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自己分析の目的と方法

就職活動で自己分析が必要なワケ

自己分析とは、現在の自分を客観的に把握・理解すること。
具体的には、自分の価値観や長所・短所、興味対象などから自分の素質やタイプを知ることです。
その結果と、希望する職種や業務に必要なスキルとを照合することで、業界や職種の決定だけでなく、エントリーシートの作成や面接の応対にも活用することができます。

自己分析を怠るとこんな失敗も!

売り手市場が続く薬学生の就職活動でよくある失敗例。
それは『ミスマッチによる早期退職』です。
「自己分析や企業研究をおろそかにして、1社のみの面接・内定で就職先を決めてしまう」という薬学生は珍しくありません。
しかし、「自己分析」が甘かったために、就職後「入社前のイメージと違った」「仕事を好きになれない」と、早期退職に至るケースは多々あります。
自己分析をふまえて就職活動を進めると、自分の長所や短所、目指すべきキャリアビジョンが明確になります。そのため、エントリーシートや面接での「志望動機」や「自己アピール」にも説得力が生まれ、採用担当者の信頼獲得にもつながるのです。
当然、企業選びにおいても判断基準が明確になるので、入社後のミスマッチや早期退職を防げます。
このように、長期的なキャリアを形成していくうえで、自己分析は非常に重要です。

自己分析の方法

自己分析にはさまざまな方法がありますが、ここではその一部をご紹介します。ぜひ、活用してみてください。

自己分析ワークシート01 自己分析ワークシート02 自己PRワークシート

ワークシートをダウンロードする

1.過去~現在の自分を振り返る

自分がこれまでに打ち込んだことを年代別に書き出し、自分の素質・タイプを分析してみましょう。

2.将来なりたい姿について考える

仕事、私生活で叶えたいことや、めざす理想像を書き出しましょう。
「3年後、5年後、10年後、どんな薬剤師になっていたいか」または「どんな30代、40代を送りたいか」を考えることで、人生において「何に価値を置いているか」が明確になっていきます。

3.他己分析

両親や祖母・祖父・友人に客観的にみた自分の価値観や強みを聞いてみましょう。
自分自身では気付かなかった行動特性や価値観を知ることができます。

自己分析結果の使い方

業界の適性と自分の資質や価値観を照合する

3つのプロセス①~③によって自分の資質や価値観を把握したら、薬剤師が関わる各業界で求められる資質や価値観と照らし合わせてみましょう。
合致していた方が、より自身の資質を生かしやすい業種と言えるでしょう。

各業界に必要なスキル

調剤薬局

「関係を築く力」…かかりつけ薬剤師や在宅業務などにおいて、今まで以上に患者から信頼される関係構築ができる薬剤師が求められる

「傾聴力」…対人業務を行うためのコミュニケーション能力を求められるため、一方的な服薬指導ではなく患者の話に耳を傾ける必要がある

「チームワーク構築力」…在宅医療などにおいて、他の医療従事者との情報共有や協力が求められる

病院

「チームワーク構築力」…チーム医療の中で他職種と協働する必要がある

「他者への理解力」…患者、医療従事者などの考えを理解しようとする姿勢を持つことで、円滑にコミュニケーションをとることができる

「自己研鑽力」…学会発表や、認定薬剤師資格の取得など自ら勉強する姿勢が求められる

ドラッグストア

「会話力」…処方箋がないOTC 薬の販売は患者の状況や希望をうかがい、ニーズに合う商品を紹介する必要がある

「柔軟性」…薬局業務、OTC 薬の販売、レジ打ち、品出しなど、様々な場面に応じて適切な対応ができることが求められる

「目標達成力」…小売の側面も強いため、店舗によっては1日あたりの売上目標を掲げている場合もある

製薬企業(MR)

「目標達成力」…営業として会社から求められる目標を達成するための意欲が必須となる

「情報収集力」…インターネットで得ることのできない専門性の高い情報を医師に提供する必要がある

「粘り強さ」…医師と中長期的に関係性を構築していく際に必要となる

CRO(CRA)

「自己管理能力」…同時に複数の医療機関のプロジェクトに対応し、 複数施設に出張をする必要がある

「計画性」…予定通りに治験が実施できるよう、試験全体の進捗管理を行うことが求められる

「正確性」…隅々まで精度の高い書類チェックが求められる

SMO(CRC)

「関係を築く力」…被験者の方が不安や疑問を相談しやすいように、信頼関係を築く必要がある

「チームワーク構築力」…スムーズに治験が行えるよう、多職種間での調整が必要になる

「粘り強さ」…被験者の急変や、緊急の書類作成など、忙しい中でもイレギュラーのタスクをこなす心身のタフさが必要となる

医薬品卸(管理薬剤師)

「正確性」…DI業務や薬の資料作成などで情報を正しく伝える必要がある

「品質重視」…冷所保管、室温保管、金庫内保管など各薬ごとに徹底した管理が求められる

「情報収集力」…新薬や話題の医薬品に関しての情報を収集し、自社社員へ向けて勉強会などで情報提供を行う必要がある

公務員

「使命感」…国や自治体が抱えている問題を考え、住民のニーズに応えるような事業を展開していこうとする強い使命感が必要となる

「対立を解決する力」…利害が対立する問題を調整する場面もあるため、それぞれの意見に耳を傾け、双方が納得のいく結論を導き出すことが必要となる

「発想力」…地域の課題を明確にし、改善するための具体的な企画を求められる

[参考文献]

  • 阪東恭一『内定者が本当にやった究極の自己分析‘17年版』成美堂出版.
  • 梅田幸子『あなたの天職がわかる 最強の自己分析』KADOKAWA.
  • 杉村太郎、熊谷智宏『絶対内定2016 自己分析とキャリアデザインの描き方』ダイヤモンド社.