
出産や育児を機に働き方を見直すママ薬剤師は少なくありません。子どもとの時間を大切にしながらも、薬剤師としてのキャリアを継続したいと考える中で、「ラウンダー薬剤師」という働き方に興味を持つ方もいるでしょう。ただ、現在の職場ではラウンダー薬剤師と関わることがないため、どのような仕事なのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ラウンダー薬剤師の仕事内容やメリット・デメリット、ママ薬剤師との相性について解説します。
記事のポイント
・ラウンダー薬剤師は複数の店舗で勤務するため、幅広い経験を積みながらスキルアップできる。
・高収入や人間関係の負担が少ないといったメリットがある一方で、移動や環境変化への対応が求められる。
・ママ薬剤師には難しい場合もあるが、家庭のサポート体制や勤務条件次第では活躍できる。
ラウンダー薬剤師とは

まずは、ラウンダー薬剤師がどのような働き方なのか、仕事内容や気になる待遇面について整理していきましょう。
ラウンダー薬剤師の仕事内容
ラウンダー薬剤師とは、特定の店舗に固定で勤務するのではなく、同じチェーンやグループ内の複数店舗を巡回(ラウンド)し、人手が不足している店舗をサポートする薬剤師のことです。
主な仕事内容は、基本的には通常の調剤薬局やドラッグストアの業務と変わりません。
・調剤、監査、服薬指導、薬歴管理
・在庫管理の補助
・店舗間の調剤ルールの橋渡し
ラウンダー薬剤師の最大の特徴は、毎日、または数日~数週間単位で勤務する店舗が変わるという点です。「A店で午前中だけ勤務し、午後はB店の応援に入る」という日もあれば、「今週はC店、来週はD店」というケースもあります。
急に休んだ社員や、時短中の社員のヘルプに入る場合もあります。
ラウンダー薬剤師の待遇
ラウンダー薬剤師は、店舗を転々とする負担が大きく、高い即戦力が求められることから、一般的な固定勤務の薬剤師よりも給与が高く設定されているケースがほとんどです。
正社員の場合は年収500万円〜700万円程度がめやすとなり、地域や企業によってはさらに高額なケースもあります。
移動にかかる交通費が支給され、長期間の場合は出張手当がつく場合もあります。
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ママ薬剤師がラウンダー薬剤師になるメリット

ここからは、ママ薬剤師がラウンダー薬剤師になるメリットをみていきましょう。
シフトの融通が利きやすい
ラウンダーは特定の店舗のシフトに縛られないため、柔軟にスケジュールを組むことができます。
基本的に本部の管轄となり、店舗に固定された存在ではないので、定期的な巡回のスケジュールはある程度自分の都合に合わせることも可能です。
時給・年収が高い傾向がある
先述したように、ラウンダー薬剤師は一般薬剤師に比べて高年収となっています。これは子育てに何かとお金がかかるママ薬剤師にとって魅力的だといえるでしょう。
スキルアップになる
ラウンダー薬剤師は複数の店舗で勤務するため、さまざまな処方や患者さんに触れることができます。「A店では小児科メイン、B店では高血圧や糖尿病などの処方が多い内科メイン、C店では面対応で幅広い処方」といった経験を短期間で積むことができます。
また、店舗ごとに異なる動線や調剤機器に触れることで、どんな環境でもすぐに順応できる高い実務スキルと対応力が身につきます。
人間関係に縛られにくい
仕事をしていて一番ネックになるのは人間関係です。固定の店舗に勤務していると、万が一、高圧的な上司や気の合わないスタッフがいた場合、毎日の勤務が憂鬱になってしまいます。
しかし、ラウンダー薬剤師であれば、特定の店舗の人間関係に深く巻き込まれることがありません。「少し苦手な人がいるな」と思っても、数日後には別の店舗に移るため、適度な距離感を保ちながらドライに業務をこなせます 。人間関係のストレスから解放されるのは、メンタル面で大きなメリットです。
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ママ薬剤師がラウンダー薬剤師になるデメリット・懸念点

メリットが多い一方で、ラウンダー薬剤師には特殊な働き方ならではのデメリットも存在します。
通勤・勤務地の変動
ラウンダー薬剤師は、毎日、または週単位で勤務する店舗が変わるため、通勤ルートや所要時間が安定しません。日によって家を出る時間や帰宅時間が変動することがあるので、保育園の送迎や夕飯の支度といったタイムスケジュールに影響が出やすいのが難点です。
毎回新しい環境に適応する必要がある
ラウンダー薬剤師は複数の店舗で勤務するため、店舗ごとに異なる電子薬歴システムや調剤機器、業務ルールに対応しなければなりません。
また、一緒に働くスタッフも毎回変わるため、その職場の雰囲気を把握してコミュニケーションを取っていくことになります。
毎回、慣れない業務に入って素早く順応する必要があるため、精神的な疲労が溜まりやすい側面もあります。
急な休みが取りにくい
ラウンダー薬剤師は基本的に人手が不足している店舗の「穴埋め」として応援に入るため、自分が休むと二重に穴埋めが必要となってしまいます。子どもの急な体調不良などで突発的な欠勤をする際、周囲に迷惑をかけてしまうというストレスがより強くなってしまうでしょう。
幅広いスキルの維持
応援先の薬局によって処方される薬の傾向が異なるため、常に幅広い診療科の知識を維持しておく必要があります。どの店舗に行っても即戦力として動けるだけの、高い臨床スキルと臨機応変な対応力が求められるので、忙しいなかでも勉強を続けなければなりません。
ラウンダー薬剤師はママ薬剤師には難しい?

ここまでラウンダー薬剤師のメリットとデメリットを見てきましたが、実際のところ子育て中のママ薬剤師がラウンダーを務めることは可能なのでしょうか。
結論から言うと、何も対策をせずにラウンダー業務をこなすことは、子育て中のママ薬剤師にはハードルが高いと言えるでしょう。
ただ、条件を整えることができれば、ママ薬剤師でもラウンダーをすることはできます。
自宅から通いやすい限定的なエリアで巡回できれば、移動時間のブレを最小限に抑えられるので、お迎えや家事への影響を防げます。
また、フルタイムではなく、あらかじめ勤務時間や日数が固定された契約であれば、無理なく働くことができるでしょう。
ラウンダーとして働く際に欠かせないのは家族の協力です。配偶者や両親などのサポート体制がしっかりしていて、保育園の送り迎えや急病への対応をいつでも頼める環境であれば、ラウンダー特有の働き方にも柔軟に対応できます。
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自分に合った働き方で、ママ薬剤師として長く働こう

ラウンダー薬剤師は、高収入やスキルアップが期待できる魅力的な働き方です。複数の店舗を経験することで薬剤師としての視野も広がり、キャリア形成にも役立ちます。
しかし、移動の多さや急なスケジュール変更など、子育て中のママ薬剤師にとっては負担となる面が多いのが実情です。
大切なのは、「ラウンダーが良いか悪いか」ではなく、現在の家庭環境やライフステージに合っているかどうかです。
無理なく長く働き続けられる環境を見つけることが、ママ薬剤師として充実したキャリアを築く第一歩になります。



