説明会活用のポイント
就職活動が進むにつれ、企業の採用担当者と顔を合わす機会が増えますが、最初の「顔合わせ」といえるのが「説明会」です。
しかし、説明会と一口に言っても、主催者によって規模も目的もさまざま。
各説明会の目的を正しく理解し、就職活動に有効な情報を効率よく収集しましょう。
説明会の種類
説明会は、「会社説明会」と「合同説明会」の2タイプがあり、「合同説明会」は「学内合同企業説明会」と「合同企業説明会」の2つに分かれます。
(各説明会については、「就職活動の用語説明 ~就活準備編~」をご覧ください)
各説明会の特徴を表にまとめました。
会社説明会 | 学内合同企業説明会 | 合同企業説明会 | |
企業数 | 1社 | 複数社 | 複数社 |
主催者 | 企業 | 大学 | 就職支援企業 |
会場 | 企業内もしくはレンタルスペース | 大学内 | レンタルスペース |
所用時間 | 1時間~2時間 | 20~30分(1社当たり) | 20~30分(1社当たり) |
目的 | 1社の企業をより深く理解すること | 多くの企業に関する情報を収集し、理解を深めること | 多くの企業に関する情報を収集し、理解を深めること |
まず、「会社説明会」と「合同説明会」は目的が大きく異なります。
「会社説明会」は、各企業が主催し、自社の理念や事業戦略といった概要から、薬剤師の業務内容や給与などの勤務条件、キャリアパス、研修制度まで、幅広く深い情報を得ることができます。
また、採用選考のフローについても説明されます。
なかには、会社説明会を選考の一環として位置づけ、書類応募の前に説明会への参加を必須とする企業もあります。
会社説明会のメリットは、志望の企業について幅広くかつ深い情報を得ることができる点でしょう。
反対にデメリットは、企業ごとに行なわれるため、興味のある企業すべての説明会に参加するには時間と手間がかかることです。
一方、「合同説明会」は一つの会場内に複数の企業が出展するものです。
学生は、各企業のブースを自由にまわって情報収集することができ、各ブースでは、企業の採用担当者が自社の魅力や特徴について説明したり、学生からの質問に答えたりします。
また、開催時期によって説明会の内容が異なります。
就職活動のスタート前、3月以前に開催される説明会は、業界研究や職種研究を行なう場として、3月以降の説明会は、前述のように企業の魅力や特徴を知る場となっています。
合同説明会に参加するメリットは、とにかく多くの企業の情報を効率良く集められる点です。
対してデメリットは、一つの企業についてとことん詳しく情報を得るという点において、前述の「会社説明会」に比べると少し劣るという点でしょう。
まだある! 説明会に参加するメリット
◆ ①説明会でしか得られない情報を入手
売上高や事業内容はホームページでも分かりますが、説明会だからこそ得られる情報もあります。
例えば、薬局のホームページやパンフレットでは、業務内容に「調剤業務・服薬指導」と表記されていることがほとんどですが、実際は企業によって人員体制や就業スタイルなど、大きく異なります。
説明会では、採用担当者から、職場の雰囲気や患者層、1日の業務フローなど、より具体的な現場の状況を聞くことが可能です。
◆ ②就活仲間ができる
説明会では、あなたと同じ就職活動中の薬学生と多く出会います。特に同じ企業の説明会に参加している学生は、興味や志向があなたと似ているはず。
初対面の相手に話しかけるのは勇気がいるとは思いますが、ぜひ積極的に声をかけてみてください。
就活仲間がいると、企業情報を協力して集められますし、初めての就職活動の大きな心の支えとなるでしょう。
◆ ③選考で有利になることも!?
説明会は、採用担当者と会える大きなチャンス。
つまり、自身のやる気をアピールするチャンスでもあります。
説明会では、担当者の話を真剣に聞くだけでなく、積極的に質問をして担当者の記憶に残るようアピールしましょう。
説明会ではどんな質問をするべき?
