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株式会社スギ薬局 杉浦取締役

薬と薬に関わる周辺の専門家としての活躍

目の前のたった一人のお客様・患者様のために、 場所だけでなく心も近いドラッグストアを目指す── 調剤併設ドラッグストアのトップランナー、スギ薬局のこれからを知る。

広いフィールドを市場とする、スギ薬局の描く未来予想図とは

――本日は宜しくお願い致します。早速ではありますが、御社の市場予測についてお教え下さい。

杉浦 伸哉(すぎうら しんや)
株式会社スギ薬局 取締役 医療営業統括部長 薬剤師

弊社は調剤併設型ドラッグストアとして医薬品、健康食品や日用品の販売を行いながら、処方箋調剤や在宅事業も行っておりますので「薬剤師が働くフィールド」である「OTC」「調剤」「在宅」を弊社の取り巻く市場と定義して、お話ししたいと思います。

まず、OTC医薬品を含めた販売は、弊社の売上の8割以上を占める主力事業です。昨今、インターネットでの一般用医薬品販売が話題になっていますが、弊社は店頭での薬剤師の医薬品販売の仕事は決してなくならないと考えています。なぜなら、薬剤師が店頭でお客様一人ひとりの様子を見ながらコミュニケーションを取り、ご要望や症状を詳しくお聴きして最適な商品をご提案することが、お客様にとても喜ばれ、店舗を訪れて商品をご購入いただく動機となるからです。つまり、スギ薬局の薬剤師がただ処方箋通りに薬をお渡しする「薬の専門家」としてではなく、薬のことはもちろん、生活にかかわる衛生用品や健康のことなど、なんでも相談に応じ、お客様の求める答えを導き出せる「薬と薬にかかわる周辺の専門家」として信頼されることが、インターネットで薬が手に入る時代にあっても、お客様にスギ薬局へ足を運んでいただくための決め手になると考えています。

調剤の側面では、近年医薬分業の伸び率は鈍化してきてはいますが、まだ弊社にとってシェア拡大および市場拡大の余地は残されていると考えています。といいますのも、処方箋をお持ちになる薬局として、門前型薬局ではなく面対応薬局を選ばれる患者様が増えているからです。患者様の生活圏により近く、ワンストップでなんでも揃う豊富な品ぞろえのある面対応薬局の利便性をご評価いただいていることが、弊社の処方箋応需枚数・前年比120%(2012年度)という数字にも表れているのではないでしょうか。医療機関の隣の薬局ではなく、スギ薬局を選んでくださる患者様を今後もさらに増やしていくためには、患者様に利便性のメリットだけをご提供するのではなく、たとえば門前型薬局がこれまで得意としてきた医療機関との情報交換や連携をスギ薬局も積極的に行うなどして、医療提供施設としての質もさらに向上させていかなければならないと考えています。また、高齢化に伴う高度医療の広がりにより、これまで病院が中心に行ってきた、抗がん剤などの無菌調剤を調剤薬局も担うことになると考えています。病院だけで抱えていたこうした医療の領域に参入することも、調剤薬局の新たな市場開拓につながります。この流れに対応するため、スギ薬局では地域の医療機関との連携を深めながら、クリーンルームでの無菌調剤に対応した薬局の展開拡大とそれに伴う従業員の教育も進めています。

最後に在宅医療についてです。弊社のみならず調剤薬局・ドラッグストア業界全体からもいわれているように、日本の高齢者人口は今後も増大し、在宅医療へのニーズはますます増えていくことは間違いありません。そのなかで、在宅医療を必要とするご高齢の方々へ安心に、安全に、そして確実にサービスを提供するための設備や人材の確保や、地域の特徴に応じた店舗での対応など、在宅事業を効率的に運営するための取り組みが重要になってくると弊社は考えています。

