
出産後に職場復帰を考えるママ薬剤師にとって、大きな関門となるのが「保活」です。まだ都市部では待機児童問題が続いており、「保育園に入れなければ復職できない」と不安を抱える方も少なくありません。
一方で、「薬剤師は保活で有利」と言われることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では、薬剤師が保活で有利と言われる理由や、保活を成功に近づける具体的な戦略について解説します。
記事のポイント
・薬剤師というだけで保活が有利になることはない。
・薬剤師の再就職のしやすさは保活にも有利に働く。
・院内保育園などを使って受託実績を作って有利にすることもできる
薬剤師は保活で有利と言われるのは本当?

「薬剤師は保活で有利」と言われることがありますが、薬剤師という職種そのものが影響することはありません。
保育園の入園選考は自治体ごとの点数制度によって決まり、就労状況や勤務時間などが評価されます。
ただ、薬剤師は国家資格が必要な専門職で、人手不足の傾向があるので、それが仕事の得やすさにつながり、保育園の加算を得やすい傾向があります。
ここからは、どのような点が保活で有利になりやすいのかをみていきます。
「薬剤師は保活で有利」と言われる3つの理由

国家資格である薬剤師は、一般的な事務職やパートタイム勤務に比べて、保活でいくつかの大きなアドバンテージを持っています。理由は大きく分けて3つあります。
1. 内定(就職内定証明書)が出やすい
保活をスタートする時点でまだ職場が決まっていない場合、「無職(求職中)」の扱いになり、保育園の選考ランクが大幅に下がってしまいます。そのため、「まずは仕事を探さなければならないが、子どもが預けられないので面接に行けない」という悪循環に陥りがちです。
しかし、人材不足が続く調剤薬局やドラッグストア、病院などの薬剤師のニーズは高く、内定が取りやすい状態です。
育児によるブランク後に再就職活動をしていて、「保育園が決まったら働けます」という状態であっても、内定をスムーズに取ることができます。そして、内定が出ると「就職内定証明書」を発行してもらえ、保活のスタートラインに立つことになります。
この内定の取りやすさは、保活において強力な武器になります。
2. 認可外や託児所の実績を作って「認可の加点」を狙いやすい
認可保育園の選考では、追加の加算をいかに得るかが大切です。
すでに子どもをどこかに預けて働いている実績(受託実績)があると、選考ポイントが加算される自治体が多くあります。
薬剤師は、中途入社やパートであっても給与や時給の相場が高く、仕事も安定しています。
万一、認可保育園がいっぱいで入れなくても、「ひとまず認可外保育園や託児所に子どもを預けて働き始める」という選択がしやすいのです。
この認可外や託児所を使った実績作りのしやすさも、保活に有利に働きます。
3. もし認可園に落ちたときのセカンドプラン(院内保育園)を自力で用意しやすい
ある程度の規模の病院になると、職員のための院内保育園があります。そのような病院で働いていたり、再就職したりすれば、保育園は確保されていることになります。
万が一、本命の認可保育園に落ちてしまった場合でも、子どもを預ける場所がないという事態にはなりません。
また、先に解説したように、院内保育園に預けた場合でも受託実績となるので、その後の保活を有利に進めることができます。
このように、最悪の場合でも自力で預け先を確保できるルートがあるというのは、薬剤師の大きな強みだといえます。
参考記事:現在の状況別 お金と制度解説 「育休復帰前~復帰後」篇
保活のしくみを解説

保活を有利に進めるためには、入園に関する選考のしくみを知ることが不可欠です。保育園がどのようにして入園者を決めているのか、基本を押さえておきましょう。
保育園の選考基準のしくみとは?
認可保育園の選考は、先着順や一律の抽選ではありません。点数制(指数制)によって、より「保育の必要性が高い世帯」から順番に内定が出ます。
保育園の選考に関する点数は、大きく2種類に分かれています。
・基準指数(基本点):
保護者の就労状況(週に何日、何時間働いているか)や、家族の状況(病気・介護の有無など)で決まるベースの点数。
・調整指数(加減点):
ひとり親世帯、きょうだいが同じ園に在籍している、すでに認可外に預けて働いているなどの個別事情によるプラス・マイナス点。
同点になった場合は、「世帯年収が低い順」や「認可外の受託期間が長い順」といった自治体ごとの細かい優先順位ルールによって合否が決まります。
自治体ごとに基準が異なる
注意しなければならないのは、この点数の計算方法やルールが自治体ごとに異なる点です。
たとえば、A市では「週5日・1日8時間勤務」で満点(20点)になるのに対し、B市では「週5日・1日7時間」でも同じ満点(20点)になることがあります。
また、認可外に預けている場合の加点が「+1点」の地域もあれば、「+2点」と大きく差がつく地域もあります。
まずは自分が住んでいる自治体の保育園に関する案内を読んで、点数の基準を確認しましょう。
【注意】薬剤師という職種だけで入園が決まるわけではない
自治体の選考では、書類に書かれた「勤務時間」や「家庭の状況」を数字に置き換えて機械的に審査します。そのため、「国家資格の薬剤師だから」「医療従事者だから」という理由だけで、特別に点数が優遇されることはありません。
薬剤師でも勤務形態や地域次第で苦戦することがある
たとえば、薬剤師であっても「週3日、1日4時間のパート勤務」で申請を出せば、就労時間が短いため基準指数(基本点)は低くなってしまいます。
保活激戦区と呼ばれる都市部では、周囲のライバルたちが「夫婦ともにフルタイム(週5日・1日8時間以上)」で満点を狙ってくるため、勤務時間が短いとそれだけで落選してしまう可能性が高くなります。
保活は早めに情報収集し、自分の点数と地域の状況を考えながら対策を考えることが重要です。
参考記事:現在の状況別 お金と制度解説
【ママ薬剤師必見】薬剤師が保活を有利に進めるための4つの戦略