説明会は採用担当者や実際にその企業で働いている人の声を聞ける貴重な機会です。ただ聴講するだけで満足するのではなく、就職先を選ぶうえで自分にとって必要な情報を集めましょう。
企業研究を進めるうえで押さえるべき情報は下記10項目です。
◆ 1.企業理念に共感できる
企業理念と、自分の思い描く「理想の薬剤師像」のベクトルが同じであることは、長く働くうえで非常に重要です。
掲げた理念の実現に向けてどんな取り組みをしているのか、具体的に把握しましょう。
質問例
- 企業理念を実現するために、どんな取り組みをしていますか
- 企業理念を実現するために、薬剤師にどんな資質・行動を求めていますか
◆ 2.経営を信頼できる
医療業界は診療報酬改定を始め、法制度の変化に経営が左右されやすい業界です。
こうした変化をどう捉え、どのように舵取りをしていくつもりなのかしっかりと把握しましょう。
質問例
- 厚労省の通知で非薬剤師の業務領域が拡大しましたが、御社ではどのように対応していく予定ですか。
- 中長期計画について、コンセプトや注力事業を教えていただきたいです。
◆ 3.組織風土や文化になじめる
組織の価値観と自分の価値観が合っているかの擦り合わせも大切です。
たとえばドラッグストアの場合、個人の販売実績と店舗全体の売上のどちらがより評価されるかは企業ごとに違います。
OB・OGなど実際に現場で働いている薬剤師が参加している場合は、職場の雰囲気についても聞くとなお良いでしょう。
質問例
- 個人の評価とチームの評価のどちらがより重視されますか。
- 「勤務時間の厳守」「1人当たりの処方箋枚数」など、現場で最も重視されていることを挙げるとしたら、なんでしょうか。
◆ 4.公平・公正な組織運営がされている
薬歴未記載、処方箋の付け替えなど、一部の企業では不祥事が明るみに出ました。就活中に得られる情報には限度がありますが、「コンプライアンスを遵守する企業か」「ボトムアップ型の企業体質か」などできる限りの情報収集を心掛けましょう。
質問例
- 透明性の高い組織運営を意識して取り組んでいることはありますか。
- 若手社員がマニュアルや体制の変更について意見を出して採用された実績はありますか。
◆ 5.融通の利く労働環境がある
企業ごとに福利厚生の充実度はさまざま。ライフイベントの変化に合わせて転勤エリアを選択できたり、時短勤務が可能だったりと柔軟な対応をしてくれる企業のほうが長く働きやすい環境と言えるでしょう。
質問例
- 社宅や住宅補助はありますか。適用される条件と合わせて教えてください。
- 産育休の内容と取得実績について教えてください。
◆ 6.成長機会に富んでいる
入社後、実際にどのように業務を教えてもらえるのかイメージと相違がないか確認しましょう。また、各ポジションに就く年数を把握することで、大まかなキャリアプランを立てることができます。
質問例
- 入社1年目の教育環境について教えてください。
- 管理薬剤師になるまでのおおよその年数と必要なスキルについて教えてください。
◆ 7.成長を可能にする情報や技術、人材が集まっている
導入されている設備やスキルアップの支援制度が整っているか確認しましょう。
また、OB・OGをはじめモデルケースとなるような魅力的な若手社員がいるかどうかも企業選びのポイントのひとつです。
質問例
- 対人業務に集中できるような設備や制度はありますか。
- 活躍している若手社員のキャリアパスについて教えてください。
◆ 8.仕事に意義を感じることができる
現場で働く薬剤師がどこにやりがいを感じているのかを理解し、共感できるか確かめることでミスマッチを防げます。
また、携わりたい業務に従事できるのがいつなのかも必ずチェックすべき項目です。入社後すぐなのか、またはある程度の経験を積んでからなのかを確認しましょう
質問例
- どのようなときにやりがいを感じますか。
- 在宅医療に携わることはできますか。また、それは何年目からですか。
◆ 9.内発的なやる気が湧いてくる
働きがい(6~8)の項目を通じて、前向きに取り組む気持ちが湧いてくるか、自問自答してみましょう。
また、なぜやる気が湧いてきたのか、湧いてこなかったのか理由も考えましょう。
学業や学校行事などで忙しい中、時間を作りづらいとは思いますが、説明会に参加することで得るものは大きいはずです。
ぜひ時間をつくって積極的に足を運ぶようにしましょう。
◆ 10.納得度の高い報酬や評価制度がある
収入や各種手当、また昇格・昇給に関わる評価制度の透明性が高く、納得できることが大切です。役職ごとのモデル年収を把握することで、中長期的なキャリビジョンを描くことができるでしょう。
質問例
- 昇給や昇進のための評価制度はありますか。また、それは社員に公表されていますか。
- 時間外手当などの手当てを含めた見込みの年収(月給)と内訳を教えてください。
説明会などは5年生3月以降の実施になりますが、企業・業界研究イベントなどはそれよりも前に行われることがあります。
企業と少しでも多く接点をもてるよう、3月以前のイベントにも足を運んでみてください。