≪PHARMACY NEWSBREAK9月1日記事抜粋≫
●オーストリアの薬剤師による在宅医療
国際的に見ると、薬剤師が在宅医療に関わり、それに公的な評価(報酬)がなされて
いる国はまだ少ない。日本は、制度的には、薬剤師による在宅医療の先進国と言えるが、
質の管理は十分とは言えない。そこで、今回も、オーストラリアの薬剤師による
在宅医療を見てみたい。
オーストラリアの薬剤師による在宅医療は、「Home Medicines Review: HMR」という。
オーストラリアの薬剤師がHMRに関与するためには、あらかじめ100時間程度の
研修を受け、公的機関による資格認定を受ける必要がある。HMRは自らの薬局が
調剤したかどうかに関係なく関与できるが、報酬を受けるのは年2回である。
1回の訪問にかかる時間は、数時間から半日にも及び、対象となる患者についても、
服用している薬の種類が多いなど、いくつかの要件がある。他の要件として、例えば、
過去3カ月に退院を含め薬剤療法が大きく変わった患者、治療域が狭い薬剤や
モニタリングを必要としている患者、副作用と考えられる症状が発現した患者などがある。
わが国で、在宅医療に関わる薬剤師の資格制を導入することのハードルは高いと
考えるが、オーストラリアなどを参考に、少なくとも在宅医療に関わる教育制度は見直し、
国民、他職種から見ても信頼されるレベルにする必要がある。また、業務内容も、
単なる配達や作業にとどまることのないよう、他職種へのサポートの場合の評価も
見直すべきだと考える。