将来の医療制度を考えるうえで後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及率アップは避けては通れない課題です。今連載では、後発医薬品の現状と課題について日本ジェネリック医薬品学会理事の漆畑稔先生にうかがいます。今回は薬剤師を対象に行なった後発医薬品に関する調査結果についてご紹介します。

後発医薬品の使用状況調査の結果

後発医薬品の使用促進について、薬局に勤務する管理薬剤師および薬局開設者に調査をした。後発医薬品の使用促進が厚生労働省の施策として明確になって以来、何度となく調査を行ってきたが、その中で定点観測として同一の薬局に対して調査を行ったものだ。2014年9月に実施した調査の結果(抜粋)をご紹介したい。なお、各項目は複数回答を可としたものである。

1. 後発医薬品使用促進の現在の取り組み状況

① 患者へ説明している      89%
② 後発医薬品の備蓄を充実させた 45%
③ 薬局内の研修を強化している   31%
④ 処方医への奨め、相談をしている  23%
⑤ 特に何もしていない        23%

2. 後発医薬品使用促進のための薬剤師としての意見(自由筆記)

① 調剤報酬上の評価の充実            47%
② 処方医対策が不十分、処方医対策の充実     40%
③ 後発医薬品メーカーに不安がある        25%
④ 後発医薬品(の一部)に不安がある       21%
⑤ バイオ医薬品、バイオシミラーの関連知識の習得が必要  8%

3. 後発医薬品使用促進の妨げになるもの

① 変更不可処方箋                 70%
② 薬局の負担増(備蓄、経営上不利益、患者への説明)37%
③ 後発医薬品使用促進に理解の無い医師       28%
④ 後発医薬品メーカーへの不安           22%
⑤ 後発医薬品使用促進に理解の無い患者       17%

4. 後発医薬品使用促進の必要性に関する患者の意識について

① 必要性を理解している          39%
② 必要性を十分に理解しているとは言えない 38%
③ 必要性に理解が無い           16%

5. 後発医薬品使用促進の環境整備として必要になるもの

① 調剤報酬上の評価の充実              82%
② 複合剤への対応(成分毎の製剤で代替え可能とする) 78%
③ 同一成分の後発医薬品の整理            70%
④ 医師の処方インセンティブの充実          55%
⑤ 新たな目標の設置                 39%

6. 後発医薬品の薬価について

① (より安価な方向に)見直しが必要   82%
② 安い                 53%
③ 概ね妥当               23%
④ 現状のままでよい           17%
⑤ 高い                  8%

7. 長期収載品目の薬価について

① (より安価な方向に)見直しが必要   65%
② 高い                 40%
③ 妥当                 26%
④ 現状のままでよい           17%
⑤ 安い                 11%

8. その他の意見(自由筆記)

・後発医薬品使用に努力している医療機関、薬局であることの表示、掲示の仕組みの導入が必要だと思う。
・後発医薬品使用促進に関わる公的な相談窓口の設置が必要。
・市町村国保の努力が不十分(後発医薬品への変更に理解が無い患者は国保に多い)。
・同一成分の後発医薬品の種類が多すぎる。
・複合剤の後発医薬品は不要。複合剤の後発医薬品は成分ごとの後発医薬品で調剤可能にすべき。

調査に協力した薬局は後発医薬品の数量シェア65%超が4割も!

以上の調査客体は461薬局、回答者は管理薬剤師又は開設者である。これらの薬局は、もともとは調剤報酬改定の影響調査のために協力いただいていた薬局だ。中央社会保険医療協議会などが行っている薬局調査は調査ごとに抽出された薬局であることから、客体が調査ごとに異なり、前回調査との比較や推移を見づらい。そのため定点調査として同一薬局に参加してもらい、改定の影響や推移が明確に分かるようにしている。

調査に協力してくださった薬局と薬剤師は、基本的に苦労を厭わない熱心で活発な方々である。たとえば在宅医療や後発医薬品への取組みは、一般的な薬局に比べて明らかに熱心で実績も多い。後発医薬品調剤の実績は既に80%を超えた薬局が17施設あり、65%を超えた薬局はなんと全体の4割を上回っている。もちろん、現状では全国の薬局、薬剤師の平均値とは言えないが(2014年度の後発医薬品の数量シェアは旧指標で31.1%、新指標で49.8%)、熱心に取り組みさえすれば、どの薬局や薬剤師でも十分に可能な実績であることを証明している。また、回答結果からは数値のみではなく、医薬分業下で私たちが置かれている立場や、後発医薬品使用の背景、それに対する取り組みの必要性、薬価や仕組みなどについて、概ねの知識を持っていることがうかがい知れる。

いずれにしても、彼らの多くは後発医薬品使用促進について熱心に取り組み、進展させようとしている。それを最も顕著に示しているのが「後発医薬品使用促進の次の目標」に対する回答だ。なんと後発医薬品シェアの次の目標値を「80%」と予測している薬局が、なんと362薬局にも及んでいるのである。

アメリカが達成したシェア90%を日本も掲げる日が来る

現在、日本は新指標として2018年度に60%達成の目標を掲げている。この目標数値と達成期限は、後発医薬品使用の先進諸国の状況を参考にして決定したものだ。もちろん、健康保険制度や医療制度の歴史などが異なるため、日本と諸外国のジェネリック医薬品のシェア状況を数字だけで比較するのは難しいが、アメリカでは後発医薬品は既に90%に達している。日本の社会保障費や医療費の厳しい状況を考えれば、いずれこの数値を目標とせざるを得ない時期が来るだろう。その実現に医薬分業の仕組みや薬剤師の職能が機能して、関係者からの評価を得ることができるか否かは、薬局経営者次第といえよう。

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専門家プロフィール

漆畑 稔

漆畑 稔(うるしばた みのる)

日本ジェネリック医薬品学会理事。他に、日本薬剤師会相談役や日本医薬総合研究所取締役も務める。(有)ユーアイ薬局を開設後、静岡市薬剤師会理事や副会長、日本薬剤師会常務理事、副会長を歴任し、厚生労働省 中央社会保険医療協議会委員、社会保障審議会臨時委員も務めた。

◆主な著書
『薬剤師の疑義照会』『薬剤師と医療保険』(ともにエルゼビア・ジャパン)など