スギ薬局のビジョンと新たなる店舗戦略

――「薬剤師が働くフィールド」で、御社が実現したいビジョンをお教えいただけますか。

国の医療政策の方向性や人口構成の変化など、時代とともに弊社を取り巻く環境がいかに変わっても「目の前のたった一人のお客様を大切にする、町のかかりつけ薬局を目指す」という、創業時から変わらないビジョンをさらに具現化し、地域のお客様・患者様の幸せのために貢献してまいりたいと考えています。先ほどお話しした市場予測を踏まえながら、スギ薬局グループの経営理念である

「お客様・患者様の幸せを願い、地域社会に貢献できる会社づくりを目指します」
「社員の幸せを願い、社員とともに成長する会社づくりを目指します」

に基づき、弊社はビジョン実現のための具体的な取り組みを進めてまいります。

――御社のビジョン実現に向けた具体的な戦略・取り組みについてお教え下さい。

スギ薬局では、お客様・患者様の利便性を向上し、地域社会に貢献するための戦略・取り組みを様々な形で実行しています。まず、東名阪エリアにおけるドミナント展開は、弊社の出店戦略の基本です。当面は引き続き同エリアへ集中的に出店し、エリア内ならどこへ行っても近くにスギ薬局があるような状態にすることで利便性を高めるとともに、多くのお客様・患者様にスギ薬局そのものを認知してもらう宣伝効果も見込んでいます。近い距離間に店舗があることで、店舗間での情報交換や従業員の交流を活性化させることも可能です。またドミナント展開は、国の医療政策を反映した戦略でもあります。お客様・患者様が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、急性期から回復期、在宅療養に至るまでの医療を切れ目なく地域で提供する「地域包括ケアシステム」が国を挙げて推進されています。地域包括ケアシステムが推進され、地域の在宅医療に対する需要が高まったときに、地域のお客様・患者様はもちろん、連携する医療機関・介護事業者とも互いに情報共有をしやすい距離に店舗があるドミナント展開が有効に働くのです。

――その他に、お客様・患者様の利便性向上のために実施している取り組みはありますか。

店舗形態についても新たな取り組みを行っています。弊社は調剤併設型ドラッグストアとしてこれまでもお客様・患者様の利便性にお応えしてきましたが、さらなる利便性向上を目指して、現在試験的に「医療施設併設型店舗」の導入を開始しています。これは言葉の通りですがスギ薬局の店舗の隣(もしくは上階)に医療機関を併設したタイプの店舗です。これにより、スギ薬局もこれまで以上に医療機関との緊密な連携関係を構築し、患者様により質の高い調剤をご提供できるようになりました。「面で処方箋を受けながらも門前型薬局でもある」という門前型薬局・面対応薬局、各々の長所を併せ持った新たな店舗形態です。

店舗の形態にとどまらず、品ぞろえに関しても工夫をしています。ご来店いただくお客様に、ワンストップでなんでも揃うメリットをさらに感じていただくため、都心・駅前・郊外などの立地条件に応じて店舗のパターンを分け、商品の取り扱いにそれぞれのニーズを反映しています。

お客様・患者様と心を通わす薬剤師の教育制度

――薬剤師の教育などについては何か戦略的に取り組まれていることはありますか。

薬剤師が日用品や衛生用品、一般用医薬品の相談を受ける際も、服薬支援をする際も、在宅の現場で仕事をする際も、いずれの場面でも最も大切なものは「コミュニケーション能力」だと考えています。特に在宅医療を推進する際は、地域包括支援センターや医療・介護事業者など社外の関係者との緊密な関係を構築する必要があり、それにはコミュニケーション能力が不可欠となります。弊社では、薬剤師の業務習熟度にあわせて「OTC」「調剤」「在宅」各業務に対して初級・中級・上級の研修を用意し、社員全員に履修させる「等級制セミナー」を設置しております。その中に「OTC」「調剤」「在宅」の各業務における「コミュニケーション能力」を伸ばすことにフォーカスしたロールプレイング研修も含まれております。他にもお客様・患者様の喜びを自分の喜びと感じられるようなメンタリティーの教育も行っています。また、「薬と薬にかかわる周辺の専門家」として薬剤師の職能を向上させていくため、等級制セミナー上級のさらに上のレベルに「アドバンス」の設置を検討しており、薬剤師の使命や職能について考え、仕事の中の具体的な取り組みに落とし込むというプログラムを組んでいっております。

