薬剤師の皆さんが仕事や転職についてどのように感じているのかを、エムスリーキャリアがリサーチする独自企画。「年収」「人間関係」「仕事内容」「キャリアアップ」などさまざまな角度から、薬剤師の転職・仕事に関する志向をご紹介します。 今回のテーマは「転職活動」について。 転職は自分のキャリアやライフプランに大きな影響を与えるもの。薬剤師は一般職種と比べて転職回数が多いと言われていますが、薬剤師の皆さんはどのように転職活動を進めているのでしょうか。アンケート調査をもとにみていきましょう。
図1は年代別にみた薬剤師の転職回数を表しています。
30代以上の薬剤師は90%以上が1回以上の転職を経験。年代別の転職回数のボリュームゾーンを見ると40代は「3回」(21%)、50代は「4回」(25%)と年齢が上がるごとに転職回数は増えています。
また、50~60代は転職0回の割合が25%、22%と同程度。50代まで転職経験していないと、その後も転職しない薬剤師が多いようですが、総じて、30代以上の薬剤師にとって転職は珍しくないと言えそうです。
では、転職したことがない薬剤師は、職場環境に不満がまったくないのでしょうか。図2は転職未経験の薬剤師に「転職しない理由」を聞いた結果です。
転職未経験の薬剤師に「転職しなかった理由」を聞いた結果、「満足していないが、転職活動する気力がないから」(67%)がほかを大きく離して1位でした。
転職したことがないと言っても、7割近くの薬剤師は、労働条件や勤務環境に不満を抱きつつ、我慢して働いているようです。
転職をするには気力はもちろん、タイミングも重要。実際に転職を経験してきた薬剤師は、入社から何年後に転職しているでしょうか。
図3のように、「2年目」と「10年目以降」が高くなっています。日本では入社から「とりあえず3年は在籍しよう」という慣例がありますが、薬剤師業界は3年より早いタイミングで転職する人が少なくありません。
また、2年目以降、緩やかに転職者は減っていきますが、10年を超えると新しいスキルアップ環境を求めたり、ライフステージが変化したりと、さまざまな理由で転職する薬剤師が増えるようです。
図4のように薬剤師の転職理由は、1位「スキルアップのため(28%)」、2位「人間関係に不満(14%)」、3位「勤務時間・残業に不満(12%)」の順。年収や勤務地といった勤務条件よりも、自己研さんや職場の雰囲気を重視する薬剤師が多いようです。
就職活動中、薬剤師はどんな悩みにぶつかるのでしょうか。
転職活動で苦労したことについては、「希望条件に合う求人が見つからない」が46%を占めています。
年収や勤務時間をはじめ、異動の有無や取り扱う医薬品の種類など、薬剤師が転職先に求める条件はさまざま。なかなかぴったりと条件に合う求人を見つけるのは難しいようです。
薬剤師に転職方法について聞いた結果が図6。
薬剤師が初めての転職活動で選ぶ方法は「転職エージェントの利用」(42%)が1位で、「自己応募(32%)」「知人からの紹介(20%)」と続きます。
薬剤師の約二人に一人が転職エージェントを利用していることが分かりました。
さらに2回目以降の転職方法について聞いたところ、
「初めての転職で転職エージェントを利用した薬剤師」の87%は、転職エージェントを利用。
「初めての転職で転職エージェントを使わなかった薬剤師」も、二人に一人は転職エージェントを利用したという結果に。
最初の転職で転職エージェントを使った薬剤師の大半が、2回目以降も転職エージェントを利用していることから、その満足度の高さをうかがえます。
転職エージェントを利用するメリットの一つが、多くの薬剤師が苦労している「希望条件を満たす求人探し」を任せてしまえること。
転職エージェントのコンサルタントに希望する求人条件を伝えておけば、コンサルタントが独自のネットワークを使って求人を探してくれます。コンサルタントは、ウェブサイト上には掲載されていない「非公開求人」もリサーチできるため、自分で探すよりも圧倒的に効率的です。
詳しくは非公開求人の記事をチェック:メリットいっぱい!薬剤師の非公開求人が好条件転職におすすめなワケ
いままでの薬剤師人生を振り返ってみたとき、「転職して良かった」「どちらかと言えば転職して良かった」と回答した薬剤師は96%。「転職によって、よりよい職場環境でキャリアを重ねている」薬剤師の方が多くいるようです。
一方、冒頭で紹介したように、転職回数ゼロの薬剤師の7割は、働き方に不満を抱えたまま現在の職場にとどまっています。いまの働き方に満足していない薬剤師の方は、「転職」も前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
薬剤師の転職市場は、薬剤師側に有利な「売り手市場」と言われています。
しかし、薬剤師数の増加、厳しい調剤報酬改定などが今後も続く見込みであり、転職市場は徐々に「買い手市場」に近づいていくことは確実視されています。
近い将来、いまのように希望条件が叶う転職は難しくなる恐れもあります。少しでも転職を検討している薬剤師は、一度転職エージェントにキャリア相談してみてはいかがでしょうか。