薬剤師の皆さんに仕事や転職についてどのように感じているのかを、エムスリーキャリアが独自にリサーチしました。「年収」「人間関係」「仕事内容」「キャリアアップ」などさまざまな角度から、薬剤師の転職・仕事に関する志向をご紹介。 今回のテーマは「職場の人間関係」についてです。 年収や勤務時間などの条件が良くても、息が詰まる現場で長く働き続けるのは難しいですよね。 特に薬剤師は業務時間の多くを調剤室のような狭い空間で過ごす職種であり、人間関係が働き方に与える影響は大きいといえます。薬剤師が職場の人間関係について何を感じ、どのように向き合っているのかを明らかにしていきます!
まず、職場の人間関係の満足度について聞いたところ、現在の職場の人間関係に「満足」「どちらかと言えば満足」と回答した薬剤師は60.5%、「不満」「どちらかと言えば不満」と回答した薬剤師は39.5%となりました(図1参照)。4割の薬剤師が職場の人間関係に不満をもちながら働いていることが分かります。
では、薬剤師はどのような人間関係に満足もしくは不満を感じるのでしょうか。
下のグラフは人間関係に「満足」「どちらかといえば満足」と答えた薬剤師と、「不満」「どちらかといえば不満」と回答した薬剤師それぞれの理由を聞いた結果です。
回答の結果、「事務職や雇用形態が異なる職員との関係が良好」「助け合いの精神がある」など、職場の“横のつながり”が良好なときに薬剤師は大きな満足を感じ、一方で、「仕事のやり方などルールが不明確」「経営層と現場の意識にギャップが大きい」など、“縦のつながり”が不良なときに大きな不満を抱く傾向が見られました。
このことから、人間関係に満足を感じる要因と不満を抱く要因は異なっていると言えそうです。
つまり、不満の要因が解決されたからといって、「満足した人間関係」になるとはかぎりません。もし、人間関係に不満を抱いている場合は、「どのような人間関係なら職場の満足度が高まるか」を具体的にイメージするのがよいでしょう。
職場の満足度を左右する要因は、業務で関わる人との関係性。上司や同僚など、一緒に働く人に対して、薬剤師はどのように感じているのでしょうか。職場で最も尊敬している/苦手な人についてと、その理由について聞きました。
上司は、図4、図5の通り「職場で最も尊敬する人」「職場で最も苦手な人」両方で1位となっており、職場の人間関係において上司が与える影響の大きさが感じられます。
多くの薬剤師の尊敬を集めている上司の資質は、深い薬学的知識や高い調剤スキルをもつことではなく、メンバーが気持ちよく働けるような気配りやモチベーション管理に長けていることと言えそうです。一方で、人によって態度を変える、高圧的な態度をとっているなどの行為は、薬剤師から敬遠される原因となります。
次に、勤務時間のなかでに一番多く関わることになる「同僚」についても見ていきましょう。
同僚についての評価は、業務への姿勢がポイントとなっているようです。前向きに業務にあたり、患者への配慮を欠かさない人が尊敬を集めているのに対し、自己中心的な薬剤師や、業務にひたむきではない薬剤師がいることに抵抗を感じるという意見も目立ちました。
そのほか、尊敬している人については「医師」を挙げる薬剤師も一定数みられました。「自分のプライベートな時間を犠牲にして患者のために働いている」「患者に寄り添う姿勢を手本としたい」など、患者さんのための真摯な姿勢に奮起させられるとの回答が寄せられました。
苦手な人については、「患者(顧客)」を挙げる薬剤師もおり、「まったく話を聞いてもらえない」「わがままばかり言われて困る」など、サービス業ならではのストレスを感じさせられる回答となりました。
では、薬剤師は人間関係を円滑に保つために日頃からどんなことに気を配っているのでしょうか。最も回答が多かったのは「きちんと挨拶をすること」で80.2%。気持ちの良い挨拶を社会人のマナーとして大切にしている薬剤師が多いようです。
ほかには、「穏やかな口調で接する」「自己主張を控える」の回答が多くなりました。薬剤師一人ひとりが和を乱さないよう穏やかに過ごすことが人間関係を円滑にする秘訣なのかもしれません。
人間関係がうまくいっていない職場にいる場合の解決策は「経営者や上司に相談する」薬剤師が多いようです。一方で、我慢し続けるという薬剤師も3割を超えていました。
より良い人間関係の職場へ転職するというのも有力な選択肢の一つであるようです。実際、図8のように、約4割の薬剤師が転職によって良い人間関係の職場に移ることができたと回答しています。
人間関係の良い職場への転職を希望する場合、転職エージェントを利用することを強くおすすめします。なぜなら、転職先の人間関係の良さを独力で調べるのは限界があるからです。転職エージェントを利用すれば、離職率などの数字をはじめ、現在の職場の雰囲気といった内情まで調べることが可能ですので、上手に転職エージェントを利用して情報を収集してください。