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株式会社クスリのアオキ 青木取締役最高顧問

薬剤師の原点を、今求められる地域の窓口へ

調剤をコアビジネスとして推進するその先で、薬剤師の未来を切り拓く── クスリのアオキの狙いとその真意に迫る。

かつてあったはずの薬剤師の確固たる存在意義を再考する

――本日は宜しくお願い致します。早速ではございますが、今後の薬剤師の仕事の広がりについて社長が考えていらっしゃることと、それを踏まえた御社の展望についてお聞かせ下さい。

青木 保外志(あおき やすとし)
株式会社クスリのアオキ
取締役最高顧問 薬剤師

薬剤師が今後も社会に必要とされる存在となるためには、薬剤師本来の専門領域である「薬」を通じて、地域医療の担い手としての社会的役割を薬剤師自身が確立しなければなりません。薬剤師の本分である「薬」での職域・職能をまずしっかりと確立したうえで、薬剤師の専門性を発揮できる次なる領域を模索することが、今後の薬剤師業界やドラッグストア経営を考える上で重要になってくると考えています。

薬剤師が自らの仕事に対して「薬剤師は国家資格だから、病院の門前で処方箋が来るのをただ待っていれば生活給が保障される」などと考えるのは、個人的あるいは短期的にはそれで良いかもしれません。しかしながら、薬剤師がそうした受け身の意識だけを持って仕事を続けていった先に、はたして薬剤師の社会的役割を確立することができるでしょうか。それではまるで薬剤師としてのアイデンティティがないとは思いませんか。

昔の話になりますが、皆保険制度がなかった大正から昭和初期にかけてのころ、薬の製造は薬剤師の責任のもとで行われていました。手術で用いる輸液(リンゲル液)の調合なども薬剤師が行っていて、薬剤師なくして医療行為はできないとさえ見なされていました。それほどまでにかつての薬剤師の職域や職能は明確で、なおかつ地位も確立していたのです。ところが、昭和三十年代に皆保険制度が施行され、薬の製造もメーカーが行いはじめたころ、日本における薬剤師の位置づけが非常に曖昧になりました。「薬」の専門家としての薬剤師の能力を発揮する場所が、医療の領域の中ではっきりと確立されないまま時間だけが過ぎていきました。その状態が改善されなかったのは、薬剤師自らの医療人としての職業意識が欠けていたことも原因であると考えられますが、薬剤師の職域・職能について長らく明確な方向性を打ち出せなかった会社経営者側にも反省すべき点があると思います。

いずれにしましても、薬剤師が「薬」の領域で社会的役割を確立しなければならないというのは要するに、職域・職能や地位・信頼が確立していた昔の薬剤師と現在の薬剤師との隔たりを解消しなければならないということです。薬剤師が社会から必要な存在であると認められてはじめて、会社の事業としての展望も生まれてきます。

調剤をコアビジネスとして推進していく先に見える、次なる時代の薬剤師のあり方

――薬剤師が医療の領域で、かつてのような信頼感のある立場を得るためには、薬剤師が社会的役割を確立することが必要とのお話でしたが、その役割とは具体的にどういうものでしょうか。また、それは御社の事業とどのような関わりがありますか。

薬剤師が「薬」の専門家である以上、当然のことながら基本的な役割となるのは調剤です。ですがご存じのとおり、高齢化を背景として国の医療費がかさみ、調剤単価は抑制される傾向にあります。近接する病院からの集患に依存した門前型の調剤薬局や、資金的な体力のない個人薬局では、収益の減少により将来的に経営が成り立たなくなる恐れがあります。しかしながら、患者様にとってみれば社会保険費を負担した分だけサービスを得たいと考えるのは当然のことですから、将来的に調剤の収益が下がってきたとしても、患者様にはこれまで通りの質のサービスを提供しなければなりません。そのため会社は徹底的なコストの効率化を図らなければなりませんが、コストを削減して患者様に提供するサービスの質を維持することは、規模のある会社だからこそ実行できることであり、これまで調剤薬局の大半を占めてきた個人薬局には決して容易なことではありません。ドラッグストアを経営する我々は、ドラッグストアならではの利便性を活かしてお客様・患者様を広く集めて処方箋を応需することで、調剤事業をコアビジネスのひとつとして推進していきます。それに加え、ドラッグストアの地域の患者様への健康相談窓口としての機能を薬剤師によって向上させ、店舗や薬剤師に対する信頼を獲得したいと考えています。将来的に調剤の単価が下がってきた場合にも、クスリのアオキの会社組織としての安定した経営基盤があるからこそ実現できる徹底的なコストの効率化により、患者様にこれまでと同等以上の医療サービスを提供することをお約束できます。

クスリのアオキのすべての店舗には、調剤施設を設置するためのスペースが用意されています。これは、調剤を我々のコアビジネスとするための先行投資です。今後調剤への需要が高まった時に十分な調剤スペースが店舗になければ、クスリのアオキが調剤をコアビジネスのひとつとして推進し、地域のかかりつけ薬局になることは到底かなわないでしょう。まだ調剤施設を置いていない店舗において、調剤事業のために確保しておいたスペースを物販のスペースに使ってしまえば、短い目で見れば利益は増えるでしょう。ですが「クスリのアオキはドラッグストアだから物販に偏重して、儲けがでればそれで良い」というのでは、そこで働く従業員に対して「“健康”と“美”と“暮らし”のソリューションストアを目指す」というクスリのアオキのビジョンが説得力をもって伝わらないと思います。

