「危険ドラッグ」をはじめ、薬物関連のニュースが毎日のように報道されている。警察庁薬物銃器対策課が発表した「平成26年上半期の危険ドラッグに係る検挙状況について(暫定値)」によると、2014年上半期の検挙状況はなんと145人。昨年同時期の66人を大幅に上回る結果で、平均年齢は34歳。約60%が街頭店舗、約20%はインターネットから入手していた。

「危険ドラッグ、4人に1人が経験」
そんな驚きのデータが2014年8月8日、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の「クラブイベント来場者における違法ドラッグの乱用実態把握に関する研究(2013)」によって明らかになった。欧米ではクラブ来場者対象の薬物使用に関する調査は盛んに実施されているが、日本では同研究班が10年に開始したばかりである。今回の調査は12年~13年に東京都内で開催された計4回のクラブイベント来場者を対象者(有効回答307人)に実施され、75人(24.43%)が危険ドラッグの経験があると回答した。うち70人はハーブ系危険ドラッグを経験しており、その半数以上が過去1年以内にも使用。こうした点から薬物依存につながる反復使用の可能性が高いという結論が出された。ハーブ系の危険性については以下のように記されている。

ハーブ系に含有される代表的な成分として合成カンナビノイドが知られているが、この合成カンナビノイドは、大麻の主たる精神活性成分であるΔ9-THC と同じ作用点の脳内CB1 受容体に作用する。合成カンナビノイドの精神依存性は、マウスを用いた条件付け場所嗜好性試験(CPP 法)および薬物弁別試験により確認されている)。これらの知見を踏まえると、合成カンナビノイドが有する精神依存性が、ハーブ系の反復使用行動として表れていると解釈できる。

ちなみに池袋での事件においても、容疑者が使用していた危険ドラッグには合成カンナビノイドが含まれている。

また、危険ドラッグ経験者のうち、大麻使用経験者は80%、MDMAは25.3%という同調査の結果も軽視できない。同研究所が13年10月に実施した別の全国調査によると、危険ドラッグの使用経験者は平均33.8歳となり推計で国内約40万人にのぼるという。さらに、危険ドラッグを使用した人のうち75%は大麻、50%はシンナー、33.3%は覚せい剤か合成麻薬MDMAの使用経験があることも判明した。

驚くことに、危険ドラッグ経験者には「違法・合法に関わらず個人の判断に任せるべき」「植物由来のものは、法律で規制すべきではない」といった意見が多いようだ。事実、大麻に関してはアメリカの多くの州において以前から医療用大麻は合法であり(「『医療大麻合法化の拡大』がわかるアメリカ地図」)、14年から娯楽用の大麻までもが合法になった州もある。そのうえ、お酒やタバコのほうが有害であるという研究結果も存在する。
しかし、日本の「危険ドラッグ」と前述の欧米の事例とは話が異なる。危険ドラッグは成分が不明なものが大半を占めており、使用者自身の体への影響のみならず、その”個人の判断”が引き起こす事件や事故によって、まったく関係のない人々が命を落としているのだ。

調査結果を見ると「これは”植物性”だから安全なはず」「周りも使用しているから」と軽い気持ちで使用している人が実に多い。ドラッグに関する正しい知識、情報を周知させることが急がれる。

薬キャリ編集部K.S.

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