薬剤師の年収は、性別や年齢、役職、企業規模によって変わります。また、薬剤師が充足している都市部と不足している郊外を比べても大きな差が生まれています。薬剤師の平均年収が他の職種と比較して多いか少ないか、これから薬剤師の年収がどう推移していくかも気になりますよね。今回薬キャリでは、様々な角度から薬剤師の年収について紹介していきます。
薬剤師の平成29年の平均年収は544万円。全職種の2017年(平成29年)の平均年収414万円を大幅に上回っています。ここから、薬剤師の年収推移を、企業規模(従業員数)、性別に見てみましょう。
1000人以上 | 100人以上 | 10人以上 | 全体 | |
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平成25年 | 545 | 483 | 588 | 533 |
平成26年 | 516 | 494 | 610 | 531 |
平成27年 | 502 | 502 | 612 | 533 |
平成28年 | 491 | 503 | 592 | 515 |
平成29年 | 528 | 538 | 575 | 544 |
1000人以上 | 100人以上 | 10人以上 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
平成25年 | 573 | 496 | 587 | 554 |
平成26年 | 565 | 554 | 646 | 582 |
平成27年 | 531 | 548 | 700 | 596 |
平成28年 | 532 | 532 | 641 | 554 |
平成29年 | 568 | 558 | 613 | 575 |
1000人以上 | 100人以上 | 10人以上 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
平成25年 | 516 | 471 | 554 | 508 |
平成26年 | 495 | 476 | 533 | 496 |
平成27年 | 476 | 498 | 540 | 501 |
平成28年 | 478 | 485 | 539 | 490 |
平成29年 | 504 | 525 | 558 | 526 |
事業所の規模によって年収に差があります。従業員数が多い企業では店舗拡大のために新卒薬剤師を定期採用している結果、若手従業員の割合が高くなり平均年収が低くなっています。一方、従業員数の少ない企業は即戦力となる中途薬剤師の採用比率が高くなり、平均年収も高くなる傾向になっています。地域による平均年収に違いについては<都道府県別・薬剤師の平均年収> をご覧ください。
年齢 | 男性 | 女性 | 全体 |
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20-24 | 351 | 360 | 355 |
25-29 | 466 | 476 | 471 |
30-34 | 576 | 495 | 535 |
35-39 | 658 | 538 | 598 |
40-44 | 725 | 557 | 641 |
45-49 | 683 | 588 | 636 |
50-54 | 664 | 593 | 629 |
55-59 | 585 | 616 | 601 |
60-64 | 605 | 605 | 605 |
65-69 | 506 | 507 | 507 |
また、薬剤師は他職種と比べて比較的男女の平均年収の差が小さいと言われています。薬剤師の男女比は4:6で女性が多く、女性が働きやすい環境が整っている傾向にあります。また、結婚や出産、育児などで一旦は職場を離れたとしても薬剤師資格は無くならないため、復帰が比較的しやすいことも年収が下がりにくい要因です。詳しく知りたい方は<男女別、年代と経験年数で比較する薬剤師の平均年収> をご覧ください。
男女の平均年収の差は、一番開きのある年代でも40代前半の170万円程度。これは男性が管理職になり賃金がピークに達する時期であり、一方女性は育児を終えて職場復帰に差し掛かる時期と重なるためでしょう。また、薬剤師は女性が管理職に就く割合が他業種に比べて高く、40代以降でも年収は上がる傾向にあります。その結果40代後半以降では男女での年収差は少なくなっています。
(参照・男女共同参画白書(概要版) 平成29年版―就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合 ・平成29年度雇用均等基本調査(確報)―企業調査 図11-産業別女性管理職割合)
※参照:厚生労働省「平成29年度賃金構造基本統計調査」
※年収の算出方法は以下の通り。なお、年収は万円未満を四捨五入。
年収=「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」
病院、調剤薬局、ドラッグストアや製薬会社といった各業界の中でも、役職によって薬剤師の年収は異なります。以下は企業規模別の、薬局長と薬剤師の平均年齢・平均年収です。
従業員500人〜 | 従業員100〜500人 | 従業員50〜100人 | ||||
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平均年齢(歳) | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 平均年収(万円) | |
薬局長 | 50.3 | 639 | 50.5 | 587 | 49.9 | 584 |
薬剤師 | 35.4 | 458 | 40.6 | 439 | 46.0 | 520 |
企業規模により差が見られ、薬局長は580~640万円程度、一般薬剤師は440~520万円程度となっています。管理職である薬局長は、大規模な企業の方が年収が高い傾向が見られます。一方一般薬剤師については、平均年齢が低いこともあり大規模企業の方が低くなっています。
※参照:人事院「平成30年職種別民間給与実態調査の結果」から算出
高齢化が急速に進行中であり、医療や介護の需要もますます拡大していくことが予想されます。現在、国は増加する社会保障負担を抑えるために医療費を削減する方針です。地域包括ケアシステムの構築を推進しており、医療の現場を病院から在宅へシフトすることが、医療機関に求められています。
在宅医療の拡大により、かかりつけ薬剤師としての役割や、チーム医療における他職種連携の重要性も増します。薬剤師の業務が「対物から対人へ」と掲げられているように、従来の調剤業務に加えて、服薬指導や服薬情報の一元管理、医師や看護師との連携がいっそう求められていきます。今後はそういった分野に貢献できる薬剤師のニーズが高まっていくでしょう。
これから5年、10年先も安定して年収アップを期待できる薬剤師とは、国のニーズに対応できるスキル、経験をもった薬剤師といっても過言ではありません。
薬剤師としてのキャリアプランを考える際にもぜひ参考にしてください。