――調剤施設を置くためのスペースを先行投資としてご用意されているとのお話がありましたが、御社が店舗を主に展開されている石川県・富山県・福井県の北陸3県の医薬分業率は、福井県が全国最低の40パーセント足らずで、石川県・富山県も50パーセント前後と低い水準に留まっています。こうした状況下でも御社が調剤事業を積極的に推進される理由は何でしょうか。

たとえ今は分業率が低い北陸であっても、国の医療政策の方針として今後も分業が進められていくことには違いありませんから、他県と比較した分業率の差は遅かれ早かれ埋まってくるものだと考えています。また、院外処方のマーケットを見ると全国でおよそ5兆円、そのうち石川県・富山県・福井県には各1パーセント、つまり1500億円のマーケットがあると推定されます。潜在的にはこれほどのニーズがある地域なのですから、我々としてはむしろ先行投資しない理由はないわけです。実際、調剤事業は毎年売上を伸ばしています。これは北陸3県でもまだまだニーズがあるという証拠だと思います。今後もクスリのアオキで働く薬剤師の活躍の場が増えていきますので、薬剤師と地域のお客様・患者様との信頼関係を深める機会にもますます恵まれ、この好循環が調剤事業をクスリのアオキのコアビジネスとしてさらに推進する原動力となるのです。

調剤事業の規模が大きくなることで、会社に集まってくる人材の質量ともに厚くなり、薬剤師の専門性を活かせる他の医療領域への可能性も生まれます。薬剤師の本来の役割が確立しないまま、薬剤師の専門性を活かした事業展開など考えようもありません。ですから私は冒頭に“薬剤師の本分である「薬」での職域・職能をまず確立したうえで、その先の広がりとして薬剤師の専門性を活かした新たな領域を広げていく”と申したわけです。

――薬剤師の職域・職能を確立した先に、薬剤師が自身の専門性を発揮する姿として、御社はどのようなものがあると想定していますか。

私は年に1度、海外視察に行くのですが、アメリカの大手ドラッグストアの店舗を視察に訪れた際、非常に興味深い人物に出会いました。その人は薬剤師ですが、店舗での業務は主として接客とマネジメントです。調剤ではないのです。もっぱら窓口で患者様への薬の情報提供や健康相談を行い、調剤業務は調剤室にいるテクニシャン(調剤助手)がすべて行っているのです。日本にはテクニシャン制度はありませんが、その代わり調剤は機械化が進められていく流れがあります。現代の機械的・効率的な社会においても、人の仕事として最後まで残るのは、人が他の誰かとコミュニケーションをする仕事や、マネジメント、企画立案に関わる仕事だと思います。それは薬剤師も例外ではないでしょう。アメリカでは、薬剤師でなくても誰でもできるような、あるいは機械でもできるような単純作業は、すでに薬剤師の仕事ではないのです。店によっては薬剤師がミニクリニック(簡易診療室)さえ持っています。その一方で、病院やクリニックの下請けのような門前薬局で処方箋通りに薬をピッキングして患者様にお渡しする――それだけが現状の日本の薬剤師の仕事になってしまっています。私は薬剤師の職域が単純作業だけにとどまらないような環境作りを目指しています。今お話したアメリカの薬剤師がそうであるように、調剤だけでなくマネジメントやコミュニケーションの仕事においても薬剤師の専門的な職能が活かせる場をクスリのアオキには作っていきたいと考えているのです。

薬剤師のあり方を問い直す、クスリのアオキの求める薬剤師像

――これまでお話いただきました調剤のコアビジネス化は、社業発展の戦略であると同時に、アメリカをひとつの例としたような薬剤師の今後の職域や職能の広がりを見据えていることがわかりました。まさしくこれまでの薬剤師のあり方を問い直そうとする、クスリのアオキのこれからのために迎え入れたい薬剤師はどのような方でしょうか。

自分で考えて行動できる薬剤師です。私は社員の教育や研修制度など、現場の社員育成の方針に対して細かい口出しをすることはありません。口出しをしない代わりに、個人がもつ成長への意欲に応える環境は十分に用意しています。クスリのアオキでは、会社から成長の機会を与えられるのをただ待つのではなく、自分で能動的に成長の機会を得ようとする姿勢を尊重しています。たとえば仕事をしていく中で、お客様・患者様のニーズがありながらも、会社として実施できていないサービスなどがあれば、どんどん企画してもらって構いませんし、新たな事業を行いたいと考えたときにそれに関する部署がなければ、部署の新設を提案してもらっても構いません。自分で考え企画立案することは、自分自身の成長を促し価値を高めるためにも非常に重要なことです。

また、クスリのアオキのほとんどすべての店舗に調剤スペースを設けてあることからわかりますように、我々は薬剤師が活躍できる環境も機会も積極的に用意していきます。また店舗の大小問わず全店に畳の休憩室があり、個人が働きやすい環境も用意しています。成長を続ける会社で、薬剤師としてのパフォーマンスをいかんなく発揮してもらいながら、薬剤師が社会から求められている仕事とは何か、薬剤師は今後どうあるべきかについて常に考え、自分自身で薬剤師の将来像を描ける人を歓迎したいと思います。これからの薬剤師には「これが薬剤師の仕事だ」と言えるようなことを、自分たちの発案や企画のもとで実行していってもらいたいと思います。薬剤師個人の意欲やチャレンジ精神に応えられる環境が、クスリのアオキにはあります。

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