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代表 林真一郎氏
1959年東京都生まれ。85年12月グリーンフラスコ株式会社を設立。94年9月グリーンフラスコ自由が丘店をオープン。グリーンフラスコ株式会社代表。東邦大学薬学部客員講師、静岡県立大学大学院非常勤講師なども務める。東京非営利活動法人日本メディカルハーブ協会副理事長、特定非営利活動法人日本ホリスティック医学協会理事。

東京・自由が丘でハーブ&アロマショップ「グリーンフラスコ」を経営する林真一郎氏は、ハーブやアロマの医療分野での効能にいち早く注目し、薬剤師や看護師といった医療従事者から一般の人にまで幅広く、その有用性を訴えてきました。アロマやハーブに力を入れる薬局が少しずつ増えている今、薬剤師が植物療法に関する知識を深めることで、どのような価値を提供できるのでしょうか。植物療法と薬剤師の職能の向上について林氏にうかがいました。

医学知識を持つ薬剤師だからこそ、植物療法を活用できる

――薬剤師の資格を持ちながら、現在はハーブとアロマショップを経営していらっしゃいますが、薬剤師がハーブやアロマを扱う意義についてどのようにお考えですか。

近年、統合医療の考え方が少しずつ広まっています。医薬品や手術による近代・西洋医学だけでなく、漢方やハーブといった植物療法、ホメオパシー、心理療法など代替療法とも併せて患者さまにとって最適な治療法をセレクトする統合医療においても、ハーブは今後ますます需要が伸びていくカテゴリーだと考えています。植物由来のハーブは、ヨーロッパの薬局では医薬品と同様の扱い。中国や日本における漢方と同じ位置づけで、エビデンスも豊富に揃っています。

ただ、日本におけるハーブの歴史はまだ浅く、「医療」としてのイメージが薄い。そこに薬剤師の活躍する余白があるのです。「治療」の作用が大きい医薬品と、「予防」の作用が大きい「ハーブ」、それぞれの効能をチェックして組み合わせることができるのは、薬に関する豊富な知識がある薬剤師ならではの職能でしょう。

――当初は調剤薬局を開業しようと考えていらっしゃったそうですが、ハーブとアロマのショップを開業したのはどういった経緯からですか。

グリーンフラスコ 自由が丘店
東京都世田谷区奥沢5-41-12 ソフィアビル1F
TEL03-5483-7565
営業時間:11時~20時
定休日:水曜、祝日の場合は営業

調剤薬局の開業準備をしていた際、待ち時間にハーブティーを提供しようと思い立ったのがきっかけです。しかし、東京・世田谷区で物件を契約し、いざ役所に許可申請をすると、役所の担当者から調剤薬局は薬事法、飲み物の提供は食品衛生法に関わることなので別々に申請が必要で、そのうえ「これまで前例がないから」という理由で調剤薬局とハーブティー提供スペースを壁で仕切れば営業可能、と言われる始末。でも、仕切りを設けてしまえば単なるカフェ併設の薬局になってしまい、私が求めていた薬局の形態ではない。何より「前例がないから」という理由だけで自分のアイデアが却下されたことがショックで(苦笑)。それならいっそ、薬局をやめてハーブとアロマに路線を切り替えてしまおうと決心。店内にハーブとアロマの物販コーナーを設けたハーブティー専門のカフェを開業しました。その後、ハーブやアロマの知識が増えるにつれ、心療内科系や婦人科系の病気に対する効能に興味が高まって、92年にハーブとアロマの販売店として移転リニューアルしました。

植物療法のエビデンスを増やすことで活用の幅を広げる

――2001年には研究所も開設されましたね。

日本ではハーブやアロマの効能に関するエビデンスの普及がまだまだ足りていません。自然療法に興味を持つ薬剤師は多いのですが、自身の働く薬局で扱いたくても、薬局長にそのメリットをうまく説明できず、結局扱えない、というケースが少なくありません。しかし、自然療法に関する論文やエビデンスがもっと充実していれば、薬局での導入もスムーズになるに違いない。そして、導入する薬局が増えれば、患者さまのハーブやアロマに対する見方も変わってくるのではないかと思ったのです。
ひと昔前は、ハーブやアロマといっても薬理学会で見向きもされませんでしたが、今では日本薬理学会にもひとつのカテゴリーとして認められるなど、認知度が上がっていると感じています。

――グリーンフラスコで開催するセミナーには、薬剤師の参加は多いのでしょうか。

薬剤師の数は、セミナー開講時から徐々に増えてきている印象です。現在、セミナー全体の参加者は9割以上が女性で、もっとも多いのがセラピスト。2番目が薬剤師、次いで看護師、ケアラー(家族などの無償の介護者)です。薬剤師の会員は現在400人弱が在籍しており、薬剤師向けのセミナーも不定期に開催しています。過去には「アロマテラピーハンドトリートメントとタッチング」「薬局や病院におけるアロマ・ハーブの導入と活用例」といった講座を開催。また、「健康管理・介護予防とハーブ&アロマ講座」や「アロマテラピー&メディカルハーブLESSON」など、医療や介護に携わる方に向けたセミナーも開いています。
また、こうした「専門家」向けのセミナーの他に、一般の方向けに「保健師さんが教えるインフルエンザ&風邪予防講座」や「冬におすすめ冷えの対策ケア」など、気軽に受講できるイベントも実施しています。なぜならば、ハーブやアロマを日本の医療界に浸透させるには、薬剤師が知識を持つことが大前提ですが、それに加えて患者側に情報を広めることも重要だからです。一般の方への啓蒙の意味も込めて取り組んでいます。

在宅医療に携わるケアラーに対してハーブやアロマの効能を活用する

――今後の展望を教えてください。

ハーブやアロマを在宅医療の現場で普及を広めたいですね。自然療法が有効なのは、急性期の病気というよりは、在宅医療や介護の分野。特に心療内科系の分野ではハーブ、アロマは高い効果を発揮することが学術的にも証明されています。そして、患者さまはもちろん、介護をしているケアラーのケアにも有用だと確信しています。
また、教育にも力を入れていきたいですね。東邦大学や静岡県立大学などで講師を務めていますが、学生のころから植物療法の見解を備えておくことは、10年後の薬剤師業界を考えるうえでも大変有益なことだと確信しています。

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