――等級制セミナーにおけるコミュニケーション能力の育成は、等級別にどのような違いがありますか。

たとえば初級では、店頭でお客様・患者様の訴えにきちんと耳を傾け、それを理解することを目指しています。中級では伺った内容に基づいた適切なアドバイスができること、上級ではさらに発展して訴えの内容をより深く聞き出すようなやりとりを重ねる能力を身に付けることを目指しています。具体的には、患者様の症状はもちろん、それに関連するお悩みやお困りのことも聞き出し、最適なアドバイスや情報提供を行えるようにすることを到達目標としています。

繰り返しになりますが、薬剤師のコミュニケーション能力は、今後弊社が在宅事業を推進していくうえでもきわめて重要になってくると考えています。現在の在宅医療の現場では、薬剤師が必要とされていないといっても過言ではない状況が生じつつあります。というのも、非常に残念なことですが、在宅医療において薬剤師の仕事は「薬を届けてそれを間違いなく飲んでもらう」ことだけであると医療・介護関係者からも患者様からも思われてしまっているからです。「薬を届けて飲ませるだけなら、看護師や介護士にもできるから、薬剤師はいらない」というイメージをまずは覆さないといけません。より患者様の立場に寄り添って、薬をお届けするだけでなく薬について詳しく説明し、さらには健康上の悩みや薬についての相談にも応じることが必要になるでしょう。患者様に投与する薬やその取扱いについて、医師や看護師、介護士が求めている情報を適切に提供・共有することも、薬剤師が在宅で果たすべき役割としなければなりません。薬剤師は「薬と薬にかかわる周辺の専門家」として、現場でのコミュニケーションを通して在宅医療の現場でも存在感を示していかなければならないのです。

――等級制セミナーによって薬剤師のコミュニケーション能力が向上し、それが実際に仕事で発揮されたときに評価をする仕組みはありますか。

はい。教育面でコミュニケーション能力の開発を重視すると同時に、評価についても、お客様や患者様とのコミュニケーションをきちんと評価する仕組みを整えています。スギ薬局では、業績上の評価と行動上の評価の調和のとれた評価基準を採用しています。薬剤師のお客様・患者様の喜びのために行った行動が、たとえ売上などの業績の数字上には現れなくても「お客様・患者様への行為」として評価されるようになります。店舗でお客様・患者様の親身になって接遇する姿勢、あるいは在宅医療の現場で患者様はもちろん医療・介護関係者との意思疎通にも力を注ぎ、より質の高いサービス提供に貢献する姿勢を奨励し、それを評価対象とします。

「お客様・患者様のために」スギ薬局の未来のために必要な薬剤師の資質

――ドミナント展開をベースとした店舗戦略、コミュニケーション能力向上を主軸とした薬剤師の教育制度、数字と行為をバランスよく評価する評価制度などが、御社のこれからの取り組みの礎となっていることがわかりました。これまでのお話を踏まえまして、ともにビジョンを実現する仲間として迎え入れたい薬剤師はどのような方でしょうか。

なにより「お客様・患者様の幸せを願う」という、弊社の理念にもある考え方に共感、理解を示してくれる方です。お客様・患者様の幸せや喜びを自分のことのように感じ、そのためにさらに努力・成長しようとする意欲があることは、スギ薬局で働く薬剤師として持つべき大切な資質です。

また、「経済感覚」と「倫理感覚」を併せ持つ方でもあってほしいです。今の自分の働きが、会社から支払われている対価にふさわしいかどうかを客観的に考えられる経済感覚と、今の自分の仕事ぶりが薬剤師に対する国や社会からの期待に応えられているのか、また目の前のお客様・患者様の求めていることに応えられているのかを考えられる倫理感覚。これらを併せ持ち、つねに自分を律しながら仕事ができることも、薬剤師がひとりの医療人としても企業の一員としても成長するために重要なことであると弊社は考えています。

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