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"平均年収”にだまされるな!正しい年収の考え方

就職先を決める要素は人それぞれ異なりますが、「年収」は多くの学生が気にすること。
特に私立大学に通う場合、年間約200万円の学費が必要となるため、奨学金制度を利用する方が多くいると思います。
一年でも早く奨学金の返済をしようとすると、どうしても業界や企業の年収に目がいってしまうのではないでしょうか。
しかし、この考えが落とし穴。収入を重視される方は、年収ではなく、その会社に定年まで在籍し続けた場合にもらうことができるお金=生涯年収を考えるようにしましょう。

業界ごとの平均年収

薬剤師の勤務先としてメジャーな業界は病院、調剤薬局、ドラッグストアの3つです。
業界によって年収にどれだけ違いが出るのか、比較してみましょう。

業界・年代別平均年収

上記の表から、年代別にどの業界が最も年収が高いかを表したのが以下の表です。
年収が一番低い業界を1.000としています。

業界・年代別の年収比較

「ドラッグストアは年収が高い」というのはデータ上にも表われており、20代の年収では病院と比較すると約1.2倍の年収差があります。金額差は約85万円なので、かなり大きな違いです。
しかし、年齢が上がるにつれてその順位が入れ替わり、60代では病院が最も年収が高くなります。

次に給与の上がり幅である昇給率を見ていきたいと思います。
前の年代と比較して、年収がどの程度上がっているのか表したのが以下の表とグラフです。

業界・年代別の昇給率比較

昇給率は病院が最も高いことがわかります。全体を通して言えるのは、40代までは年収が上がる傾向にありますが、50代を機に年収が下がることです。
最後に、年代をすべて統合した業界ごとの平均年収は以下に示しました。薬局が一番高い結果になっています。

業界ごとの平均年収

年収をあげるためにはどうすれば良いか

ここまでのデータを見ると、「どの業界も、思っていたより年収は高くない」と思う方も少なくないと思います。
上記のデータはあくまで平均年収なので、これより年収を多くもらっている方はもちろんいます。
では、その高年収の薬剤師たちが実践していることはなにか。それは「長期的視野をもってキャリアアップする」ことです。
以下はある調剤薬局チェーンA社のモデル年収です。

経験5年(店長) 583万円
経験10年(店長) 656万円
経験15年(店長) 827万円

24歳で入社しキャリアアップしていった場合、先述の「業界・年代別平均年収」の調剤薬局勤務の30代(約513万円)、40代(約559万円)と比較すると、その差は30代で約310万円、40代で260万円のプラスとなります。
さらにA社では本社に勤務し、部長職になる場合のモデル年収は約1,200万円となるので、キャリアアップ次第でより多くの給与を手にすることができます。

例えばA社に入社して、15年目で店長になり、そのまま年収据え置きで定年まで勤続した場合、生涯年収は約2億6,554万円となります。
一方、調剤薬局の平均年収パターンで働き続けた場合で換算した生涯年収は、約1億9,449万円です。その金額差は約7,100万円にもなり、退職金制度がある企業の場合は、さらにその差が膨らみます。

この他にも、あらかじめ長期的なキャリアプランを考えたうえで入社した後、スキルを磨き、より給料の高い企業へ転職をする道もあります。

自己分析を確実に

どちらの道を選んだとしても、自身が仕事において何を重視しているか整理することが何よりも大切です。
例えば、「やりがい」であれば、興味がある分野の仕事ができるのか、専門性を高められるのか、頑張りに応じた裁量権や報酬があるかなどです。
重視しているものがわからないまま企業を選択してしまうと、長続きしないケースがあるので注意してください。
例えば、新卒で入社したものの、半年以内に転職するケースがあります。理由は「思っていたよりも仕事が大変だった」というもの。
しかし、より業務負荷が軽い企業へ移っても、少し業務が増えただけで転職をするという「転職癖」がついてしまいます。
そうするとスキルも身に付かず、単に転職回数の多い「仕事が続かない人」という印象をもたれ、回数を重ねるごとに、転職をしづらくなる可能性もあるのです。

可能な限り、長期的な目線で自身の将来をイメージし、慎重に企業選びをしてみてください。