大手・中堅ドラッグストア、それぞれの企業研究方法
大手・中堅ドラッグストア、それぞれの企業研究方法
ドラッグストアの企業研究を行う際、就職先の企業の売上高や店舗数だけでなく、当該企業の資本・業務提携状況や、関連企業についてもチェックしましょう。同一グループの企業は、めざす方向や戦略も似ています。一方で、現時点ではグループ内の各企業が独自体制を採っている場合でも、将来的に制度が統合される可能性もあります。
日本チェーンドラッグストア協会によると、2016年度時点で全国に1万8,874店舗(推計)のドラッグストアがあります。そのうち、売上高上位10社の合計店舗数は、なんと1万215店舗に及び、全体の約半数以上を占める規模。大手10社の占有率がわずか10%の薬局業界と比べると、大手企業による市場占有率の高さは明らかです。
だからこそ、ドラッグストアへの就職を考えるうえでは、企業間の関係性もしっかりと理解しておきましょう。
市場規模や店舗数など「ドラッグストア業界」に関する情報はこちら
大手ドラッグストア
大手ドラッグストアは、スケールメリットを生かして、医薬品などの大量仕入れや、物流拠点の統廃合によるコスト・経費削減に取り組んでいます。近年は、初期投資額を抑えるため、M&Aによる店舗拡大を進めているのも特徴です。
業界別ランキング ドラッグストア編
順位 | 企業名 | 売上高 | 前年度比 | 店舗数 |
---|---|---|---|---|
1 | ウエルシアホールディングス | 6,232億円 | 117.9% | 1,532店 |
2 | ツルハホールディングス | 5,771億円 | 109.4% | 1,755店 |
3 | マツモトキヨシホールディングス | 5,161億円 | 99.8% | 1,555店 |
4 | コスモス薬品 | 5,027億円 | 112.4% | 827店 |
5 | スギホールディングス | 4,308億円 | 103.8% | 1,048店 |
6 | サンドラッグ | 3,810億円 | 103.0% | 831店 |
7 | ココカラファイン | 3,748億円 | 101.0% | 1,304店 |
8 | カワチ薬品 | 2,664億円 | 102.2% | 311店 |
9 | クリエイトSDホールディングス | 2,473億円 | 106.7% | 666店 |
10 | クスリのアオキホールディングス | 1,887億円 | ー | 386店 |
◆ウエルシアホールディングス
- 24時間営業の店舗数を拡大
- 全店舗の約7割を調剤薬局併設型店舗に
- 「クスリのマルエ」と資本業務提携を締結
◆ツルハホールディングス
- カウンセリングを主体とした接客サービスの徹底
- 既存店舗のスクラップアンドビルドを実施
- 食品をはじめプライベートブランドの充実
◆マツモトキヨシホールディングス
- 健康サポート薬局の認定取得の推進
- 外国人観光客向けの免税対応店を380店舗に拡大
- ポイントカード等の会員数が延べ4,800万人を突破
◆コスモス薬品
- EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)の徹底
- 物流や店舗作業のローコストオペレーションを推進
- 新商勢圏への店舗網拡大
◆スギホールディングス
- 物流の中核機能を担う「大府センター」の竣工
- 2016年9月、本部機能を大府センター内に移転
- 研修システム「社内大学(スギカレッジ)」を設置
企業研究の方法
上場企業は、IR情報をチェックするのがおすすめです。
IR情報には、売上高の推移や財務状況の他、事業戦略や成果、課題が記載されているので、中長期的なキャリアプランを考える際の参考になります。
また、企業の採用ページには先輩薬剤師の体験談、キャリアパス、福利厚生など、実際に働くうえでの具体的な内容が紹介されているので、こちらも合わせてチェックしてください。
学生必見!IR情報の見方がわからない方は、こちらの記事をチェック!
「投資家向け情報(IR情報)を使った企業研究の仕方①」
「投資家向け情報(IR情報)を使った企業研究の仕方②」
中堅ドラッグストアチェーン
先述の大手ドラッグストアと、グループや資本業務提携関係にない企業です。
中堅薬局チェーンの出展戦略と同様、地域を絞って出店することで、経営効率を上げるドミナント戦略を採っている企業が多いです。地域の健康ステーションとして、住民との交流を図るキャンペーンを実施することも珍しくありません。また、介護事業や医薬品・食品の製造販売など、ドラッグストア以外の事業を手がける企業もあります。
中堅ドラッグストアチェーン 一覧
企業名 | 本社 | 店舗展開地方 |
---|---|---|
株式会社薬王堂 | 岩手県 | 東北 |
株式会社クスリのマルエ | 群馬県 | 北関東 |
株式会社セキ薬品 | 埼玉県 | 関東 |
株式会社ケイポートドラッグマート | 東京都 | 関東 |
株式会社スギヤマ薬品 | 愛知県 | 東海 |
株式会社アマノ | 愛知県 | 東海 |
株式会社アカカベ | 大阪府 | 関西 |
株式会社ケア―ズ | 大阪府 | 関西 |
株式会社ジュンテンドー | 島根県 | 中国 |
株式会社サンキュードラッグ | 福岡県 | 九州 |
企業研究の方法
IR情報を公開している場合は、それを確認しましょう。IR情報がない場合は、ホームページの「企業概要」「沿革」や、採用ページをチェックして、企業の業績や事業戦略、課題などについてきちんと把握しておきましょう
なかには、「先輩社員情報」や「教育研修制度」を紹介している企業もあります。これらの情報は、中長期的なキャリアプランを考えるうえで、とても大切な情報。ぜひじっくり読んで、自身の考えや理想と一致しているかを確認してください。
◆最後に
大手と中堅で、それぞれの企業研究方法の違いを紹介しました。企業研究の方法はこの他にもありますから、自分や企業に合ったやり方を見つけてください。
総じてドラッグストア業界は、企業ホームページが非常に充実していますから、企業研究はしやすいです。また、業務提携やM&Aも頻発しているので、当該サイトの「ニュース」などから、最近の動きをチェックするのもおすすめです。
【参考文献】
ウエルシアホールディングス「平成29年2月期決算短信」、ツルハホールディングス「平成29年5月期決算短信」、マツモトキヨシホールディングス「平成29年3月期決算短信」、コスモス薬品「平成29年5月期決算短信」、スギホールディングス「平成29年2月期決算短信」、サンドラッグ「平成29年3月期決算短信」、ココカラファイン「平成29年3月期決算短信」、カワチ薬品「平成29年3月期決算短信」、クリエイトSD ホールディングス「平成29年5月期決算短信」、クスリのアオキホールディングス「平成29年5月期決算短信」「日本チェーンドラッグストア協会「2016年度版日本のドラッグストア実態調査」