では、薬剤師としての強みを活かして、確実に保活を勝ち抜くためにはどうすればよいのでしょうか。具体的な4つの戦略を解説します。
1. フルタイムでの復職・内定をベースにする
激戦区で保活を戦うなら、就労証明書の記載内容でできるだけ高い点数をねらうのが鉄則です。そのためには、就労証明書で「週5日・1日8時間(週40時間)」の勤務条件を確保するようにしてください。
多くの自治体では、育休前がフルタイムであれば、復職後に時短を取得しても「フルタイムの点数」として扱ってくれるルール(時短みなし)が存在します。
ただし、自治体によっては「時短勤務の実時間で点数を再計算する」というシビアな所もあるため、事前に必ず確認しておきましょう。
入園後に時短勤務へ切り替えられる職場もあるため、まずは選考時点で高い指数を確保することが重要です。
また、新規に再就職や転職活動をする場合も、入園が厳しいようであれば、「週5日・1日8時間」の内定をもらうことを考えましょう。
2. 自治体のルールを把握して復職のタイミングを逆算する
自治体によって入園時期に対する申し込みの時期は異なります。申し込みのタイミングを把握して、そのときまでに条件を揃えられるようにしましょう。
また、二人目の出産の際に考えておきたいのが、二人目の育休に伴う「育休退園」のリスクです。
育休退園とは 上の子がすでに保育園に通っている場合、下の子を出産して育児休業を取得したことにより「保護者が自宅にいる=保育の必要性が低くなった」とみなされ、上の子が保育園を退園させられてしまうしくみのことです。
「育休退園」は、子育て世代からの批判や少子化対策への逆行という指摘を受け、近年、全国の自治体で廃止や条件緩和が進んでいます。
現在は、上の子が「3歳児クラス」以上であれば、育休退園とならないケースがほとんどです。
1〜2歳児は、待機児童の多さなどにより、地域によって育休退園となることがあります。
自治体の方針を確認して、上の子が通い続けられるタイミングを考えると安心だといえます。
3. 認可外保育園も選択肢に入れる
認可保育園に落ちてしまった場合は、認可外保育園に子どもを入れて復職することも考えましょう。
認可外保育園であれば、空きさえあれば入園することができます。認可保育園の不確定な結果に左右されず、自分のペースでキャリアを再開できます。
また、激戦区の場合は、4月入園を見据えて、認可外保育園への「即決入園」で保育の実績を作ることも選択肢となります。
認可保育園の選考結果を待たずに、あえて秋ごろから認可外保育園に子どもを預けて復職すると、受託実績を作ることができます。先に解説したように、この受託実績があると、4月の認可保育園の選考時に有利となります。
4. 院内保育園のある病院をねらう
薬剤師の場合、院内保育園のある病院をねらうのもおすすめです。
院内保育園のある病院で働いていれば、認可保育園の当落に関係なく復職することができます。この安心感は大きいと言えるでしょう。
また、先に解説したように、院内保育園に預けることで受託実績を作れるので、その後の認可保育園の選考を有利にすることもできます。
参考記事:ママ薬剤師が産休・育休でもらえるお金を自動計算!産休・育休のポイントも
薬剤師の強みを活かせば保活は怖くない!

保育園の選考において薬剤師という資格で有利になるわけではありません。しかし、ここまで紹介してきたように、薬剤師の強みを活かせばさまざまな選択肢を取ることができます。
保活を成功させるカギは、「自治体のルールを早めに把握すること」と「利用できる制度をフルに活用すること」です。
薬剤師ならではの強みを武器にして、賢く、戦略的に保活を乗り切りましょう!



