
管理薬剤師として働いている薬剤師のなかには、「管理薬剤師でも産休・育休を取得できるの?」「育休から復帰した後も、管理薬剤師として働ける?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、管理薬剤師が産休・育休を取得する際に必要な準備や、復帰後も管理薬剤師として働くために確認しておきたいポイントを解説します。
記事のポイント
・管理薬剤師でも産休・育休の取得は可能。
・育休に入る前は薬局の運営体制を整えておく。
・休業中も制度変更や認定薬剤師の更新などを確認しておく。
管理薬剤師でも産休・育休は取得できる?

結論からいうと、管理薬剤師であっても一般の薬剤師と同じように産休・育休を取得して問題ありません。
法律で定められている産休・育休の取得可能期間は、以下のとおりです。
| 休業の種類 | 取得可能な期間 |
| 産前産後休業(産休) | 産前休暇:出産予定日42日前(6週間前)〜出産日 産後休暇:出産翌日〜8週間 |
| 育児休業(育休) | 原則子どもの1歳の誕生日まで |
※多胎妊娠の場合や、保育園の入園可否などによって期間の延長が認められるケースもあり
管理薬剤師は店舗運営に関する責任も担うため、「自分が休んだら職場に迷惑をかけてしまう」と心配になる方もいるでしょう。しかし、産休・育休は法律で認められた制度です。必要な準備をしたうえで、安心して制度を利用しましょう。
参照:労働基準法/e-Gov
参照:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律/e-Gov
管理薬剤師が産休・育休に入る前に必要な準備

管理薬剤師であっても、産休・育休を取得することは問題ありません。ただし、長期間職場を離れることになるため、休業中も薬局が適切に運営できるよう、あらかじめ勤務先と準備を進めておくことが大切です。
特に重要なのが、後任の管理薬剤師への引き継ぎと、復帰後の働き方についての確認です。妊娠した場合は、できるだけ早い段階で上司や会社に相談し、計画的に準備を進めていく必要があります。
産休・育休中の後任の管理薬剤師に引き継ぎをする
後任の管理薬剤師が決まったら、店舗運営に必要な業務を引き継いでおきましょう。
特に、管理薬剤師しか把握していない業務や対応方法がある場合は、後任者が困らないよう、できるだけ具体的に共有することが大切です。
【主な引き継ぎ事項】
・医薬品の発注・在庫管理・品質管理
・薬局スタッフの勤務管理や業務調整
・店舗内の業務フロー
・行政や医療機関などとの連絡・対応
・店舗で使用しているシステムや帳票類の管理
引き継ぎは一度にすべてを伝えるのではなく、産休に入るまでの期間を利用して、実際に後任者と業務を共有しながら進めるとスムーズです。
復帰後の働き方について会社と確認しておく
復帰後の勤務について希望がある場合は、産休・育休に入る前に以下のような内容を勤務先に確認し、すり合わせておくことが大切です。
・元の店舗に復帰できるか
・時短勤務を利用するか
・土日勤務が可能か
・管理薬剤師として復帰する希望があるか
「まずは時短勤務で復帰し、子どもの成長に合わせてフルタイムに戻したい」「将来的には再び管理薬剤師として働きたい」など、今後の希望や見通しが決まっている場合は、できるだけ早めに会社へ伝えておくことをおすすめします。
あらかじめ希望を共有しておくことで、会社側も復帰後の人員配置や勤務体制を検討しやすくなります。
産休・育休後のママ薬剤師が管理薬剤師として復帰するには

