得に加え、「アジア市場での更なるプレゼンス向上」を戦略テーマにグローバル事業の更なる拡大を重点戦略として設定し、海外店舗展開、越境ＥＣ事業の拡大にも取り組んでいます。

マツモトキヨシへの薬剤師のクチコミ

ランキング4位 コスモス薬品
売上高8,276億9,700万円

ドラッグストアブランド/法人名：コスモス薬品

ランキング5位 スギホールディングス
売上高6,676 億4,700万円

ドラッグストアブランド/法人名：スギ薬局

スギ薬局への薬剤師のクチコミ

売上6位以降の企業の薬剤師クチコミ

2022年度のドラッグストア業界

上位10社の占有率が売上ベースでも店舗数ベースでも7割を突破

日本チェーンドラッグストア協会の調査によると、2022年度の業界市場規模（総売上高）は約8兆7,134億円（対前年度比102.0％）でした。ドラッグストア総店舗数は前年度より359店舗増えて2万2,084店舗。店舗数増加の内容は変わらず、大手チェーンを中心としたM＆Aや新規出店がほとんどです。

業界全体の総店舗数は増加する一方で、総企業数の減少が続く状況も変わっていません。2022年度の総企業数は1社減の381社でした。昨年対比ではほぼ横ばいですが、10年前と比較すると約７割まで企業数は減っています。

売上高ランキング上位10社の市場占有率は売上高ベースで71.4％、店舗数ベースで70.0％でした。大手チェーンによるドラッグストア業界は進んでおり、売上高・店舗数ともに7割の大台を突破しました。

大手チェーンドラッグストアの動向

コロナ禍によって変わった生活様式は、規制緩和がされた今となっても元通りになったわけではありません。ドラッグストア大手各社は積極的にECサイトの運営や調剤併設店でのオンライン服薬指導の体制整備を進めており、DX化は今後も加速していくことが予測されます。

ドラッグストアで働く薬剤師は、従来通り第一類医薬品の販売が重要であることはもちろん、調剤併設型店舗では調剤薬局の薬剤師と同等の調剤スキルが求められます。

「いまの職場で働き続けて、キャリアを伸ばしていけるのか」「漠然と将来が不安…」などキャリアや仕事についてお悩みがある方は、薬キャリエージェントのコンサルタントまでご相談ください。薬剤師専門の転職コンサルタントが、薬剤師一人ひとりのご経験・ご希望に沿った求人をご紹介します。

なお、薬キャリ職場ナビでは、勤務経験がある先生だからこそわかるクチコミを募集しています。給与や評価制度をはじめ、仕事のやりがいや女性の働きやすさなど、ぜひ「生の声」をお聞かせください。

＜参考＞
ウエルシアホールディングス「2023年2月期決算短信」ツルハホールディングス「2023年5月期決算短信」、株式会社マツキヨココカラ＆カンパニー「2023年3月期決算短信」株式会社コスモス薬品「2023年５月期決算短信」、スギホールディングス株式会社「2023年2月期決算短信」、サンドラッグ「2023年3月期決算短信」、株式会社クスリのアオキホールディングス「2023年５月期決算短信」、株式会社クリエイトSDホールディングス「2023年5月期決算短信」、株式会社カワチ薬品「2023年3月期決算短信」、Ｇｅｎｋｙ ＤｒｕｇＳｔｏｒｅｓ株式会社「2023年6月期決算短信」
日本チェーンドラッグストア協会「2023年度版 日本のドラッグストア実態調査（速報版）」