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OS-1_メインビジュアル

経口補水療法の考え方に基づいて開発された飲料「OS-1」は、脱水状態に苦しむ患者さんへの対処法として医療機関からも支持を得ています。今回は製造販売元である㈱大塚製薬工場OS-1事業部の森さんにその開発経緯や商品特性についてうかがいました。脱水状態は夏のみに起こるものではありません。いま一度、その対処法も合わせて確認してみましょう。

■OS-1とは?

オーエスワンシリーズは消費者庁から許可された個別評価型病者用食品。WHOの提唱する経口補水療法(Oral Rehydration Therapy:ORT)の考えに基づいて開発され、その組成はORTを発展させた米国小児科学学会(APP)の指針をベースにしています。感染性腸炎や感冒による下痢、嘔吐、発熱を伴う脱水状態の他、高齢者の経口摂取不足、過度の発汗など脱水状態への処置に適しています。

■飲むと甘い?しょっぱい?そのメカニズムとは

OS-1は一般的なスポーツドリンクと比べてナトリウムは2倍、ブドウ糖は約3分の1の量が含まれています。組成だけを見ると塩分が多く感じるかもしれませんが、脱水状態の患者さんが飲むと「甘み」を感じることが多いそうです。脱水状態時には循環血液量が減少しているため、体はナトリウム(塩分)を「おいしい」と認識するようになり、相対的に糖分を強く感じます。したがって、脱水状態でOS-1を摂取すると「甘み」を感じ、反対にそうでない状態で飲むと「塩気」を感じるというわけです。 とはいえ、味覚は個人差があるので 「甘みを感じたら脱水状態、塩味を感じたら健康」と健康チェックに使えるわけではありません。その点を患者さんに誤解がないように説明することが大切です。

大塚製薬工場 森さんに聞くOS-1の開発秘話

――OS-1開発の背景と医療現場での活用を教えてください。

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(株)大塚製薬工場 OS-1事業部 マーケティング部 森さん

もともと経口補水療法(ORT)自体は発展途上国にて効果が実証され、その後欧米でガイドラインがつくられたという経緯があります。(年表1を参照)

もちろん現在でも、脱水状態の治療として輸液も用いられていますが、患者さんの多くは、経口補水療法でも対処が可能な軽度から中等度の脱水状態です。また、特に小さいお子さんに関しては“穿刺に伴う痛みを回避できないか”といった観点から、本邦での経口補水液を開発し、2001年にOS-1として商品化しました。04年には個別評価型病者用食品の表示許可を取得しています。 米国疾病管理予防センター(CDC)によるガイドライン作成や、医療環境の変化に伴って、小児科の先生方を中心に、経口補水療法が再評価され、広まりつつあります。

【年表1】

1971年
東パキスタンの内戦時にコレラが大流行。コレラによる下痢で脱水状態となった患者に対しORTを実施した。この報告を受けたWHOが使用を推奨し、その後発展途上国を中心に大きな成果を上げる。

2002年
臨床研究に基づき、ナトリウムとブドウ糖の濃度を下げた新しい経口補水液(ORS)組成を公表し、成人と小児のコレラ患者への使用を推奨。並行して、欧米各国でも数次にわたりORSに関するガイドラインが選定される。

2003年
米国疾病管理予防センター(CDC)が「小児における急性胃腸炎の治療―経口補水、維持および栄養学的療法」と題した最新のナショナルガイドラインを発表し、軽度から中等度までの脱水症への使用を推奨。

――特に需要の高い年齢層はありますか。

成人に比べ、小さなお子さんやご高齢の方は、体の水分量が少なく、脱水状態に陥りやすいといわれています。小さなお子さんは体の水分の割合は成人よりも多いのですが、体が小さいために絶対的な水分量は少なく、ご高齢の方は、水分のリザーバーとなる筋肉の量が減少するためです。 冬季は小児を中心とした感染性胃腸炎や感冒に伴う、下痢・おう吐・発熱を伴う脱水状態に、夏季は過度の発汗による脱水状態などに多く使用されています。