産休・育休を取得する前に「復帰後も管理薬剤師として働きたい」と考えていても、復帰後の勤務条件によっては、管理薬剤師として働くことが難しい場合があります。
ここでは、産休・育休から復帰したママ薬剤師が管理薬剤師として働くために、確認しておきたいポイントを解説します。
産休・育休後も管理薬剤師として働くための条件は?
薬剤師が管理薬剤師として働く際には、一定の実務経験や知識・経験などが求められます。そのような条件は、産休・育休明けであっても基本的に変わりません。
厚生労働省の「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」では、管理薬剤師について、原則として以下のような能力・経験が求められるとされています。
・薬局における実務経験が5年以上であること
・認定薬剤師であること(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構などが認証する資格)
また、薬機法では管理薬剤師に薬局を実地に管理することが求められているため、薬局を適切に管理できる勤務体制が必要です。勤務時間に具体的な法定基準はありませんが、一般的に1日8時間、週40時間程度が目安とされることが多いでしょう。さらに、管理薬剤師は原則として副業・兼業は制限されています。
ただし、これらを満たしていても、実際に管理薬剤師として復帰できるかは、人員配置や勤務体制など勤務先の状況によって異なります。復帰前に会社と働き方を確認しておきましょう。
参照:薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン /厚生労働省
参照:薬局における法令遵守体制の整備の手続き /日本薬剤師会
https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/jpa_governance.pdf
参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律/e-Gov
時短勤務の期間中は管理薬剤師への復帰は難しいことが多い
出産前に管理薬剤師をしていた方でも、産休・育休明けは時短勤務を選択するケースは珍しくありません。
育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者に対し、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度が設けられています。
また、週31時間未満の勤務では、「地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5」の管理薬剤師に関する体制要件も満たすことができません。こうした点から、時短勤務中は管理薬剤師としての復帰が難しい場合があります。
ただし、管理薬剤師の勤務時間として法律上の具体的な基準が定められているわけではありません。時短勤務でも、薬局を適切に管理できると判断されれば、管理薬剤師として復帰できる可能性もあるでしょう。
管理薬剤師のキャリアを維持するために産休・育休中にできること

産休・育休中は、仕事から離れて子育てに専念する時期です。一方で、休業期間が長くなると、薬機法や調剤報酬などの制度が変わったり、認定薬剤師の更新時期を迎えたりすることがあります。
これまで培ってきた管理薬剤師としての経験や知識を復帰後にも活かすためには、休業中も無理のない範囲で必要な情報を確認しておくとよいでしょう。
調剤報酬や薬機法などの制度変更を確認する
管理薬剤師は、薬局の運営や医薬品の管理、法令遵守などに関わる立場であるため、復帰後も管理薬剤師として働くことを目指しているのであれば、休業中に行われた主な制度変更は確認しておく必要があります。
特に2年に一度の診療報酬改定は、毎回薬局運営にも影響する変更が多く加えられるため、必ず確認しておきましょう。
新薬や医薬品情報、ガイドラインの変更点を勉強しておく
産休・育休中は、医薬品情報に触れる機会が少なくなりますが、医薬品に関する情報は日々更新されています。
新薬の発売や添付文書の改訂、安全性情報、診療ガイドラインの変更などを把握しておくと、復帰後もスムーズに業務に取り組みやすくなります。
すべての情報を追うのは難しいため、まずは復帰予定の勤務先で採用されている医薬品や診療科を中心に、必要な情報を勉強しておくとよいでしょう。
認定薬剤師の更新要件を確認しておく
管理薬剤師として今後も働く予定であれば、現在取得している認定薬剤師資格の更新を忘れずに行うことが大切です。
ただし、妊娠・出産や育児によって研修が難しくなる場合には、認定制度によって特例措置が設けられていることもあります。
例えば、公益財団法人日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師制度では、妊娠・出産や育児などによって研修が困難になった場合、一定条件下において、各年5単位以上の取得要件の免除や、認定期間の1年間延長が認められることがあります。
こうした制度も確認しながら、無理のない範囲で復帰に向けた準備を進めていきましょう。
参照:やむをえない事情により研修が困難になった場合の措置について/公益財団法人日本薬剤師研修センター
https://www.jpec.or.jp/download/yamuwoenaijijyou_sochi.pdf
育休中は認定薬剤師の更新期限を延長できる!特例措置をわかりやすく解説
産休・育休に入る管理薬剤師は早めの準備を

管理薬剤師であっても、一般の薬剤師と同じように産休・育休を取得できます。休業前に後任者への引き継ぎや復帰後の働き方について会社と確認し、計画的に準備しておきましょう。
産休・育休明けに管理薬剤師として復帰する場合は、勤務時間や薬局の管理体制などを踏まえて、会社と働き方を相談することが大切です。休業中も無理のない範囲で制度や医薬品情報、認定薬剤師の更新要件などを確認し、スムーズな復帰に備えておきましょう。



