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調剤薬局薬剤師の業務内容と年収

調剤薬局薬剤師の業務内容と年収

薬剤師としての働き方のメインストリームであり、約5割が働く調剤薬局。調剤薬局に勤務する薬剤師は来局した患者の薬物治療や、在宅医療の対応として患者の自宅や介護施設へ訪問して在宅患者の薬物治療をサポートしています。
この記事では、調剤薬局の業務内容や平均年収、やりがいなどについてご紹介します。

調剤薬局薬剤師の業務内容

調剤薬局の薬剤師の主な業務は「調剤業務」、「服薬指導」と「薬歴管理」です。これはどの薬局でも共通する業務ですが、「調剤業務」で使用する機器・過誤を減らすためのチェック体制や、頻繁に取り扱う薬などはさまざまです。たとえば、大手企業ではICTを用いた監査システムを導入している企業が増えていますが、中小規模の企業や個人経営の薬局では昔ながらの目視によるチェックを続けているところもあります。また取り扱う薬については、総合病院門前の薬局ではハイリスク薬に触れる機会が比較的多いなど、近隣の病院・クリニックによって影響を受けます。

調剤業務

調剤業務とは、医師が出した処方箋をもとに薬を調剤することです。医薬品を調合することに加え、調剤薬の監査も重要な仕事です。監査すべき主な項目は次の通りです。

  • 処方箋に記載されている内容が正しいか
  • 医薬品を入れる袋に記載されている内容は処方箋に記載されている通りか
  • 医薬品の種類・数量は処方箋に記載されている通りか
  • 患者に手渡す際に添付する説明文書の内容は正しいか
  • 疑義照会が行われた場合は、その内容の確認

また、複数の薬を処方する場合には相互作用について確認するほか、医師の指示や患者の希望があった場合は、服用する時間ごとに薬をまとめる「一包化」を行います。

服薬指導

服薬指導とは、患者に薬を受け渡す際に効能や服用方法について説明することです。服薬指導は薬剤師法で義務として定められている業務であり、必ず行わなければなりません。服薬指導の内容は主に以下の通りです。

  • 処方薬の薬効
  • 副作用について
  • 注意すべき飲み合わせ・食べ合わせについて
  • 服薬の方法について
  • 服薬の意義について
  • 薬の保管方法、残薬について など

服薬指導は薬剤師が一方的に薬の説明をするだけではなく、患者が薬や疾患に対して抱える悩みを聞き出す貴重な機会でもあります。患者の不安を和らげるのはもちろん、患者とのコミュニケーションで得た情報を必要に応じて、連携する医療機関に共有することも薬剤師の大事な役割です。
また、近年は在宅医療での訪問服薬指導や、オンライン服薬指導に取り組む薬局も増えてきました。薬剤師の服薬指導の場は、薬局のカウンターでの対面指導だけなく、さまざまな広がりを見せています。

薬歴管理

薬歴管理とは、患者の服用履歴の管理のことです。薬歴は、薬剤師がその処方を監査し患者の状況を評価した証明書であり、次回の調剤や処方提案に向けた効果や副作用を把握するための資料でもあります。薬歴は「最終の記入の日から起算して3年間保存する」ことが定められています。

調剤薬局薬剤師のやりがい

調剤薬局薬剤師は患者にとって、薬に関する悩みや体調の不安を相談できる存在です。「かかりつけ薬剤師」として患者からの信頼を得ることは大きなやりがいとなるでしょう。

また、服薬指導等で得た薬の悩みや有害事象を情報提供書などに記載し、関係する医療従事者に共有することも薬剤師ならではの仕事。
さらに、調剤薬局の役割は患者の薬物治療に貢献する場であるだけなく、まだ病気になっていない人が気軽に相談できる「地域医療の健康窓口」でもあります。
病気を未然に防ぐことは他の医療従事者は手の届かない領域であり、薬剤師だからこそできる仕事と言えます。在宅の現場では、患者自身の利益はもちろん患者の情報や薬に対する知識を共有することで医師や訪問看護師、ケアマネジャーなど他職種に信頼される薬剤師になるのもまたやりがいのひとつです。

調剤薬局薬剤師の平均年収と満足度

職場ナビでは、調剤薬局で働く薬剤師に向けて年収に関するアンケートを実施しました。
ここからはアンケート結果を参考に、調剤薬局で働く薬剤師の年収や賞与、残業時間や満足度などをご紹介します。

※実施期間:2020年12月~2021年1月、対象:調剤薬局勤務の薬剤師(正社員※管理職含む)、平均年齢:46歳、回答数:81(男性48、女性33)

調剤薬局薬剤師の平均年収

調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は624万円でした。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば薬剤師全体の平均年収は561.7万円なので、約60万円全体平均を上回る結果となりました。年代別の平均年収は次の通り。20代の平均年収は500万円代、30代では600万円を超え、経験を積むにつれ年収が上がることが想定されます。40代、50代になる20代-30代程の上がり幅はありません。キャリアが頭打ちになりそれが年収にも反映されるようです。60代になると契約や嘱託社員への切り替えが行われます。平均年収も50代に比べ低下します。

年代 平均年収
20代 ¥5,033,333
30代 ¥6,256,522
40代 ¥6,224,545
50代 ¥6,495,238
60代 ¥6,120,833
全世代平均 ¥6,244,321

ただし、今回のアンケートでは個人薬局をはじめ管理薬剤師・薬局長などの管理職・社長が含まれているため、平均年収が高額に出ていることが推測されます。
なお、それぞれの年収帯の割合は下のグラフの通り。551~600万円が19%と最も大きな割合を占めました。

