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業界研究 ~医薬品卸編~

医薬品卸業界について「業界概要」「業界展望」「職種と業務」「働き方とキャリアパス」についてご紹介します。

業界概要:市場規模は縮小傾向、大手4社による寡占が続く

医薬品卸業界はここ20 年間の業界再編により、本社数、従業員数ともに激減しました。日本医薬品卸売業連合会の調べでは、1992 年時点で351 社あった本社数は2017年6月末時点で72社に、従業員数は7万5200人から5万6300人へと縮小しています。
現在は「メディパルホールディングス」「アルフレッサホールディングス」「スズケン」「東邦ホールディングス」の4グループで市場の8割強を占有。2016年度の市場規模は、8兆9000億円でした。

業界展望:薬価引き下げの厳しい環境。他事業への参入が増加

薬価制度改革(詳細は「業界研究 製薬企業編」を参照)に伴う薬価引き下げについて、卸企業は無縁ではいられません。「妥結率」「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」「卸以外の事業展開」が今後のキーワードとなりそうです。

妥結率の報告・単品単価取引の推進

卸企業と医療機関の取引は、大きく「単品単価取引」と「総価取引」に分かれます。「単品単価取引」は医薬品ごとに取引価格を決めるやり方。一方、総価取引は医療機関が購入する全医薬品の合計薬価を算出し、そこから一律で割引して取引価格を決めます。
総価取引ではそれぞれの医薬品がいくらで取引されたのか不明瞭で、正確な薬価が分かりません。よって国は適切な薬価改定を行うために「単品単価取引」と「妥結率の報告*」を促しています。しかし、取引する品目は膨大なため、価格交渉や報告が難航することも懸念されています。*妥結率:妥結とは、取引価格が決定しているもの。
妥結率=医薬品卸企業と医療機関で妥結した医療用薬品の薬価総額÷ 医療機関が購入した医療用医薬品の薬価総額

後発医薬品(ジェネリック医薬品)

後発医薬品の使用促進が進んでいる昨今、銘柄数の多い後発医薬品は卸企業の在庫管理や流通面で負担になっています。とはいえ、医療費削減のためにも後発医薬品のシェア拡大は必須。卸企業各社は、医薬品管理と流通における業務の効率化とコスト削減が急務といえそうです。

卸以外の事業展開

薬価引き下げなど医薬品卸業界を取り巻く環境が変化するなか、卸企業各社は医療をベースとした事業の多角化を進めています。薬局事業や介護事業、医薬品メーカーを対象とした物流受託など、事業の幅を広げることで収益拡大を図っています。

医薬品卸企業の職種と業務

医薬品卸業界での主な職種は、医療機関への医薬品の販売と情報提供を行うM S( Marketing Specialist /営業担当者)と、医薬品の品質管理などを行う管理薬剤師です。

M S

  • 医薬品・医療材料の供給
  • 医薬品情報の収集と供給
  • 医薬品の価格交渉

病院や薬局など医療機関を訪問して医師や薬剤師のニーズを汲み取り、適当な医薬品や医療材料などを滞りなく供給します。ですから、幅広い商品知識は必須。また、医薬品の納入価格に関する医療機関との交渉も重要な役目の一つです。
そのほか、インフルエンザなど季節性疾患の流行情報の提供、医療機関から医薬品服用後の効果や副作用に関する情報収集も行います。

管理薬剤師

  • 品質管理
  • 薬価管理
  • DI 業務・PMS 業務

倉庫に保管している商品の品質管理のほか、薬事関連法令の確認や各種届出、販売記録などの保管管理も管理薬剤師の仕事です。また、自社のMS や医師、薬剤師からの問い合わせに対して情報提供をするDI 業務では、研究論文やデータから情報を収集。医薬品の有効性・安全性を調査するPMS 業務では、メーカーから受託した安全確保業務(市販直後調査、製品の回収、依頼された医薬品情報の伝達・文書配布など)を行うために、管理薬剤師がMS を指揮して業務をまとめます。

製薬企業での働き方とキャリアパス

働き方

M S は各営業所での勤務を基本とし、転勤を伴わないケースが一般的です。一方、管理薬剤師も各営業所での勤務が基本ですが、企業によっては系列の調剤薬局へ出向する場合もあります。転勤や出向の有無は企業によって異なりますので、企業のホームページや説明会などで確認しましょう。

キャリアパス

M S は、営業経験を重ねるにつれ、徐々により広いエリア、より多くの医療機関を担当するようになります。その後、係長や課長などにステップアップするのが一般的。さらに、地域の営業所の所長、都道府県の営業エリアの部長職などにもキャリアパスを進められます。
管理薬剤師は、医薬品情報、薬事関連法規の知識を高めながら管理職を目指します。その他、自社のDI室を担当したり、傘下の調剤薬局に出向したりといったケースもあります。

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【参考文献】
厚生労働省「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」、日本医薬品卸売業連合会「2018~2019 医薬卸連ガイド」