――患者さんに健康指導をする際、どのような点に注意したらよいでしょうか。

かくれ脱水チェック
かくれ脱水チェックシート
監修:神奈川県立保健福祉大学 谷口教授

近年、猛暑が続き、熱中症とそれに伴う脱水症が社会問題となるなかで「水分補給」の重要性は一般の方にも認識されるようになりました。しかし、そもそも脱水症が夏だけにおこるものではない、身近な病気であること、また、水だけでは脱水状態に対処することができないことなど、あまり知られていないのが現状かと思います。

ご高齢の方向けにはなりますが、神奈川県立保健福祉大の谷口教授による、「かくれ脱水チェックシート」なども指導のご参考になると思います。脱水症に至る以前の気づきにくい脱水状態=かくれ脱水」の可能性をチェックすることができ、STEPに応じてどのような対処をするべきかも解説されていますので、指導にお役立てください。

脱水状態に陥った時は薬局やドラッグストアにOS-1を購入しに出かければよいのですが、必ずしもそのようにできる状態にあるとは限りませんから、ぜひ家に常備して、いざという時のために備えられるよう、ご指導いただければと思います。

――摂取量の目安を教えてください。

摂取の目安量は、1日当たり、学童から成人で500mL~1000mL、幼児は300mL~600mL、乳児で体重1㎏当たり30mL~50mLです。この目安量を参考に、脱水状態に合わせて適宜増減していただければと思います。 脱水状態時の水分・電解質補給は、失われた量を補給するという考え方です。一般におよそ体重の2%以上の体液が失われると脱水症の症状が現れると言われており、体重が50㎏の方ならば約1Lの体液が失われている計算になります。

――ゼリータイプと液体タイプの違いは何ですか。

通常は液体タイプを、ご高齢の方などで、そしゃく、嚥下困難の方にはゼリータイプが適しています。ゼリータイプと液体タイプの組成内容は同じですが、物性が異なると味の感じ方も異なるため、ゼリータイプの方が甘く感じる人が多くいらっしゃいます。お子さんにはゼリータイプが好評ですね。

――OS-1を取り扱う現場の薬剤師さんの反応はどうですか。

OS-1_パンフレット

弊社では各種学会や医師会・薬剤師会などでセミナーや展示を通じて経口補水療法の啓発活動を実施しています。薬剤師の方には「点滴は医師しかできないことだが、OS-1は薬剤師だからこそできる脱水症に対するソリューションだ」とか、「薬剤師の職能をもっておすすめするべきもの」と評価いただいています。今後、在宅医療や地域医療にも役立てられると思うので、さらに商品の認知度、そして経口補水療法についての理解度を上げていくことが当面の課題です。

現場の薬剤師さんにインタビュー

実際に店頭でOS-1を扱うひだまり薬局の西中博一先生に患者さんの反応を聞きました。

――OS-1を患者さんにすすめる際、気をつけていることはありますか。

OS-1はあくまでも個別評価型病者用食品ですから、積極的にどんどん売るという商品ではありません。一方で、この商品を必要とされる患者さんには、商品の内容や摂取する際の注意点など丁寧に説明をするよう心がけています。

――具体的には患者さんにどのような説明をされるのでしょうか。

ひだまり薬局

たとえば、スポーツをしている学生に対しては、春から夏にかけての季節の変わり目は体温調節がしにくいため、運動後にベタついた汗をかいたらOS-1を飲むよう説明していますね。 また、高齢者など基本疾患がある患者さんは、飲用することが治療に影響する場合もあるので病状などをきちんとヒアリングしたうえですすめています。飲んでも問題ないと判断した方に対しては、まずは200mlタイプを提案しており、それと同時に、食事の時にも意識的に麦茶を飲むなど水分を補うように伝えて脱水症状の軽減を促しています。

<お話を聞いた方>ひだまり薬局 西中 博一(にしなか ひろいち)先生
さまざまな調剤薬局を経験した後、2013年8月にひだまり薬局を開設。 仕事に対するモットーは努力をし続けること。薬剤師資格があることに安心せず、常にこうありたいという姿を思い描きながら日々の業務にあたっている。

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