調剤報酬改定の概要

2014年度診療報酬改定が告示されました。全体としては本体でプラス0.1%のプラスとなったものの、今年4月から実施される消費税8%増税の補てん分を除けば実質1.26%のマイナス改定です。調剤報酬については、分業バッシングが吹き荒れる中、厳しい内容となりました。薬局の皆さまがどのように受け止め対応すべきなのか、今後の薬局の在り方にも大きく関わってきます。そこで今回は、本年度の調剤報酬改定の内容の背景、薬局がとるべき対応について解説します。

【調剤基本料関連】

■ 調剤基本料に特例を追加

調剤基本料では消費税対応として、40点、24点(特例)がそれぞれ1点の引き上げで41点、25点になりました。
処方箋受付回数と集中率による特例は、従来の「月平均4,000回超、70%超」のほかに、「月平均2,500回超、90%超」の特例が追加されました。特例の薬局は基準調剤加算を算定できませんが、「月平均2,500回超、90%超」であっても「24時間開局」の薬局は基準値加算1のみを算定することができるとされました。

■ 妥結率50%未満は基本料を減算

新設された未妥結減算は、14年4月1日から9月末日までの医薬品卸業者との妥結率が50%に満たない場合は調剤基本料を減算するというもので、11月1日から1年間、減算されます。但し、初年度にあたる14年度については実際の適用は15年1月1日から10か月分となります。
長期未妥結の存在については、かねてから「薬価調査に支障を来す」との指摘があったところですが、薬局では調剤基本料が31点(特例は19点)に引き下げられることになります。
厚労省の調べでは2013年9月末時点で20店舗以上のチェーンの妥結率は51.9%で、その他の薬局85.3%と比べて低い水準でした。
厚労省は未妥結減算措置の新設に伴い、医療機関や薬局と卸業者との価格交渉について相談窓口を設置することにしています。

■ 基準調剤加算

基準調剤加算1では「24時間調剤、在宅医療体制」が加わり、基準調剤加算2では「自局のみでの24時間調剤、在宅医療体制」、「在宅医療の実績」「医療機関、訪問看護ステーションとの連携体制」「保健医療サービス、福祉サービスとの連携体制」が新たに加わりました。
厚労省によると基準調剤加算の届出件数は、2012年(7月1日現在)で1が21,540施設、2が6,979施設、合計28,519施設でした。薬局数の約50%が届けていることになりますが、4月以降から施設基準に合致させるのはかなりの努力が必要となります。

■ 後発医薬品使用促進

後発医薬品調剤体制加算の要件変更は、「後発医薬品の数量シェアを2018年3月末までに60%以上にする」との厚労省の新たなロードマップに基づく指標の変更と薬局の算定状況の分布を踏まえ見直されたものです。前回改定で加算要件の調剤数量割合を見直すことにより、後発医薬品調剤割合が増えていることも考慮されたようです。
また算定要件に「当該保険薬局において調剤した薬剤の規格単位数量に占める後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量の割合が50%以上であること」が付け加えられました。
13年6月審査分でみると薬局の後発医薬品の変更割合は数量ベースで30.2%が平均値でした。これを新指標に置き換えると46.4%になります。一般名処方が行われた医薬品のうち、先発医薬品が調剤された割合は約4割にすぎない(中医協資料)ことから変更の余地はまだ残されていると判断されたようです。4月以降は後発医薬品変更の意思確認が “処方箋受付時”に変更されたこともあり、薬局側の働きかけ如何では後発品への変更が進む可能性があります。

【調剤料関連】

■ 医療用麻薬、乳幼児対応を新設

調剤報酬における消費税対応分は、調剤基本料を1点引き上げ、残りの財源を活用して個別項目の「一包化加算」と「無菌製剤処理加算」の点数を引き上げました。
在宅緩和ケアを推進するために、無菌製剤処理加算の評価対象を医療用麻薬まで拡大しました。さらに乳幼児の無菌製剤の項目を新設し、ほぼ倍の点数としました。乳幼児は成人と比べて体重や必要電解質量・水分バランスがマチマチで、水分量・電解質量を細かく調節するなど調剤に時間を要することが考慮されました。

