薬学生が知っておいた方がよい労務知識~労務基礎知識~
「労働法」と「労働組合」、就業先と結ぶ労働契約、試用期間など、就業する上で必ず必要な労務知識の基礎をご紹介します。
被雇用者を守る「労働法」
「労働法」とは労働に関する各法律の総称で「就業に関する法律」「雇用に関する法律」「労働組合に関する法律」「社会保険等に関する法律」から成り立っています。
就職する際、被雇用者と雇用者との間で、どういう条件で働くかといった契約内容を決めたうえで「労働契約」を結びます。この時、契約内容が被雇用者にとって不利にならないよう保護するものが「労働法」なのです。
労働者を守る存在「労働組合」
労働組合とは「被雇用者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」です。 「労働法」の中に「労働組合に関する法律」があることで、「労働組合」として雇用者と対等な立場で条件交渉ができます。 そして、「労働組合」と会社の間で、労働条件について定めたものを「労働協約」といいます。 会社によっては労働組合がない場合もあるので、きちんと把握しておきましょう。
「労働契約」を結ぶ時は
労働契約を結ぶにあたり、書面で契約内容を明示する事項と書面以外で契約内容を明示する事項があります。
【書面による明示が必要な事項】
- 労働契約の期間
- 就業場所・従事する業務
- 就業時刻・休憩、時間外労働の有無、休日・休暇
- 賃金、支払い方法、支払い時期
- 退職に関する事項
【書面以外で明示する事項】
- 退職に関する事項
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金・賞与・最低賃金
- 食費・作業用品代
- 安全・衛生
- 職業訓練
- 災害補償・業務外の傷病扶助
- 表彰・制裁
- 休職
採用通知と内定取り消し・内定辞退
内定が決まると、雇用者から採用通知書と入社承諾書を渡されます。
入社承諾書に必要事項を記入し、雇用者に送付すると「就労始期付解約権留保付労働契約の成立」と見なされ、労働契約が成立したことになります。
雇用者は労働契約が成立すると、社会通念上相当な理由がなければ内定取り消しをすることはできません。
一方、被雇用者にとって内定辞退は退職にあたりますが、単に労働契約が解消されるだけです。
試用期間とはなにか
試用期間とは採用後に一定期間仕事をさせ、社員として適性があるか、会社が求める資質や能力が規定の水準に達しているかを判定する期間です。 試用期間は一般的に3ヶ月程度、長くても1年で、試用期間中は、通常の解雇事由よりも広い範囲での解雇が認められています。
試用期間中 の解雇理由
- 勤務成績不良
- 勤務成績不良業務不適格性
試用期間終了後(詳しくは後述) の解雇理由
- 勤務成績不良職務怠慢
- 勤務成績不良不法行為
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【参考文献】
松本 健吾(2009)『小さな会社の人事・労務の仕事ができる本』日本実業出版社、『知って役立つ労働法 ~働く時に必要な基礎知識~』厚生労働省