調剤薬局薬剤師の年収

調剤薬局薬剤師の年収額比率の図

調剤薬局薬剤師の賞与

次に調剤薬局薬剤師の賞与についても見てみましょう。
賞与については、「月給1ヶ月分程度」が37%「月給2ヶ月分程度」35%と年間の賞与額は2ヶ月以下の薬剤師が70%以上であることがわかりました。

厚生労働省の調査によると令和元年の全産業平均の年間賞与は月給2.8ヶ月分程度。調剤薬局薬剤師の賞与額の割合は、全産業平均を下回る人が多いと言えそうです。

※全産業の賞与は月給約27万円、年間賞与約76万円から算出(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より)

調剤薬局薬剤師の賞与

調剤薬局薬剤師の賞与額比率の図

調剤薬剤師の残業時間

次に調剤薬局薬剤師の残業時間について見てみましょう。
下のグラフの通り、1カ月当たりの残業時間は「5時間未満」「5時間以上10時間未満」のふたつで62%を占めています。また、「40時間以上50時間未満」以上の残業は全体の4%と、時間外労働の上限規制45時間を超える企業は限られています。
なお、厚生労働省の調査によれば令和元年の全産業の平均残業時間は10.6時間です。調剤薬局業界は冬場などの繁忙期は残業時間が延びる傾向があるものの、総じて残業時間は長くないと言えそうです。

調剤薬局薬剤師の残業時間

調剤薬局薬剤師の残業時間比率の図

調剤薬局薬剤師の年収満足度

実際に現場で働く薬剤師は自身の年収をどのように評価しているのでしょうか。
年収の満足度を質問したところ、「大変満足」「満足」が合わせて35%、「大いに不満」「不満」が合わせて38%、「どちらでもない」が28%と、満足・不満の割合は同等程度。

調剤薬局薬剤師の年収満足度

調剤薬局薬剤師の年収への満足度比率の図

満足、不満の理由は下記の通りです。
満足の理由としては、「管理職にならなくても生活に余裕がある」「残業が少ない」などの意見が多い一方、不満の理由では「業務の忙しさが年収に見合っていない」「残業が多い」といった意見が目立ちました。年収の満足度は、得ている金額だけでなく残業時間の長さや、業務の忙しさ・責任の重さによって左右されることがわかります。

年収に満足と感じている薬剤師の理由

  • セカンドキャリアとして十分な年収(50代男性 転職回数1回)
  • ボーナスの他業績に応じて決算賞与が出る所(30代男性 転職回数2回)
  • 管理職でもないのに、高給で雇用して頂いているので。(50代女性 転職回数1回)
  • 管理薬剤師ではなく、一般薬剤師にしてはそこそこ貰えていると思うため(30代男性 転職回数1回)
  • 業務量に対して妥当(30代男性 転職回数2回)
  • 残業が少ない(40代男性 転職回数6回以上)
  • 残業多いけど家から近いから通いやすい(30代男性 転職回数1回)
  • 住まいから近く、年収が確保されているから(60代男性 転職回数5回)
  • 生活に困らなく貯蓄できるから(30代男性 転職回数1回)
  • 職能給の感じで、減給されることがない。(50代男性 転職回数1回)
  • 年齢を考えると優遇されていると思う。(60代女性 転職回数6回以上)
  • 役職がついておりかなり高額だと思う。休日に呼び出されることもあるが自分の休みも交代勤務などで比較的取りやすい(50代女性 転職回数2回)

年収に不満と感じている薬剤師の理由

  • 10年以上変わっていない(40代女性 転職回数3回)
  • 年目はボーナスがほとんど出ない(50代女性 転職回数2回)
  • ハローワークに載っていた収入から70万円低く提示された。(30代男性 転職回数1回)・以前に比べてかなり減ったから(60代男性 転職回数6回以上)
  • 営業利益率が高い割に年収が低いため(20代男性 転職回数1回)
  • 管理薬剤師の割に合わない(60代男性 転職回数0回)
  • 基本給がかなり安く残業代のウエイト(50代女性 転職回数1回)
  • 景気がよくないため(コロナ禍の為)、しぶしぶ働いている状態(50代男性 転職回数3回)
  • 月によって残業、休日出勤の時間単位での給与に変動があるため また、勤務する薬局によって差を感じるため(30代女性 転職回数2回)
  • 採用後、半年で異動となり、同時に管理薬剤師に昇格したが、手当が安い。 転職時は、ブランクがあったので、管薬をやるとは思っておらず、手当を確認していなかった。 (50代女性 転職回数4回)
  • 残業時間を合わせると時給が2000円以下になってしまってパートで働いていた方がいい。(40代男性 転職回数3回)
  • 仕事量に対して給料が安い(30代男性 転職回数3回)

まとめ

調剤薬局薬剤師は、外来・通院患者の治療に貢献できる、地域医療の大事な担い手の一人です。
近年は対物業務から対人業務への転換が進むことで薬剤師に求められる役割は広がっており、そのやりがいはさらに増していると言えるでしょう。
年収面でも生活に十分な金額であり、残業時間が長いこともないためワークライフバランスを保つことができます。もちろん、年収や忙しさは企業・店舗によって異なるため、転職先を選ぶ際は情報収集が非常に重要です。
業界・企業研究やキャリアプランの相談は薬キャリエージェントの転職コンサルタントまでお問い合わせください。

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