米国薬科大学協会(AACP)などの団体から構成される非営利活動法人のThe Pharmacy Workforce Center (PWC)が、2014年のアメリカ薬剤師の労働力に関する調査結果を発表した。

この「National Pharmacist Workforce Survey」は2000年、04年、09年にも実施されており、今回で4回目の実施となる。対象はランダムに選ばれた5200人の薬剤師。質問は大きく分けると3部構成となっており、「薬剤師労働人口のデモグラフィックと仕事の特徴」「業務内容と労働環境」「就労生活のクオリティ」に関して調査がされている。今回は、発表された調査資料に記載されている要点から、注目すべき内容をご紹介する。

【退職する男性薬剤師と女性薬剤師の台頭】
薬剤師資格をもつ対象者のうち、退職しているか、無職の人は男性31.6%、女性13.5%。男性の退職率が高まる中、女性が活躍をしている。
注目すべきは、今回の調査で初めて管理職に就く女性の割合が55.2%となり、男性の割合(44.8%)と逆転したことだ。パートタイムで働く割合は、いまだ女性の方が多いが、その男女差も縮まってきているという。この男女差には就業場所の違いも背景にあり、男性薬剤師の割合が高いのは、「チェーンではない地域の薬局」(55.9%)で、女性の割合が最も高い職場は「企業」(65.8%)となっている。全米で女性労働者が台頭している風潮は、薬剤師においても同様のようだ。なお、「雇用主」に関しては、圧倒的に男性の割合が高い。

【拡大する薬剤師の役割】
今回の調査で最も注目されるのが「拡大する薬剤師の役割」だ。フルタイムで働く薬剤師の業務のうち、調剤関連の患者対応に使う時間は49%、調剤以外の患者対応に要する時間は21%という結果が出た。09年の調査結果(調剤関連は55%、調剤以外の患者対応は16%)と比較すると、調剤以外の患者対応にあてる時間が増大していることが分かる。また、地域の薬局薬剤師に限定すると、「調剤以外」の患者対応の割合が平均より高い。業務内容に関しても、04年は薬物療法マネージメントを実施している薬剤師は13%、予防接種を実施する薬剤師は15%であったのに対し、今回の14年の結果ではそれぞれ60%、53%と過去10年で著しく増加している様子がうかがえる。

【増える業務と逼迫する労働力】
全体の66%の薬剤師は、作業負担レベルが「高い」または「過度に高い」と回答しており、フルタイムで働く薬剤師の64%は1年前よりも作業負担レベルが「上昇」または「大きく上昇」していると回答した。さらに回答者の45%が「自分の体力面、精神面において(作業負担の過多が)ネガティブに影響している」と感じており、これは人の命を守る医療従事者として懸念される問題だ。ストレスを感じる場面は「やることが多すぎて、全てをうまく(done well)できない」(45%)と回答する人が全体では最も多く、地域の薬局薬剤師に限ると「過度な書類関連の作業を行うこと」がトップとなっている。

日本でも、2025年問題に備え薬剤師の職能拡大が急務とされているが、すでに薬剤師の役割を拡大しているアメリカの実態をみると、急に薬剤師の業務範囲が拡大したことで、作業負担が増え、仕事の質が低下したと感じている薬剤師が半数近くいる。これは見過ごせない問題だ。
日本はアメリカより圧倒的に国民一人あたりの薬剤師人数は多いが、アメリカはテクニシャン制度を導入していることを忘れてはならない。
薬剤師の職能拡大はもちろん必要だが、同時に業務過多を防ぐ仕組みづくりも必須だろう。

薬キャリ編集部K.S.

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