転職エージェント各社のコンサルタントが、これまで手掛けた薬剤師の転職サポートのなかで、最も印象深いエピソードをご紹介する連載企画。第3回は「管理職から勤務薬剤師へ転職」です。
塚原さま(仮名)は、当時の職場でかかりつけ薬剤師として地域の患者さんの信頼を得ながら実績を積まれ、41歳にして30店舗の調剤薬局を束ねるエリアマネジャーに昇進されました。
昇進後は、できる限り患者さんとの時間を大切にしつつ、各店舗の薬剤師が十分に力を発揮できるようマネジメント業務に勤しんでおられました。
しかし、管理業務が忙しくなるにつれ、どうしても現場に出られる時間は減っていくもの。患者さんと接し、その健康をサポートすることに薬剤師としてのやりがいを感じていた塚原さまは、「勤務薬剤師として現場に出て、もっと患者さんと向き合って働きたい」という思いを募らせ、日研トータルソーシングへご相談いただきました。
管理職から勤務薬剤師に転身する手段は、「社内異動」もしくは「転職」の2つ。
社内異動の場合、企業文化や業務内容を理解している職場で働けるメリットがある一方、職位が下がるため年収ダウンは不可避です。
塚原さまはご家庭の事情もあり「年収を下げたくない」とお考えでしたので、転職をおすすめいたしました。
役職手当がある管理職から勤務薬剤師への転職で、年収維持もしくは年収アップというのは、決して容易な条件ではありませんでした。
ご自身でも高いハードルとのご認識があり、当初から「年収を下がることは覚悟しておくべきだろうか」とお悩みの様子でした。塚原さまは東京都のなかでも珍しく薬局の少ない地域にお住まいであったことから、限られた薬局のなかで希望年収をクリアできる職場があるのか懸念されていたようです。
しかしながら、薬局が少ない地域イコール薬剤師の市場価値が低いという考え方は必ずしも当てはまりません。むしろ、薬剤数が不足している地域の場合、貴重な人材として高年収・好条件でも迎え入れたいという薬局が多い傾向があります。
そこで、塚原さまにはあきらめないでお待ちいただけるよう繰り返しお伝えしました。
同時に、塚原さまが希望しているエリア内の薬局やドラッグストアに1件1件ヒアリング。かかりつけ薬剤師の取り組みに力を入れており、さらに年収650万円をキープできる薬局を根気強く探しました。
そして、塚原さまが弊社にお問合せいただいた日から2週間が経ったころ、ようやく1件の薬局を見つけました。
かかりつけ薬局として在宅医療や服薬指導に力を入れており、塚原さまのこれまでの経験やスキルが十分に活かせる職場でした。塚原さまの経歴をご覧になった薬局の経営者も「ぜひ来てほしい!」と採用に前向きであり、最終的には希望年収よりも高い年収700万円での雇用をお約束いただけました。
当時の年収から50万円のアップとなり、「一時は年収ダウンも覚悟していたのに、まさか50万円も年収が上がるとは思いもしなかった」と塚原さまにも大変お喜びいただけました。
いまでは、インターネットを使えば薬剤師求人をご自身で探すことも容易ですし、転職について調べればさまざまな情報を得ることができます。また、薬剤師のご友人に相談すれば、体験談をはじめとしたアドバイスをもらうことも可能でしょう。
しかし、インターネットや薬剤師仲間からの情報ははっきり言って玉石混交です。あやふやな情報を頼りにご自身で転職した結果うまくいかず、短期間に転職を繰り返してしまう薬剤師さまも決して少なくありません。
そうした事態に陥らないためにも、どうか私どものような薬剤師転職のマーケットを熟知しているコンサルタントにまずはご相談していただきたいと思います。
われわれ日研トータルソーシングは「求職者ファースト」をモットーに日々業務に臨んでいます。
ご相談いただいた結果、現職に残留する方が薬剤師さまのためになると判断した場合、転職をおすすめすることはありません。ライフワークバランスを含め、薬剤師さまご自身が気づいてない可能性を見つけ出し、よりよい職場環境や働き方をご紹介できると自負しております。