子どもが小学生になると、保育園時代とは違って帰宅時間が早くなり、夏休みや冬休み、春休みなどもあるため、働き方を見直すママもいるでしょう。
今回のご相談者は、そんな「小1の壁」をきっかけに、正社員からパート勤務へ転向したママ薬剤師さん。夫の扶養内で働くようになったものの、これからの教育費も気になっています。
「このまま扶養内で働き続けても大丈夫?」
「いつごろから働く時間を増やした方がいい?」
そんなお悩みを、家計と将来の貯蓄の両面からFPがシミュレーションします。
相談者プロフィール
| 家族構成 | 相談者(40歳・薬剤師・パート) 夫(42歳・会社員) 子ども2人(保育園年中、小1) |
| ママの現在の働き方 | パート勤務(夫の扶養内) |
| 世帯収支・資産 | 夫の年収600万円 妻の年収100万円 貯蓄額600蔓延(普通預金100万円、定期預金500万円) 住宅ローンあり |
お悩み
2人の子どもがいる薬剤師ママです。
上の子が小学生になったことをきっかけに「小1の壁」を感じ、会社員からパート勤務に転向しました。現在は夫の扶養内におさまるように働いています。
2年後には下の子も小学生になるため、いずれ働く時間を増やすことも検討中です。
一方で、これから中学・高校・大学と教育費が増えることを考えると「いつまで扶養内でも大丈夫なのか」「働く時間を増やした方が家計は楽になる?」と悩んでいます。
まずは、現状の家計チェック!
★収入
【月額(給与手取り額)】
| ママ本人 | 約8万円/月 |
| 夫 | 約36万円/月 |
| 月額合計 | 約44万円/月 |
【ボーナス(手取り額)】
| ママ本人 | 0円/年 |
| 夫 | 約80万円/年 |
| ボーナス合計 | 約80万円/年 ※いつも使い切って残らない |
★支出
| 住居費(住宅ローン返済) | 10万円 |
| 食費 | 6万5000円 |
| 外食費 | 2万円 |
| 日用品・子ども洋服代 | 2万円 |
| 保育関連費 | 1万円 |
| 学校関連費 | 1万円 |
| スマホ(2人分) | 1万円 |
| Wi-Fi代 | 4000円 |
| 子ども習い事代 | 1万5000円 |
| 水道光熱費 | 3万円 |
| 生命保険・医療保険 | 2万円 |
| 交通費・車関連費 | 2万5000円 |
| レジャー費 | 2万5000円 |
| パパ小遣い | 2万円 |
| ママ小遣い | 2万円 |
| 支出合計 | 39万4000円 |
現在の収支を見ると毎月黒字で、約46,000円を毎月貯めており、年間で約55万円を貯蓄にまわせている計算です。
ボーナスはすべて使いきっているそうですので、ボーナスから貯蓄にまわすお金は無いものとします。
しかし、今後は子どもの成長に伴い、習い事や塾、進学費用のみならず、食費なども増えていきます。
毎月赤字になる可能性があり、貯蓄を増やしていくことが難しいかもしれません。
「支出が増えても貯蓄を増やしていけるか」を確認する必要があります。
このまま扶養内で働き続けたらどうなる?将来の家計シミュレーション
では、このまま扶養内で働き続けたらどうなるでしょうか。シミュレーションしてみました。
※注:年間収支は、その時点の家計状況をもとにした概算です。主なライフイベントがある年を抜粋し、教育費以外の支出に大きな変化がないことを前提で掲載しています(以下同)。なお、最初の表(扶養内を続けた場合)はご夫婦の収入が変わらないことを前提としていますが、ルートA・ルートBの表はママの働き方・収入が変わった場合を試算しています。
【扶養内を続けた場合の教育費と貯蓄残高の推移(予測)】
| 年 | 子どもの年齢 | ライフイベント | 年間収支 | 貯蓄残高 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 小1・年中 | 現在 | +約55万円 | 600万円 |
| 2028年 | 小3・小1 | 学校関連費等増加 | +約22万円 | 約670万円 |
| 2032年 | 中1・小5 | 教育費さらに増加 | プラスマイナスゼロ | 約640万円 |
| 2035年 | 高1・中2 | 塾代も増加 | -約40万円 | 約640万円 |
| 2038年 | 大1・高2 | 1人目大学入学 | -約130万円 | 約320万円 |
| 2041年 | 大4・大2 | 2人とも大学生 | -約200万円 | 貯蓄が底をつく可能性 |
現在は年間で貯蓄ができていますが、教育費等の増加にともなって、貯蓄額の伸びが減少していきます。
子どもが中高生になると、年間収支は赤字が続き、貯蓄を取り崩す時期が続きます。
子ども2人が大学生になると、貯蓄が底をついてしまう可能性があります。
貯蓄が底をつくことを避けるためにできることは、ママが働く時間を増やすこと。
下の子が小学校低学年のうちに収入アップができれば、家計の改善が見込めるでしょう。
働き方を変えたらどうなる?2つのルートでチェック
