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株式会社アイセイ薬局 藤井取締役

薬局の役目は、街の医療を「つなぐ」こと

医薬連携を推進し、患者様に対して最適な医療を提供するアイセイ薬局の戦略とは 調剤の現場だけでは終わらないフィールドがここにある。

激変する医療環境・加速する業界再編の中でアイセイ薬局の見据えた薬局の姿とは

――高齢人口の増加に伴う医療費の増大に対して、医療財源が不足する中で国は医療費の削減に向けた医療政策をとっています。その影響を受けて調剤薬局の利益が圧迫され、更にはドラッグストアをはじめとする他業種の調剤事業参入など調剤薬局業界にとっては厳しい環境になっています。そのような中、御社が永続的に発展していくためのビジョンをお聞かせ下さい。

藤井 江美(ふじい えみ)
株式会社アイセイ薬局 取締役
薬剤師 人材本部 本部長

私たちアイセイ薬局は、トータルヘルスケアの窓口としての調剤薬局運営を推進し、地域社会における医療・介護環境を向上していきたいと考えています。このビジョンの理想形は、私たちの運営する調剤薬局を中心として、多岐に渡る診療科や介護施設が一体となり、一つの地域の中で予防医療から治療、在宅医療など、地域の方々に全方位的なヘルスケアサービスを提供できている状態です。このビジョンを実現するためには医薬連携、つまり、調剤薬局の薬剤師と医療機関の医師が密に連携を取りながら、地域の方々に医療サービスを提供していくことが重要と考えています。

予防という観点においても私たちは、患者様の状態を正しく見極め、状態に即した適切なご提案をすることが最も重要であると考えています。患者様の状態を正しく見極めたうえで、必要な際は適切な医療機関での受診を勧めることも重要です。医療機関での受診勧奨をするためには、普段からの医師とのコミュニケーションが欠かせません。私たちは薬剤師という立場から、医師を含めた地域の医療関係者を巻き込み、地域の方々に最適な医療を提供していきたいと考えています。

地域の患者様と医療を結ぶ「スマートファーマシープロジェクト」

――薬局をトータルヘルスケアの窓口にするという御社のビジョンを実現するための戦略や具体的な取り組みについて教えてください。

現在、アイセイ薬局では「スマートファーマシープロジェクト」と題しまして、当社の全ての薬局・薬剤師が、患者様一人ひとりに対してきめ細やかなケアを提供し、地域のかかりつけ薬局として信頼される存在となるための様々な取り組みを実施しています。このプロジェクトは、アイセイ薬局がヘルスケアパートナーとして、地域の患者様や住民と向き合い、また、患者様と医師をつなぐコンタクト機会を提供するなどの地域への情報発信を積極的に行うことによって、地域医療の拠点となり、患者様と医療を結ぶ懸け橋となることを目的としています。地域の患者様や住民と向き合う取り組みとしては、服薬管理を一元化することによるメリットを啓発し、患者様それぞれに最適な薬物治療をサポートする「My薬局キャンペーン」を推進しています。これにより、アイセイ薬局が患者様一人ひとりのかかりつけ薬局として、薬物治療の履歴や経過をより正確に把握できるようになり、患者様に対するより安心・安全な投薬や、医師とのより緊密な情報交換が実現できると期待しています。

また、患者様が医師や薬剤師をもっと身近に感じていただく機会を医師と協力をしながら各店舗が作っています。例えば、医師をはじめとして様々なゲストを迎え「からだ・病気・健康」について学んでいく「からだゼミナ~ル」、小学生が医師と薬剤師の両方を職業体験できる「こども薬局」、血圧・血流・骨健康度・肌年齢をチェックし、健康維持のアドバイス・お薬のご相談をお受けしたり、普段はご覧になれない調剤室も見学いただく「健康チェック&相談会」などを実施しています。更に、弊社独自の研修・生涯学習プログラム「愛誠学園」を設け、薬剤師がどのようなキャリアの段階においても医療人として・企業人としてのスキル・知識を高め続けることができ、アイセイ薬局で働く薬剤師のレベルをさらに高めてまいります。

――薬局の出店についてはどのような戦略をお持ちでしょうか。

冒頭でお話がありましたように、ただ単に出店するだけで収益が上げられていた時代は終わりを迎えつつあることから、当社では出店戦略も「スマートファーマシープロジェクト」と同様に、非常に重要視しています。出店を進めるにあたり、私たちは3つの新店開発の手段を実行しています。

一つ目は、医薬分業率が高い地域での医療モール開発による出店です。一都三県における医薬分業率は、平均で73.8%まで達しており、分業化に伴う出店余地はなくなりつつあります。そこで、当社では首都圏における店舗開発は、医薬分業に伴うマンツーマン型の出店よりも医療モール型の出店に注力をしております。医療モール型の店舗が患者様へ提供できる価値としては、総合病院のように1箇所で複数の診療科目を受診できる利便性が挙げられます。また、複数の医療機関で受診をする患者様にとって、医療モール型の薬局が、服薬履歴を集中して管理することによって、薬剤師がそれぞれの医療機関から処方されたお薬の重複や飲み合わせをチェックしたり、副作用をいち早く発見したりすることが可能となります。