【薬学管理料】

■ 薬剤服用歴管理指導料―お薬手帳なしは34点

薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料)の算定要件では、「お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対し特例を新設する」との方針に基づき、「手帳なし」の場合に34点が新設されたほか、薬歴管理料の算定要件にある「服薬状況並びに残薬状況の確認及び後発医薬品の使用に関する患者の意向の確認」のタイミングを、調剤を行う前とするよう見直されました。またお薬手帳の説明をせずにシールで対応する場合は、34点になります。
お薬手帳については2012年度改定で薬剤情報提供料(15点)が廃止され、薬歴管理料と統合され、41点になったいきさつがあります。薬局としては、服用薬の一元管理の重要性からもお薬手帳の活用を引き続き訴えることが求められます。

■ 在宅患者訪問薬剤管理指導料

在宅患者訪問薬剤管理指導で同一建物居住者(施設)の評価が引き下げら、350点が300点になりました。これは施設訪問の場合、患者とマンツーマンで服薬指導等をしているケースが少なく、「効率的」と判断されたためです。このため、施設系を中心に取り組んできた薬局にとっては痛手です。
ただ、現状では薬局が行う在宅訪問は約8割が介護保険、2割が医療保険です。従って在宅訪問による収益減は限定的と考えられます。また今回の改定で「1人の薬剤師が算定できる回数は1日につき5回まで」と制限されました。

■ 在宅における薬剤、衛生材料等の供給体制

在宅における注射薬や特定保険医療材料を推進する立場から、医療機関の指示に基づき薬局が必要な薬剤や衛生材料等について患者宅に提供する仕組みが導入されました。いずれも医師の指示に基づいて行うものです。
在宅医療で電解質製剤、注射用抗菌剤が提供されている実態を踏まえ、医師が処方できる注射薬として対象を拡大し、併せて薬局で交付できる注射薬に追加しました。また処方箋に基づいて薬局で交付できる特定保険医療材料も追加しました。
さらに訪問看護ステーション、医療機関、薬局の連携体制により、医師の指示のもとで薬局が必要な衛生材料を提供する仕組みも設けられました。この場合、衛生材料の費用は当該医療機関に請求することになります。

【14年度改定と薬局の対応】

14年度改定は超高齢社会がもたらす2025年問題を見据え、医療保険制度をはじめとする社会保障制度を持続可能とするための政策の一環です。昨年6月に公表された日本再興戦略や社会保障制度改革国民会議報告にも見られるように、従来型の社会保障制度のシステムでは制度自体が立ち行かないことが確実視されており、「2025年モデル」への再構築が不可欠とされています。
そのため、医療機能の連携・分化、地域包括ケア、世代間格差是正等が急がれており、この方針は福田、麻生内閣に始まる「社会保障国民会議報告」から、民主党政権時代の「社会保障・税一体改革」までの一貫した流れの延長線にあります。
14年度改定は、薬局機能を活かした在宅業務、後発医薬品の使用等を促す意味合いが強く出ています。また制度改革は14年度改定だけで終わるのではなく、次々回改定以降にも引き続き反映される見通しです。薬局はこうしたメッセージに応えるとともに、処方箋調剤のみに依存しない健康管理、予防・未病対策、うつ・認知症、禁煙、在宅相談など幅広い健康管理の役割を果たすことが求められていると言えるでしょう。

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専門家プロフィール

藤田 道男

藤田 道男(ふじた みちお)

中央大学法学部卒。医薬関係の出版社、㈱じほう編集局に勤務し、各種媒体の編集長を歴任。退職後フリーの医薬ジャーナリストとして取材・執筆、講演活動を行う。
2010年、薬局薬剤師の教育研修のために「次世代薬局研究会2025」を立ち上げ、代表を務める。

◆主な著書
「かかりつけ薬局50選」・「残る薬剤師 消える薬剤師」・「薬局業界の動向とカラクリがわかる本」