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株式会社エスマイル 武田取締役

先を見据えた薬局・薬剤師としての「新化」

ひとびとの良きパートナーとしてあり続けるために、 中国地方で「新化」を続けるエスマイル── その先に見据える薬局・薬剤師の姿とは。

調剤薬局の機能のひろがりを模索し、調剤薬局ならではの強みを伸ばすこと

――本日は宜しくお願い致します。早速ですが、御社の考える市場動向や展望をお教えいただけますでしょうか。

武田 努(たけだ つとむ)
株式会社エスマイル 取締役
人事部 部長

今後も高齢者人口は増加していくことになりますが、調剤市場の規模もそれにともなって大きくなるとは限りません。増加する医療費を抑制しようとする国の医療政策の方針により、調剤単価も抑えられることになるでしょう。このことから、ただ処方箋を応需して薬を提供することだけでは薬局の価値が下がってしまい、調剤薬局の存在意義が薄れていくと予想されます。従って、処方箋がなくても患者様にご利用いただける薬局、あるいは処方箋調剤以外にも地域に価値を提供する薬局を目指していくことが、今後の薬局経営を考える上で重要になるのではないでしょうか。

また近年の傾向として、ドラッグストアが調剤併設店を出したり、調剤薬局がOTCの取り扱いをはじめたりと、両者の垣根が失われつつあります。数ある薬局・ドラッグストアのなかから、患者様にあえてエスマイルを選んでいただける価値を作っていかなければなりません。たとえばその地域に住まう人の年齢層に合わせたOTC医薬品を用意したり健康相談会を開催したりするなど、処方箋応需先の医療機関との緊密な情報交換や患者様とのコミュニケーションを通して得た地域の細かなニーズを、店舗運営に反映していくことが、エスマイルが地域で必要とされるための鍵となるのではないでしょうか。

「ひとびとの良きパートナーとしての調剤薬局」を目指す
エスマイルの取り組みとその先に見据えるもの

――御社が、これから実現していこうと考えているビジョンについてお教えいただけますでしょうか。

エスマイルは「ひとびとの良きパートナーとしての保険薬局」をビジョンとしています。先ほどお話したとおり、高齢人口の増大やそれにともなう国の医療政策により、この業界を取り巻く環境が絶え間なく変化していきます。そのなかにあっても、地域の患者様にとって良きパートナーであり続けるため、エスマイルは新しい挑戦を続けてまいります。

――御社のビジョンを実現するための、具体的な取り組みについてお教え下さい。

エスマイルは「ひとびとの良きパートナーとしての保険薬局を目指す」ことをビジョンとしていますが、さらにそのビジョンのための三項目を以下のように掲げています。

1.調剤薬局事業を通して、ひとびとのQOLの向上を目指します。
2.医薬品等の販売を通して、セルフメディケーションを推進します。
3.地域医療連携に参加し、在宅医療・介護サービス事業を展開します。

このように、エスマイルは調剤・セルフメディケーション・在宅をビジョン実現のための三つの柱としながら、それぞれにエスマイルらしい「新化」を加えながら取り組みを推し進めていきます。ビジョン実現のための取り組みを進めるなかで、これまでにはない薬局の新たな機能、薬剤師の新しい職域・職能を開拓します。ですので、それは「新化」と呼ぶにふさわしい事業となると私は考えています。

エスマイルの薬局ではOTCの取り扱い拡充や地域の健康フェアの開催をきっかけとして「処方箋を持っていなければ薬局には行きづらい」というイメージを払しょくし、地域の方がエスマイルの薬局に健康相談の窓口として最初に訪れるという機能を持たせ、セルフメディケーションを推進していきます。セルフメディケーションの推進は当社のビジョンにも掲げていることですが、調剤薬局がセルフメディケーションの推進をビジョンとして明文化している例はあまり見ないのではないでしょうか。セルフメディケーション=OTC医薬品の販売といったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、エスマイルのいうセルフメディケーションの推進とはOTC医薬品の販売を増やすことではなく、予防も含めて自分自身で健康の管理を行うことの推進を意味します。エスマイルがあくまでセルフメディケーションを推進するのは、それが今後の薬局が社会から求められる重要な機能となり、また薬剤師の職能を発揮する領域となると考えているからです。

増加の一途をたどる医療費への対策を考える国のこれまでの議論のなかでは、風邪などの軽医療は保険適用の対象外にする案が挙げられたこともあります。今後の医療政策によってはこのような医療行為の保険適用範囲の見直しや、健康保険費の患者負担率の引き上げも十分にありえます。患者のコスト負担が増え、セルフメディケーションに対する需要が高まったときにようやく、薬局としても対応をしはじめるのでは遅すぎると思います。将来の国の医療環境を見据えて、今から薬局・薬剤師にできることを模索し、それを施策として実行していきます。

