
新しい職場に転職して、「さあこれから頑張ろう!」と思った矢先に妊娠が発覚したら、本当はうれしいことなのに、頭が真っ白になってしまうのではないでしょうか。
「せっかく採用してもらったのに、すぐに休むなんて言いづらい…」「そもそも転職したばかりで産休や育休は取れるの?」と、一人で不安を抱え込んでいませんか?
転職直後の妊娠はピンチと感じるかもしれませんが、正しい知識を持って誠実に対応すれば、決して乗り越えられない壁ではありません。
今回は、転職して間もないプレママ薬剤師が知っておくべき産休・育休の条件や職場での振る舞い方について解説します。
記事のポイント
・転職1年以内でも産休を取れる。
・転職1年以内でも原則として育休を取れる。
・転職1年以内で産休・育休を取る際は気配りを忘れずに。
【産休と勤続年数】転職してすぐ産休は取れる?

転職してすぐに妊娠していることがわかった。そのような場合に、産休を取ることはできるのでしょうか。
転職して1年以内でも産休は取れる
結論から言うと、転職して1年以内であっても、産休(産前・産後休業)は問題なく取得できます。
産休は勤続年数に関係なく取得できることが労働基準法で決められています。
そのため、たとえ試用期間中であっても産休は取ることができます。会社側が「入社間もないから」という理由で産休の取得を拒否することは禁止されています。
産休を取る条件とは
産休は、労働基準法で定められたすべての労働者に与えられた権利です。そのため、取得にあたって勤続年数や雇用形態の条件は一切ありません。
正社員だけでなく、
・パート
・契約社員
・派遣社員
などの雇用形態でも取得可能です。
また、妊娠を理由に不利益な扱いを受けることは法律で禁止されています。
産休は「働いている女性なら誰でも取れるもの」と覚えておきましょう。
ただし、職場によっては制度理解が十分でない場合もあるため、法律や就業規則の確認は早めに行っておくと安心です。
関連記事産休・育休とは?期間・給付金額の自動計算と知るべきポイント
【育休と勤続年数】転職してすぐ育休は取れる?

では、産休に引き続いて育休を取ることはできるのでしょうか。
育休には、産休とは違って注意しなければならないことがあります。
原則として転職して1年以内でも育休は取れる
育休の場合、以前は「勤続1年以上」が育休を取る条件となっていました。
しかし現在は育児介護休業法の改正により、原則として入社1年未満でも育休を取得できる方向へ変わっています。
そのため、転職後すぐに妊娠がわかった場合でも、条件を満たせば育休取得は十分可能です。
ただし、育休に関しては産休と異なり、職場の「労使協定」によって例外が設けられているケースがあるため注意が必要です。
ママ薬剤師が育休を取れる条件とは
育休取得の基本条件は、「原則として1歳に満たない子を養育する男女の労働者」となっています。そのため、正社員薬剤師の場合は、基本的に育休取得対象となります。
ただ、パートやアルバイトなどで労働契約の期間を定めて雇用されている場合には、「子どもが1歳6か月になる日までに雇用契約が終了しない見込みがあること」が条件となります。
転職して1年以内で育休が取れない場合がある
上記のように、育休も原則として勤続年数に関係なく取れるものですが、転職1年以内だと育休が取れない場合があります。どのような条件なのかを詳しくみていきます。
無期雇用の場合
正社員などの無期雇用契約であれば、基本的には勤続年数に関係なく育休を取得することができます。
ただし、勤務先が「入社1年未満の労働者は育休を取得できない」という労使協定を結んでいる場合、転職後1年間は育休が取得できない可能性があります。まずは就業規則や労使協定の有無をきちんと確認しましょう。
有期雇用の場合
パートや契約社員などで労働契約の期間を定めて雇用されている場合は、法律で次の要件を満たしていることが必要とされています。
・子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
つまり、転職直後で契約期間が短く、その後の更新が見通せない状態だと、この条件に引っかかり育休が取れないケースがあります。
有期雇用で働くママ薬剤師は、契約更新条件を早めに確認しておくことが大切です。
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【ママ薬剤師必見】勤続年数でもらえる産休・育休の手当の金額は違う?

