
薬剤師の仕事には、病院などを中心に夜勤や当直がある職場もあります。妊娠すると、「夜勤・当直を免除してもらえる?」「体調がつらいけれど、周囲に迷惑をかけそうで相談しにくい」と悩む方もいるでしょう。
この記事では、妊娠中の薬剤師が夜勤・当直を免除できる方法や、職場へ相談する際のポイント、夜勤・当直を続ける場合の注意点について解説します。
記事のポイント
・妊娠中の薬剤師は請求することで夜勤・当直を免除できる可能性がある。
・夜勤・当直を続ける場合も、体調に合わせて勤務を調整することが大切。
・不安や体調の変化があるときは、早めに職場や主治医へ相談する。
妊娠中のママ薬剤師は夜勤・当直を免除できる?

夜勤や当直がある職場では、「シフトが決まっているから、妊娠してもこれまで通り夜勤や当直を続けなければならない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし妊娠中の薬剤師は、本人が免除を請求することで、原則として深夜の勤務は免除してもらうことが可能です。
妊産婦が免除申請した場合、会社は深夜業をさせてはいけない
妊娠中の薬剤師が夜勤や当直を免除できるかどうかは、職場の判断だけでなく、法律上のルールが関係します。
労働基準法第66条では、妊娠中から出産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合、事業主は以下に該当する時間外労働、休日労働または深夜業をさせてはならないと定められています。
| 区分 | 定義 |
| 時間外労働 | 法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超えて労働させた場合 |
| 休日労働 | 法定休日(1週間に1回、あるいは4週間を通じて4日以上付与)に労働させた場合 |
| 深夜業 | 午後10時から午前5時までの間の就業のこと |
そのため、妊娠中の薬剤師が夜勤や当直を担当しており、午後10時から午前5時までの時間帯に勤務する場合は、深夜業の免除を請求できます。
ただし、妊娠したことだけを理由に自動的に免除されるわけではなく、本人が勤務先に請求する必要があります。請求を受けた場合、会社は時間外労働・休日労働・深夜業をさせることができません。
参照:妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限/働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)
妊娠中のママ薬剤師が夜勤・当直で感じやすい負担

妊娠中は体調が変化しやすく、これまで問題なくできていた業務でも、負担が大きいと感じることがあります。特に夜勤や当直は、勤務時間や人員体制などの面から、体調に合わせた働き方が難しくなる場合があります。
ここでは、妊娠中のママ薬剤師が夜勤・当直で感じやすい主な負担についてみていきましょう。
生活リズムの乱れや長時間勤務による身体的な負担
妊娠中は、ホルモンバランスの変化などによって、眠気や疲れやすさなどの体調変化が起こりやすくなります。
そのような時期に夜勤や当直で生活リズムが乱れたり、長時間勤務になったりすると、身体的な負担が大きくなることがあります。
十分な睡眠や休息を確保しにくくなるため、疲労が蓄積しやすくなる点にも注意が必要です。
少人数で対応しなければいけない場面での精神的なプレッシャー
病院薬剤師の夜勤・当直では、病院によっては日中よりも勤務するスタッフが少なく、限られた人数で業務に対応しなければいけないことがあります。
夜間に急な調剤や処方変更、医療スタッフからの問い合わせなどが発生した場合でも、すぐに相談できる人が近くにいるとは限りません。
そのため、自分で判断して対応する場面が増え、精神的なプレッシャーを感じることもあるでしょう。
体調不良時の休みにくさ・早退のしにくさ
妊娠中は、つわりや眠気、疲労感など、日によって体調が変化することがあります。しかし、夜勤・当直中に体調が悪化しても、勤務先の人員体制によっては、すぐに休憩をとったり、勤務を交代してもらったりすることが難しい場合があります。
特に夜間は勤務するスタッフが限られているため、急な早退が難しく、体調が悪くても無理をして勤務してしまいがちです。
関連記事病院薬剤師に夜勤は必須?働き方や夜勤手当、メリット・デメリットを解説
妊娠中のママ薬剤師が夜勤・当直の免除を職場に相談するときのポイント

