
出産・育児を経て仕事に復帰するママ薬剤師にとって、時短勤務制度は仕事と育児を両立するための心強い制度です。
しかし、子どもの成長とともに「時短勤務をいつまで続けよう?」と悩む方は少なくありません。
時短勤務を長く続ければ仕事の負担は軽くなりますが、収入やキャリアへの影響も気になります。一方で、早くフルタイムへ戻れば仕事の幅は広がるものの、家事や育児との両立が難しくなることもあります。
この記事では、ママ薬剤師が知っておきたい時短勤務制度の基本や、終了時期を決める判断基準、そしてスムーズに時短勤務を卒業するポイントを解説します。
記事のポイント
・3歳以降も時短勤務ができる職場が増えている。
・子どもの状況、収入、キャリアへの影響などが時短を終える判断基準。
・時短の終了は、自分と家族に合ったタイミングを選ぶのが大切。
ママ薬剤師が知っておきたい時短勤務制度とは

まずは、時短勤務制度の基本的なしくみを確認しておきましょう。
法律上は子どもが3歳になるまで利用できる
時短勤務制度(短時間勤務制度)は、育児・介護休業法で定められた制度です。
原則として、会社は、3歳未満の子どもを育てる労働者が1日の所定労働時間を6時間程度まで短縮して働けるよう制度を整えなければなりません。
薬剤師の場合も、調剤薬局や病院、ドラッグストアなど勤務先を問わず、一定の条件を満たせば利用できます。
「3歳まで」と聞くと、「意外と短いな」と感じる方も多いかもしれません。実際、1歳で保育園に入園した場合、時短勤務を使える期間は2年間ほどということになります。
会社によっては小学校入学前・小学校卒業まで利用できる場合もある
子どもが3歳になった後、時短は「努力義務」となり、子どもが何歳まで時短勤務ができるかは勤務先によって異なります。
厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、育児のための短時間勤務制度を設けている事業所は77.5%あり、その最長利用可能期間は次のようになっています。
| 時短勤務の最長利用可能期間 | 事業所の割合 |
|---|---|
| 3歳未満 | 29.5% |
| 3歳〜小学校就学前の一定の年齢 | 4.7% |
| 小学校就学の始期に達するまで(未就学児の間) | 15.3% |
| 小学校入学〜小学校3年生(または9歳) | 5.1% |
| 小学校4年生〜小学校卒業(または12歳) | 5.0% |
| 小学校卒業以降まで | 17.8% |
参考:「育児・介護休業制度等に関する事項」/厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」
このように、法律通りの「3歳未満まで」としている企業は約3割で、残りの多くの企業では小学校入学前や小学校卒業までなど、独自の延長規定を設けていることがわかります。
特に、女性薬剤師の多い大手調剤薬局チェーンや病院、製薬会社などは、子育てと仕事を両立しやすいよう独自に制度を充実させています。
一方で、個人薬局や少人数の店舗では「3歳まで」となっている場合も一般的です。
まずは勤務先の就業規則や育児休業規定がどうなっているかをきちんと確認してみましょう。
ママ薬剤師は実際いつまで時短勤務を利用している?

制度上は長く使えたとしても、実際のところいつまで時短勤務をするかは、人によって異なります。ここでは、よくある3つのパターンをご紹介します。
保育園卒園まで利用するケース
ママ薬剤師の選択で多いのが、保育園を卒園して小学校に入学するタイミングまで時短勤務を続けるパターンです。
保育園に通っている間は、熱による急な呼び出しも多く、保育園の送迎時間も決まっています。子どもが小さい間はあまり遅い時間まで預けたくないという思いもあります。
一方で、あまり時短を長く取ると職場に申し訳ない、キャリアの面でも不安だということもあります。
そのようなことを考えて、仕事と育児の両立に一番手がかかる時期を時短勤務で乗り切り、小学校入学で区切りをつけようという選択です。
小学校低学年まで続けるケース
近年は、小学校入学後も時短勤務を続ける人が増えています。
いわゆる「小1の壁」と呼ばれるように、小学校は保育園より帰宅時間が早く、夏休みなどの長期休暇もあります。
学童保育を利用するとしても、長期休みの間はお弁当作りが必要になったり、宿題のサポートが必要になったりと、親の手がかかる場面は意外と減りません。
環境の変化によって子どもがメンタル面で不安定になることも多いため、「子どもが学校生活に慣れるまでは時短を続ける」という選択になるのです。
関連記事【ママ薬剤師必見】小1の壁とは?仕事と子育てを両立するための対策を解説
時短勤務を利用せずフルタイムへ戻るケース
一方で、制度上では時短勤務が可能でも、自分なりのタイミングでフルタイムに戻るママ薬剤師もいます。
理由としては以下のようなものが挙げられます。
・配偶者や祖父母のサポートがある
・職場の人数に余裕がない
・収入を優先したい
・管理薬剤師などキャリアアップを目指したい
家庭のサポート体制が整っていれば、早い段階でフルタイムに戻ることも十分可能です。
ママ薬剤師がいつまで時短勤務を続けるかの判断基準