産休・育休が取れるかどうかと同じくらい気になるのが、産休や育休を取得したときに受給できる各種手当ですよね。
勤続年数が短いと、もらえる金額に影響はあるのでしょうか。
出産育児一時金
・勤続年数の影響:なし
・給付金の内容: 出産時に子ども1人につき50万円が支給される制度です。
健康保険に加入していれば、転職直後であっても、また勤続年数がどれだけ短くても、一律で満額支給されます。
出産手当金
・勤続年数の影響:転職時の状況によっては、支給額が変わる可能性がある
・内容: 産休中の生活を支えるために、健康保険から標準報酬月額の約3分の2が支給されます。
通常は「現在の職場の過去12カ月の標準報酬月額」をベースに計算します。
ただ、転職して1年未満の場合、「現在の職場での平均額」と「健康保険組合全体の標準報酬月額の平均額」を比較し、いずれか低い方の額をベースに計算されます。
そのため、想定より支給額が下がることがあります。
育児休業給付金
・勤続年数の影響:前職との関係によっては、受給できない可能性あり
・内容: 育休中の生活を支えるために、雇用保険からもらえる給付金です。
金額は、最初の180日は休業前給与の67%、以降は50%となります。
受給には「育休開始前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること」が条件となります。
転職してすぐであっても、前職で雇用保険に加入しており、無職の期間が1年以内であれば、期間を通算して受給できます。
ただし、前職を退職した際に失業保険を受給していると通算できないなどの条件があるため、状況によっては受給要件を満たせない場合があります。
詳しくは、勤務先やハローワークに確認してみましょう。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休手当)
勤続年数の影響:ママの勤続年数に関係なく受給可能(パパ自身の給付条件はあり)
内容: ママ薬剤師のパートナーが「産後パパ育休」を取得した際の手当です。
産後パパ育休の取得条件はパパ自身の雇用状態によって判断されるので、ママ薬剤師が転職1年未満で育休が取れなかったとしても、パパは産後パパ育休を取ることができます。
そのため、給付金も受給することが可能です。
関連記事産休・育休とは?期間・給付金額の自動計算と知るべきポイント
【重要】ママ薬剤師がスムーズに産休・育休に入るための振る舞い方

たとえ転職直後であっても妊娠や出産、育児は法律によって守られています。
ただ、転職者を含めて仕事の予定を立てていた職場にとっては、人員配置やシフトの再調整が必要になるため、少なからず影響を与えます。
産休や育休からの復帰後のことを考えて、良好な関係を保ったまま休業に入るためには、相手のことを考えた振る舞い方が非常に重要です。
報告のタイミングと順番
妊娠がわかったら、まずは直属の上司へ一番に報告しましょう。
その後、必要に応じて人事担当へ共有される流れが一般的です。
同僚への報告は上司との相談が終わってから行います。
タイミングとしては、一般的には、心拍確認後から安定期に入る前後をめやすに報告するケースが多く見られます。
ただし、薬剤師はシフトや人員配置の調整が必要な職種なので、つわりや体調不良が出始めた段階で、まず直属の上司へ早めに相談しておくと安心です。
「当たり前」と思わない感謝の伝え方
産休・育休は法律上の権利ですが、実際の現場は周囲のサポートによって成り立っているものです。
「法律で権利があるから休んで当然」という態度を見せてしまうと、周囲との関係にヒビが入りかねません。
「転職早々にこのような形になり、ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません」「体調を気遣っていただき、本当にありがとうございます」と、申し訳なさと感謝の気持ちを言葉でしっかり伝えることが、周囲のサポートを得るためには大切です。
復職への意欲をセットで伝える
会社側が最も心配するのは「このまま辞めてしまうのではないか」という点です。
報告の際には、「産休・育休後に復帰した際には、こちらの職場に貢献できるよう頑張ります」と、復職の意思と仕事への意欲をはっきりとセットで伝えるようにしましょう。
これがあるだけで、会社側の受け止め方も変わります。
【ママ薬剤師のQ&A】産休・育休と勤続年数に関するよくある質問

勤続年数の短いプレママ薬剤師が特に心配になる点をまとめました。
Q.パートや契約社員のママ薬剤師でも、産休後に解雇されることはある?
法律上、妊娠・産休の取得を理由とした解雇や雇い止めは禁止されています。
ただ、有期雇用契約の場合は、「契約期間満了による終了」との区別が問題になることもあります。
契約更新条件は事前にきちんと確認しておくことが大切です。
Q. 入社1年未満で育休が取れない場合、どうしたらいい?
労使協定のため入社1年未満で育休が取れない場合は、原則として産休後に職場復帰することになります。
そして、復帰して働いている間に勤続年数が1年に達すると、育休を取る権利が発生します。
その期間の対応としては、以下のような方法があります。
・産休後は復職し、1年に達するまで働く:
転職後1年に達して育休が取得できるまで、育児時短などを利用しながら働く方法です。
・有給休暇や欠勤でつなぐ:
「勤続1年」をクリアするまでの期間を、有給休暇の消化や、会社の許可を得て「特別欠勤」扱いにしてもらい、籍を残しながら休む方法です。
・パートナー(パパ)に育休を取ってもらう:
パパ側の職場で育休が取れる状態であれば、ママが働いている期間はパパに育休を取得してもらうのも一つの方法です。職場と相談しながら、自分や家族の状況に合った方法を考えましょう。
ママ薬剤師は勤続年数だけで産休・育休をあきらめなくていい

転職してすぐの妊娠は、周りの目が気になってしまうでしょう。
しかし、薬剤師としてのキャリアも、ママとしてのこれからの人生も、どちらもあなたにとって大切なもの。
産休や育休に関する勤続年数による縛りは、近年かなり緩和されています。
妊娠がわかったら、まずは法律や就業規則を確認し、誠意をもって早めに職場に相談してみましょう。この記事を参考に、心穏やかに出産の準備を進めてくださいね。



