ヘルスケアハッカソン会場風景
チームごとに制作に取り組む参加者たち

2015年5月16~17日、東京・日本橋で医療従事者とプログラマーなどが参加するワークショップ「ヘルスケアハッカソン」が開催された(「服薬アドヒアランス解決のイベントが開催」)。

2014年8月にスタートしたこの「ヘルスケアハッカソン」は、「大腸癌」や「糖尿病」などヘルスケアをテーマに、課題解決のための企画を立てるユニークなイベント。イベント発起人は、医学生でもある古川由己氏だ。古川氏はヘルスケアハッカソンスタートのきっかけを次のように話す。「これから医療は病院や薬局の外に出る時代。その時に、院外でも院内と同質のサービスを提供するには、ITなど他業界と関わり、新しいシステムや技術を導入することが必須だと考えました。そこで、医療従事者とエンジニアなど他業種が一緒に課題に取り組める機会をつくろうと思ったのです」

イベントは2日間に渡って行なわれ、1日目は、患者と薬剤師によるテーマ提供および活発な質疑応答と、参加者らによるアイデア発表。その後、チームに分かれて2日目の夕方まで課題を制作する。そして最後に課題のプレゼンと、優秀者の発表を行ない閉幕となる。

第7回となる今回のテーマは「服薬アドヒアランス」。ご存知の方も多いと思うが、服薬アドヒアランスとは、患者が医師の指示通りのきちんと服薬すること。日本薬剤師会の発表によると、在宅における飲み忘れ薬剤費は約475億円にものぼると試算されており、これを改善するべく、新たなツール開発に各チームアイデアを出し合った。
参加者は薬剤師や医師など医療従事者が7人、エンジニアやデザイナーが7人、その他行政関係者やスタートアップ希望者など10人の計24人。チームは各業種をミックスさせて構成し、1チーム3~5人編成で課題に取り組む。

プレゼン風景
プレゼンは1チーム5分間。会場を巻き込んだユニークなプレゼンが続いた

参加者によるプレゼンは、2日目17時から行なわれた。各チーム5分間のプレゼンの後、審査員からの質疑応答が5分間用意されている。審査員を務めるのは、株式会社ケアネット共同創業者、株式会社ミレニアムパートナーズ代表で事業アドバイザーの秦充洋氏と、株式会社日本総合研究所総合研究部門で戦略コンサルティングに携わる東博暢氏の二人だ。

プレゼン内容は、薬にまつわるキュレーションメディア「おくすりレシピ」や、一人暮らしの高齢者に対し、家族や芸能人による自動音声で電話をかけ、服薬を確認する「薬薬LOVEコール」、薬の”飲み仲間”をつくって、服薬の時間を楽しむSNS「呑んだー!Nonder」など、他業種が集まったからこそ生まれるユニークなアイデアの数々に、会場は大いに盛り上がりを見せた。

優秀賞に輝いたのは「ごっくんBuddy」。これは子どもを対象にした服薬アプリで、キャラクターを用いることで、楽しみながら薬を飲めるような工夫が施されていた。「当の子どもが『楽しい』と思うかが一番の課題だが、実現化にもっとも近い」という審査員二人の評価だった。

イベントの最後に際し、「『服薬』を考える際、対象者の大半である老人が使いやすいインターフェイスをうまく使って提案することが重要。これをきっかけに互いに交流を持って今回のテーマの実用化に取り組んでほしい」と東氏。また、秦氏は「患者の行動をどのように変えるか、が服薬アドヒアランスを考える際の一つのポイント。飲み忘れの通知機能に終わらず、もう一歩踏み込んだアイデアを出ると良いと思う」と語った。

今後は「地域包括ケアシステム」など業界の抱える課題、「ドローン」「ペッパー」といったIT技術の活用、「睡眠時無呼吸症候群」などの病症をテーマにハッカソンを検討しているという。普段、仕事では関わることのない職種の人々と意見を交わすことで、医療現場に新しい風を吹かせる同イベント。
実用化に至った作品はまだないが、今後、医療業界に革新をもたらすアイデアが出てくるかもしれない。

薬キャリ編集部Y.K.

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