薬学生が知っておいた方がよい労務知識~募集要項の見方1~
具体的な募集要項を例に、勤務時間(労働時間)、休日、休暇と休業について詳しく解説します。
「給与」「福利厚生」「社会保険」の見方に関しては
コチラ
をご確認ください。
①勤務時間(労働時間)について
「労働基準法」では法定労働時間が定められています。
- 40時間/週以上労働させてはならない(10人未満の事業場では44時間/週)
- 8時間/日以上労働させてはならない
また、休憩は6時間以上で45分、8時間以上で1時間が義務付けられています。
拘束時間-休憩時間=労働時間とされており、これは法定労働時間の範囲内でなければなりません。
【変形労働時間制】
一定の期間を平均し1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲であれば、特定の週に40時間以上、特定の日に8時間以上の労働が可能とされる制度です。
◆1週間単位 の場合- 規模が30人未満の飲食店などが対象
- 40時間/週、10時間/日までの範囲でシフトを調整できる。
- 1ヶ月以内の一定の期間を平均
- 暦日数が31日の月では、労働時間が177.1時間に収まるようにする必要がある。
- 労働日数280日/年、52時間/週、10時間/日までの範囲で労働時間を調整できる。
【時間外労働・休日労働】
時間外労働とは法定労働時間を超えて労働させることであり、休日労働とは法定休日に労働させることです。
時間外労働・休日労働をすることが可能な場合は、以下2点を満たす必要があります。
- 就業規則に記載があること
- 36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ていること
なお、時間外労働の限度は15時間/週、45時間/月、360時間/年と決められています。
【割増賃金の計算方法】
- 時間外労働
1時間あたり賃金×1.25×法定時間外労働の時間 - 休日労働
1時間あたり賃金×1.35×法定休日労働の時間 - 深夜(22:00~5:00)労働
1時間あたり賃金×1.25×深夜労働の時間
例)時間外かつ深夜労働の場合、1.25×1.25=1.5625倍
②休日
休日には法定休日と所定休日の2種類があります。
- 法定休日・・・原則1日/週(4日/4週の場合もあり)
- 所定休日・・・法定休日以外の休日。40時間/週の制約のため。
休日に出勤した場合、事前に振替日を決めているかどうかで労働の種類が変わります。
- 振替日を決めている→振替休日→通常の労働
- 振替日を決めていない代休→休日労働(割増賃金)
4週6休の場合:4週間で6日の休日があるという意味。
「日曜と月2回土曜休み」や「日曜と4回土曜半日休み」など会社によって異なるので確認が必要です。
③休暇と休業
年次有給休暇
入社後6ヶ月間継続勤務し、8割以上を出勤した場合には、10日間の有給休暇が付与されます。
その後は、1年毎に1日を加算した有給休暇を総日数が20日に達するまで付与されます。
法定休暇と任意休暇
法定休暇・・・労働基準法で定められたもの
- 産前産後休暇→産前6週間、産後8週間
- 生理休暇
- 通院休暇
- 子の看護休暇→5日/年
任意休暇・・・会社ごとに定めたもの
- 慶弔休暇
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
育児休業と介護休業
育児休業
対象:1歳に満たない子を養育する男女労働者
期間:子が出生した日から、1歳に達する日まで
介護休業
対象:要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者
期間:介護休業介してから93日
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【参考文献】
松本 健吾(2009)『小さな会社の人事・労務の仕事ができる本』日本実業出版社、『知って役立つ労働法 ~働く時に必要な基礎知識~』厚生労働省