二つ目は、医薬分業に伴うマンツーマン型の出店です。関西地方と東海地方の一部は、医薬分業の後進地域であり、個人開業医との連携を強化し出店するマンツーマン型の出店を推進しています。私たちは創業当時から医薬分業・院外処方の拡大を見据え、各地域の診療所の医薬分業のサポートをしてきました。マンツーマン型の店舗は医師との距離が近いため、医師の処方意図を理解し、よく使用する薬剤を知ることなどもできます。マンツーマン型の店舗が患者様へ提供できる価値としては、患者様になぜこの薬が出るのかをより詳しく説明できることや、薬剤備蓄不足で迷惑かけることがなく、安心して薬局を利用していただけることです。

三つ目は他社からの店舗・事業譲受による規模の拡大です。当社は新規出店により、規模を拡大する一方で、調剤薬局店舗の譲受も成長戦略の大きな要として位置付けています。他社からの店舗・事業譲受は、既に安定的に収益を上げている薬局が当社グループに参画をするため、新規出店に比べて売上高への貢献がすぐに期待できます。医療費削減要求が進む中、スケールメリットが打ち出せない小規模薬局、あるいは個人経営の調剤薬局は、薬価の引き下げに対して仕入れ価格の引き下げが追い付かず、薬価差益減により利益の確保に苦心していくものと推察されます。また、後継ぎ不足の課題を抱える薬局も今後は増えていくでしょう。このような会社と当社が一つとなり、スケールメリットを活かした値引き率を適用することで、仕入れコストを削減することが可能です。また、仕入れコストだけでなく、管理コストの削減や、当社の充実した研修制度の実施によるサービス向上など様々な面での良い効果が期待できます。各会社にはそれまで、社長が培われてきた志向性や想いが詰まっていると思います。ですから、事業譲受という形で新たに当社の社員となった方が引き続き気持ちよく働けるよう、その会社の志や想いを尊重しながらも当社の社長の考えや方針をしっかりとお伝えしています。店長には店長会議で常に社長の方針・当社の考え方をお伝えし、一般薬剤師に対しては研修の場や、エリアマネージャーが店舗を回り、日々の語りがけ、現場での声掛けをすることにより、当社の考えの浸透も大切にしています。

地域医療の拠点として、アイセイ薬局のさらなる発展のために求める薬剤師像とは

――「スマートファーマシープロジェクト」により薬局の機能をさらに高め、綿密な出店戦略によりそれぞれのエリアの需要に対応する。調剤薬局業界の次なる時代に向けた御社の戦略がとてもよくわかりました。では、こうした戦略を推進するため御社にとって不可欠な薬剤師像をお教え下さい。

関係者と適切なコミュニケーションを取ることができ、調剤プラスアルファの価値を患者様に提供できる方ですね。これからの薬剤師は、調剤室の中で処方箋がくるのを待っているだけではいけません。これからは、患者様が自分に何を価値として求めているかを考えることのできる人材が必要です。薬局で働く薬剤師はカルテを見るわけではないため、患者様の正確な病状は患者様、もしくは医師に聞くことでしか知ることはできません。医療モール・マンツーマンという店舗形態のような比較的医師との距離が近い当社の薬局であっても患者様について知ることのできる情報には限界があります。カルテが見られないからこそ、医師や患者様とのコミュニケーションが重要になります。薬局薬剤師として患者様の表情を観察し、コミュニケーションで自覚症状をくみ取り、何を求められているのかを判断する力が求められます。医師との普段からのコミュニケーション、患者様とのコミュニケーション、働く仲間とのコミュニケーションの重要性を普段から強く意識していただける方を歓迎します。

また、薬局の中の業務に限らず、自身の仕事の幅を広げることのできる方も歓迎です。薬剤師としての専門的なスキルを高める様々な研修制度はもちろんのこと、薬剤師としての職域を広げるために、様々な働くフィールドを提供できるのも当社の魅力のひとつです。「スマートファーマシープロジェクト」の施策のひとつとして先ほどお話したように、当社には働く薬剤師一人ひとりの能力を伸ばし、あるいは新たな適性を見出すための研修・生涯学習のシステムとして「愛誠学園」があります。愛誠学園では、社会人としての基本的なビジネスマナー研修から組織を運営するマネージャーのスキルアップ研修はもちろん、薬剤師としての基本的な知識や能力を育成する講座や、患者様の健康管理のために知っておきたい薬膳料理や漢方のセミナーなど、アイセイ薬局の薬剤師が医療人・企業人としての活躍の幅を広げるプログラムを用意しています。薬局勤務から始まり、店舗責任者、医療モール開発担当、薬局をエリア単位で統括するマネージャー、本部の販売促進や業務効率化を推進する営業推進担当など、スキルと経験等にあわせて活躍のフィールドはどんどん広がっていきます。「会社の成長とともに自分も成長する」こんな思いを持った医療人としての次世代プレイヤーとお会いできることを楽しみにしています。