前述のとおり、妊娠中の薬剤師は、法律に基づいて深夜業の免除を請求できます。夜勤・当直を続けることに不安や負担を感じている場合は、無理をせず、早めに勤務先へ相談しましょう。
ここでは、職場へ相談するときのポイントを紹介します。
妊娠が分かったら早めに上司へ相談する
妊娠が分かったら、体調に問題がなくても、できるだけ早めに直属の上司や人事担当者などに相談しましょう。
妊娠初期はつわりなどで体調が変化しやすく、夜勤・当直が負担になりやすいです。また、夜勤や当直の勤務体制によっては代替スタッフの調整が必要になるため、早めに相談することで、職場側も勤務変更の準備をしやすくなります。
必要に応じて「母健連絡カード」も活用する
妊娠中の体調や症状について、主治医などから勤務時間の短縮や休憩時間の延長、作業の制限などの指導を受けた場合は、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を活用できます。
母健連絡カードとは、主治医等が行った指導事項を、妊産婦である女性労働者から事業主へ的確に伝えるためのカードです。事業主は、母健連絡カードの記載内容に応じ、男女雇用機会均等法第13条に基づいて適切な措置を講じる義務があります。
| 【母健連絡カードの使い方】 (1)妊娠中または出産後の健康診査等で、通勤緩和や休憩、勤務時間の短縮などの措置が必要と主治医等から指導された場合、母健連絡カードに必要事項を記載してもらう。 (2)女性労働者が事業主に母健連絡カードを提出し、必要な措置を申し出る。 (3)事業主は、母健連絡カードの記載内容に沿って、時差通勤や休憩時間の延長など必要な措置を講じる。 |
夜勤・当直の継続が身体的な負担になっている場合や、勤務について主治医から指導を受けている場合は、母健連絡カードの利用について主治医に相談してみましょう。
参照:母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について/厚生労働省
参照:母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)について/働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)
妊娠中でも夜勤・当直を続ける場合の注意点

妊娠中であっても、できればこれまでどおり夜勤や当直を続けたいと考える方もいるでしょう。夜勤・当直を続ける場合は、妊娠前と同じ働き方にこだわらず、体調や妊娠経過に合わせて勤務を調整することが大切です。
ここでは、妊娠中に夜勤・当直を続ける場合に注意したいポイントを解説します。
適度に休憩をとり、無理をしない
妊娠中の夜勤・当直中は、適度に休憩し、疲れを感じたときは無理をしないよう心がけましょう。
妊娠中は、妊娠前と比べて疲れやすくなったり、体調が変化したりすることがあります。忙しい時間帯でも、可能な範囲で座って休む、水分をこまめにとるなど、身体への負担をできるだけ軽減することが大切です。
体調に応じて夜勤回数を減らす・準夜勤にするなど勤務を調整する
夜勤・当直を続けたい場合でも、妊娠前と同じ回数や勤務時間で働き続ける必要はありません。負担が大きいと感じる場合は、体調や妊娠経過に応じて、夜勤の回数を減らしたり、勤務時間を短くしたりできないか職場に相談しましょう。
夕方から深夜までの準夜勤に変更するなど、勤務時間を調整する方法もあります。完全に夜勤・当直を続けるのが難しい場合でも、負担を軽減しながら働ける方法を検討してみましょう。
夜勤・当直を続ける場合は医師と相談しながら勤務する
妊娠中も夜勤・当直を続けたい場合は、自己判断で妊娠前と同じ働き方を続けるのではなく、主治医に相談しながら勤務することが大切です。
妊娠経過や体調には個人差があるため、夜勤・当直を続けられるかどうかも一律には決められません。健診などの際に勤務状況について主治医に伝え、体調や妊娠経過を踏まえた助言を受けながら、無理のない範囲で勤務しましょう。
医師から勤務時間や業務内容について指導を受けた場合は、その内容を職場にも共有し、必要に応じて勤務を調整することが重要です。
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妊娠中の夜勤・当直は無理せず勤務を調整しましょう

妊娠中の薬剤師は、本人が請求すれば深夜業や時間外労働、休日労働を免除してもらうことができます。夜勤・当直を続ける場合も、妊娠前と同じ働き方にこだわらず、体調や妊娠経過に合わせて勤務を調整することが大切です。
勤務について不安がある場合は、早めに職場や主治医へ相談し、必要に応じて母健連絡カードなども活用しましょう。自分と赤ちゃんの健康を第一に、無理なく働き続けられる方法を考えることが大切です。



