筆者の夫(20代)は肝臓機能改善のために、医師からプロヘパールを処方されているのだが、最近、薬が棚に溜まっていることに気がついた。理由を聞くと「肝臓に負担をかけない生活習慣に改善したから、薬は飲まなくて良いと自分で判断した」のだという。

2014年8月21日、日本調剤株式会社が実施した『処方薬の飲み残しに関する意識調査』の結果が発表された。「これまでに1ヵ月以上継続して薬を処方されたことがある」全国の男女(20~60代)1021人を対象に調査したところ、半数以上の人が処方薬の飲み残しを経験しており、「服用するのをつい忘れてしまうから」という理由が65.8%を占めていた。

なお、薬の飲み残しは20代が圧倒的に多く、薬の飲み残しが「よくある」と答えた人は20代女性が最多であった。この彼女たちの飲み残しの理由は、前述の通り「つい忘れてしまうから」という回答が46.2%を占めていたが、それ以上に「体調回復などにより飲む必要がなくなったから」という回答が53.8%に達しており、これは全体平均の30%を大きく上回る数字だ。また、「指示通りに飲まなくてもよいと思うから」という回答も23.1%と、他の年代に比べて比率が高くなっていた。

残薬に関する同様の調査は、2年前にもファイザー株式会社が実施している

こちらは生活習慣病患者300人を対象に実施した調査であるが、飲み忘れの経験者は約半数の46.3%を占めた。飲み忘れた場合の影響について「数日飲み忘れても問題ない」と答えた人は飲み忘れ経験者のうち60.4%に上ることがわかった。また、興味深いのは「残薬の確認」についての回答である。薬剤師から受けたと答えた患者はわずか24%に留まる一方で、薬剤師100人を対象にした調査では、実に91.0%の薬剤師が「残薬の確認」を行っていると答えているのだ。患者と薬剤師の認識のギャップが明らかになった結果といえよう。

14年1月に厚生労働省が公表した『薬局の求められる機能とあるべき姿』の中で、「2.薬局における薬物療法(薬学的管理)の実施について」の「薬学的管理」の項目に、「飲み忘れ、飲み残し等による残薬を確認していること。」が記載されている。

飲み残しが、単に「つい忘れてしまうから」という理由であれば、お薬手帳アプリなどに付いているアラーム機能を使えば、問題は解決されるだろう。ところが調査結果を見ると、実際は、患者自身が「飲み忘れ」に対してそこまで危機感を感じていないのと、自己判断による服用中止によって、飲み残しが発生していることが分かる。
残薬の原因が患者の自己判断となると、そこに薬剤師が介入するのはハードルが高い。とはいえ、正しく薬を服用しないことによるリスクを患者にきちんと説明することは、多少なりとも「飲み残し」に効果がありそうだ。そして、患者が自分の考えや状況を薬剤師に話しやすい環境づくりをすることもまた、残薬管理の徹底には必要なのかもしれない。

薬キャリ編集部K.S.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加