では、下の子が小3のときに、働き方を変えた場合の2つのルートで確認してみます。
ルートA・パート継続・社会保険加入で年収150万円
| 年 | 子どもの年齢 | ライフイベント | 年間収支 | 貯蓄残高 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 小1・年中 | 現在 | +約55万円 | 600万円 |
| 2028年 | 小3・小1 | 学校関連費等増加 | +約22万円 | 約670万円 |
| ここから働き方を変更(社会保険の加入条件を満たす働き方) | ||||
| 2030年 | 小5・小3 | パート勤務時間を増やす | +約49万円 | 約740万円 |
| 2032年 | 中1・小5 | 教育費さらに増加 | +約27万円 | 約820万円 |
| 2035年 | 高1・中2 | 塾代も増加 | -約15万円 | 約800万円 |
| 2038年 | 大1・高2 | 1人目大学入学 | -約110万円 | 約560万円 |
| 2041年 | 大4・大2 | 2人とも大学生 | -約175万円 | 約60万円 |
扶養内から社会保険に加入するパートへ働き方を変えると、収入が増えることで教育費が増える時期にも貯蓄を維持しやすくなります。
上の子が大学生になる時期には年間の赤字が見込まれますが、扶養内を続ける場合に比べて、貯蓄額の減少を抑えられる見込みです。
ただし、子ども2人が大学生になる時期の貯蓄残高が40万円ほどになることが見込まれるため、老後資金に不安が残ります。
ルートB・正社員で年収550万円正社員に転向の場合
| 年 | 子どもの年齢 | ライフイベント | 年間収支 | 貯蓄残高 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 小1・年中 | 現在 | +約55万円 | 600万円 |
| 2028年 | 小3・小1 | 学校関連費等増加 | +約22万円 | 約670万円 |
| ここから働き方を変更(調剤薬局の正社員で年収550万円) | ||||
| 2030年 | 小5・小3 | 正社員になる | +260万円 | 約950万円 |
| 2032年 | 中1・小5 | 教育費さらに増加 | +230万円 | 約1440万円 |
| 2035年 | 高1・中2 | 塾代も増加 | +190万円 | 約2440万円 |
| 2038年 | 大1・高2 | 1人目大学入学 | +100万円 | 約2420万円 |
| 2041年 | 大4・大2 | 2人とも大学生 | +30万円 | 約2550万円 |
正社員に転向・転職して収入をもっと増やすと、教育費が増えても貯蓄をキープしやすくなります。
子ども2人とも大学生の間、貯蓄を大きく取り崩さずに乗り切れそうです。
さらに、厚生年金への加入期間が長くなるなどにより、将来受け取る年金額もアップします。
働く時間が増えることで、被服費や交際費、外食費などが増える可能性があり、貯蓄額等はあくまでも概算になりますが、貯蓄残高が赤字になる恐れが軽減され、安心して家族が過ごしていくことができそうです。
ママ薬剤師へ、FPのアドバイス
子育て中は、働く時間を抑えられる扶養内パートが魅力的に感じられます。
ただ、薬剤師は時給が高い傾向にあり、勤務時間を少し増やすだけでも、扶養の範囲を超える可能性があります。
「扶養を外れると損をする」と思いがちですが、社会保険に加入して働くことで、厚生年金が上乗せされるなどのメリットもあります。目先の手取り額だけでなく、今後必要になる教育費や老後資金の準備まで含めて考えることが大切です。
今回のケースのように、これから教育費が増えていく家庭では、子どもが小さいうちは働く時間を抑え、成長に合わせて少しずつ収入を増やすという方法もあります。
まずは「年間いくらまでなら扶養内か」だけを見るのではなく、今後必要になる教育費はいくらか、いつから収入を増やせそうかを考えてみましょう。
今回のポイント
1.「扶養内」ではなく、家計全体を見る
今の収入と支出だけでなく、子どもの進学後に教育費がどれくらい増えるのか、将来の家計まで確認しましょう。
2.子どもの成長に合わせて、働き方を見直す
「小学校低学年までは扶養内、その後は勤務時間を増やす」など、数年先まで見通して働き方を考えることも大切です。
柔軟な働き方ができるのは、資格がある薬剤師ならではと言えます。
3.「扶養を外れる=損」と決めつけない
社会保険に加入すると、社会保険料の負担は増えますが、厚生年金に加入できて将来受け取る年金額が増えるなどのメリットもあります。
目先の手取りだけでなく、将来のことまで含めて検討しましょう。
いずれも、働き方を変えるなら、教育費が本格的に増える前から準備することがおすすめです。
また、子どもとの時間や家事・育児との両立も含めて、家族で話し合い、協力しあいながら無理なくつづけられる働き方を検討したいですね。