――在宅事業については、どのように取り組みを進めていらっしゃいますか。

高齢人口の増加から、在宅医療は今後も間違いなく需要が高まる領域であり、エスマイルも高まる在宅医療へのニーズに応えてまいります。今年7月には福山市に当社初となる在宅専門の薬局を開局し、同地区の在宅医療事業の拠点としての機能を担っています。これまでの当社の在宅事業は、店舗ごとに個別対応しておりましたが、拠点を設置することによって業務を集約し、人員の確保やノウハウの集積が可能となったことで、より効率的かつ質の高い在宅業務を実現できるようになりました。

こうした在宅事業への注力は、薬剤師の職域を広げていくという観点からも極めて重要なことです。これまでの在宅医療には、訪問薬剤師の活躍の場があまりなかったというのが現実ではないでしょうか。在宅医療の現場において、たとえば患者様のもとに医師・看護師・薬剤師の訪問があるとすれば、合計で3回患者様を診たことになります。ですがその際に薬剤師が投薬や残薬の計上といった仕事だけをしていたのでは、それは看護師にも十分できることですので、患者様からも医師や看護師からも、薬剤師が在宅医療に介入する価値はかかるコストに対して低いとみなされてしまうのです。エスマイルはこの状況を変えなければいけません。薬剤師が在宅医療の現場で活躍するためには、薬剤師だからこそできる情報提供あるいは情報収集を行い、患者様や医療関係者に適切なフィードバックを行うことが必要なのです。

患者様はもちろん医師や看護師が求めている情報を適切に提供・共有できる、チーム医療の一員として能力を十分に発揮する薬剤師を育成する必要があります。そのためには、店舗が個別に在宅への対応をするのではなく、拠点を設置して人員とノウハウを集積することが不可欠だという結論に至ったのです。在宅の拠点は今後も増やしていき、在宅医療の現場における薬剤師の活躍の場をさらに広げるための取り組みを続けてまいります。

――調剤薬局事業ではエスマイルならではの取り組みは何かありますか。

エスマイルでは医療環境が決して整っているとは言えないいわゆる離島や山間部といった遠隔地にも地域貢献の立場で出店をしています。そういった薬局では、調剤はもちろん、健康相談への対応やOTCの販売など、我々が理想とする薬局の機能がいかんなく発揮されています。まさにエスマイルのめざす処方箋がなくても患者様にご利用いただける薬局、あるいは処方箋調剤以外にも地域に価値を提供する薬局の姿そのものだと思います。患者様との信頼関係を築き、調剤以外の場面でも薬剤師としての価値を提供することも、薬剤師が今後も医療領域で職能を発揮するためには欠かせないことです。

エスマイルの「新化」を共に歩む薬剤師に求めるものは

――将来の国の医療政策や社会から求められることを見据え、薬局のこれから・薬剤師のこれからを見据えたビジョンと戦略を考えられていることが、これまでのお話からとても良く伝わってきました。こうした御社の「新化」のため、迎え入れたい薬剤師は、どのような方でしょうか。

エスマイルが求める人材の能力として非常に重要視しているのは、自分で考え行動することができる能力です。業務に追われる忙しい毎日を送ることになったとしても、薬剤師としてこうありたいという将来像を思い描き、それに向かって努力することのできる、プロの職業人としての志を持った人を、会社としては歓迎したいと考えています。日々の仕事に対する創意工夫はもちろんですが、薬剤師の職域・職能が将来どのように変化していくのか、社会から求められる薬剤師像はどのようになるのかを考えるなど、あらゆる場面において自ら考えて行動する力は必要になってくると思います。

これまでお話したとおりですが、エスマイルは薬局・薬剤師の将来を見据えて様々な施策を打ち出しています。今回お話した取り組みだけにとどまらず、エスマイルの新たな挑戦は続きます。そうした環境の変化にも、チャレンジ精神を持って臨んでくれるような薬剤師をエスマイルは待っています。また、エスマイルでは「医療人プラス企業人」という意識を大事にしています。医療機関であり企業でもあり、二つの側面を持つ調剤薬局という場所で働く薬剤師が、医療人としてのプライドを持って仕事に取り組むことは非常に大切なことであり会社としても最重要視しますが、それと同時に企業の一員として働くことへの理解があることも大事な要素だと思います。

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