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業界研究 ~薬局編~

薬局業界について「業界概要」「業界展望」「職種と業務」「働き方とキャリアパス」についてご紹介します。

業界概要:医薬分業率は数から質を重視する時代に

2018年度の薬局数は5万9613件と前年に比べて475件増加しました。また、医薬分業率は74.9%と順調に拡大しており、今後は医薬分業の質を高めていくことが求められています。
一方で、薬局で働く薬剤師数は堅調に増えています。2018年末時点の調剤薬局に勤務する薬剤師は18万415人。これは全薬剤師数の58.0%に当たり、過半数以上の薬剤師が調剤薬局に在籍しています。

市場規模の指標となる調剤医療費は、前年よりも3.1%減少し約7兆4279億円でした。縮小した最大の要因は薬剤料の減少です。
2018年度診療報酬改定の薬価改定の影響を大きく受けました。

薬局数の推移

薬局数の推移

業界展望:患者の健康維持・管理だけでなく、医療費削減にも役割

2025 年に向けて国は地域包括ケアシステムの構築を推進しています。そのなかで薬局の果たすべき役割として示されたのが「かかりつけ薬局・薬剤師」です。
また、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進や、ポリファーマシー対策を中心とした減薬、残薬調整の取り組みにも期待がかかります。

かかりつけ薬局・薬剤師

かかりつけ薬剤師には、医療機関と適切に連携しながら、一元的に服薬管理することが求められます。さらに、24時間対応と在宅対応も必要です。
2018年度調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師」の算定要件が一部変更となりました。現在の要件は下記の通り。

①保険薬剤師として3 年以上の薬局勤務経験、当該薬局に週32 時間以上勤務、施設基準の届出時点で当該薬局に1年以上在籍
②薬剤師認定制度認証機構の研修認定等を取得
③医療に係る地域活動に参画

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の推進

2017年度の後発医薬品の数量割合は65.8%。行政は医療費削減のため、2020年9月までに80%を目標に掲げています。それに伴い2018年度調剤報酬改定では、後発医薬品の数量割合が85%以上の薬局についてさらに評価されるようになりました。

ポリファーマシーへの介入

薬剤師には、薬学的知見に基づいたポリファーマシー(多剤併用)への介入と服薬状況の改善が求められています。それを後押しするべく、2018年度調剤報酬改定では「服用薬剤調整支援料」の新設をはじめ、複数の項目で評価されました。
ポリファーマシー対策の減薬は、患者の健康改善はもとより、医療費削減にも大きな効果があります。日本薬剤師会によると、薬剤師の疑義照会によって年間約103 億円もの薬剤費を削減できるという試算が出ており、患者への安全な医療の提供と薬剤費削減における薬剤師の貢献に期待が高まっています。

薬局薬剤師の業務

主な業務

  • 調剤/服薬指導
  • 訪問服薬指導
  • 薬歴管理
  • 健康相談
  • 検体検査

薬局業務の柱は「調剤」と「服薬指導」ですが、国をあげて「対物業務から対人業務への転換」が求められているいま、「服薬指導」がより重要視されていくでしょう。
調剤スキルをもっていることは前提として、「訪問服薬指導(在宅医療)」「ポリファーマシーへの介入や残薬管理」「24時間対応」「健康相談への対応」などが薬局薬剤師の役割です。そのほか、地域の医療機関や介護施設、地方自治体との連携など、地域包括ケアシステム推進のもと、薬局外にまで職域は拡大しそうです。

薬局薬剤師の働き方とキャリアパス

「チェーン薬局」でも「個人経営の薬局」でも「業務内容」はほぼ同じですが、その「働き方」や「キャリアパス」は大きく変わります。もちろん企業によって異なりますので、企業のホームページや個別の企業説明会、合同企業説明会などでしっかり確認しましょう。

働き方

「チェーン薬局」の場合、転勤や勤務時間制限の有無によって多様な「働き方」を用意しているケースが一般的。また、ライフステージの変化によって雇用形態を変更できる企業もあります。一方、「個人薬局」の場合はあまり制度化しておらず、オーナーの判断で柔軟に対応するケースも少なくありません。

キャリアパス

「チェーン薬局」「個人経営の薬局」どちらも薬局で働く勤務薬剤師、管理薬剤師のポジションは変わりません。しかし、「チェーン薬局」の場合は、複数店舗をマネジメントする「エリアマネジャー」や本社の「人事」や「商品管理」部門など多様なキャリアパスがあります。対して「個人経営の薬局」の場合は、経営者との距離が近く、経営の中核で薬局の運営に携わるチャンスの多さが魅力といえます。
どんな規模の調剤薬局で働くにせよ、「かかりつけ薬剤師」の重要性は今後ますます増していきます。そのため、薬局でのキャリアアップを目指すならば、研修認定薬剤師の資格は必要不可欠といえるでしょう。

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【参考文献】
厚生労働省「平成30 年度衛生行政報告例の概況」「平成30 年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」「平成30 年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」