時短勤務をいつ終えるべきか悩んだときは、いくつかの視点から整理してみるのがおすすめです。ここでは5つの判断基準をご紹介します。
1. 勤務先の時短勤務の制度
第一に確認すべきは、勤務先の時短制度がどうなっているかです。
制度が「3歳まで」なのか、「小学校入学前まで」なのか、「小3まで」なのかによって、選択肢が決まります。
法律通り3歳までならば考える余地はありません。一方で、小学校入学以降も使えるのならば、自分で最も適当な時期を選ぶことができます。
2. 学童保育や預け先の状況
時短勤務をいつまで続けるかを考える際は、学童保育や子どもの預け先の状況も重要な判断材料になります。
まず知っておきたいのは、学童保育の利用環境は自治体によって大きく異なるということです。定員に余裕がある地域もあれば、待機児童が発生している地域もあります。
開所時間や長期休暇中の利用ルール、延長利用の有無なども自治体ごとに違います。
小学校へ入学すると「保育園より楽になる」と思われがちですが、実際には保護者の負担が増えるケースも少なくありません。
学童保育で保護者会や係活動などがあり、保護者が関わる機会が保育園より多い地域もあります。
関連記事【ママ薬剤師向け】小学生の夏休み「預け先がない!」を乗り切る徹底ガイド
3. 時間的・体力的な負担
ママ自身の体力やメンタル面の負担も決して軽視してはいけません。
薬局での業務は、立ち仕事が多く、常に緊張感をもって調剤や監査を行わなければなりません。帰宅後も休む間もなく、料理、洗濯、お風呂、宿題のチェックなどをこなすことになります。
また、小学生になったら習い事の送迎が必要になることがあるかもしれません。
仕事も子育てもまだまだ長く続いていきます。心身ともにゆとりを持てるかどうかも大切な基準です。
4. 収入
時短勤務を利用すると、多くの場合勤務時間が短くなった分だけ給与や賞与が減額されます。
住宅ローンがあったり、今後の教育費のことを考えたりして、フルタイム勤務に戻すという選択肢もあります。
一方で、薬剤師は比較的給与や時給の水準が高く、時短を取ってもある程度の給与は確保できるので、収入よりも子どもとの時間を優先したいという考え方もあります。
収入の多さだけでなく、生活全般を見通してどう考えるかという視点も大切です。
5. 薬剤師としてのキャリアへの影響
子育て中は、どうしても生活の中心が子どもになり、自分のキャリアは後回しになりがちです。
しかし、ママである前に、一人の薬剤師でもあります。将来どのような薬剤師として働きたいのか、どのような働き方を目指したいのかを、ときどき立ち止まって考えてみることも大切です。
時短勤務は勤務時間が限られるため、管理薬剤師への登用や新しい業務への挑戦、研修への参加などの機会が少なくなります。時短勤務だから評価されないわけではありませんが、フルタイム勤務の薬剤師と比べると、任される仕事の幅は限られてしまうでしょう。
だからこそ、「子どもが○歳になったらフルタイムに戻る」「管理薬剤師を目指す」など、自分なりのキャリアプランを描いておくことをおすすめします。
時短勤務の終了をスムーズに迎えるポイント

いよいよ時短勤務を終えるとなったとき、スムーズに乗り切るためのポイントをまとめました。
家庭内での家事・育児分担の再構築
時短勤務が終わる前に見直したいのが、夫婦の役割分担です。
時短勤務中は、どうしてもママ側に家事や育児の負担が偏りがちです。
そのままの役割分担でフルタイムに戻してしまうと、ママの負担が一気に増えてしまいます。
ママがフルタイムになることは、家庭全体のシステムをアップデートするタイミングでもあります。
家事の分担や、子どもの宿題の見守りをどうするかなどを夫婦で話し合い、 フルタイム勤務を前提としたやり方に見直しましょう。
子どもの預け先や急病時のサポートを確保しておく
フルタイムに戻ると、残業や突発的なトラブルへの対応が必要になる場面が出てきます。また、子どもが急に病気になった際に仕事を休む調整も難しくなることがあります。
祖父母や病児保育など、いざという時に頼れるセーフティネットを用意しておきましょう。
子育てに理解のある職場を選ぶ
時短勤務終了後も、子どもの体調不良や学校行事への参加などで、仕事を休まなければならない事態は起こります。
もし現在の職場がフルタイムで働くには負担が大きすぎると感じる場合は、子育て中のママ薬剤師に理解のある別の職場へ転職することもひとつの方法です。
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時短勤務の終了は家庭に合ったタイミングで

働くママへの育児支援の流れのなかで、時短勤務も行いやすくなってきました。
そのぶんいつまで時短勤務を続けるかは、それぞれが判断しなければならなくなっています。
いつまで時短勤務を続けるかに絶対の正解はありません。
子どもを取り巻く 環境や家族の状況を考えながら、納得のいくタイミングと働き方を見つけてください。



