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DI業務は進歩を続けている

日本医薬品情報学会(JASDI)主催のフォーラムの様子①

DI業務の重要性は近年ますます高まり、全国で多くの医療機関が取り組みを続けている。DI業務に関する制度としては、平成20年度の診療報酬改定で「医薬品安全性情報等管理体制加算」が、平成22年度ではそれに代わり「病棟薬剤業務実施加算」の施設基準として同様の体制が設けられ、DI業務はまさに進歩のさなかにある。
2014年2月9日、日本医薬品情報学会(JASDI)主催のフォーラム『病棟薬剤業務を支援するDI業務』では、4つの病院のDI業務の事例が紹介され、DI業務の現状と期待、そしてこれからの課題が議論された。

フォーラム講演・4病院の事例を見る

滋賀医科大学医学部附属病院(講師:炭昌樹氏)では、Webシステムを活用したDI業務を推進している。「Web版院内医薬品集」では、院内で処方可能な医薬品に加え、非採用医薬品、先発・後発品に至るまで豊富な情報がデータベースから利用できる。添付文書もダウンロードでき、職員は業務で必要な情報を各電子カルテ端末から得ることができる。「薬剤部からの情報発信・掲載ホームページ」では、薬剤部から院内の職員に配信されるメールを整理して掲載しているほか、医薬品適正使用に関する情報が利用しやすい形になっている。また医薬品に関する問合せ・対応記録、ハイリスク薬の適切な治療管理のためチェックリストなどを薬剤部で共有することで、新人薬剤師も適切な治療モニタリングが行えるよう進めている。定期的検査が必要な薬剤や、自動車運転に注意が必要な薬剤の情報は処方オーダリングシステムを活用して、院内の医療スタッフや地域の保険薬局と共有し、適正使用に努めている。

日本医薬品情報学会(JASDI)主催のフォーラムの様子②

大船中央病院(講師:根岸大輔氏)では、病院薬剤師全員が一体となってDI業務を推進する体制を構築している。毎日始業時にDI室薬剤師・病棟薬剤師が合同で情報共有連絡会を設けているほか、週ごとに症例検討会も催されている。情報共有は薬剤師間だけにとどまらない。DI室薬剤師と病棟薬剤師が共同で研修会を行うことで、新薬採用時等必要な病棟に必要な情報を提供し、院内の職員全体に対し情報共有に努めている。また、DI室が主導で「医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan:RMP)」を実施し、患者向けの医薬品ガイド、市販直後調査、医療関係者への情報提供、患者への情報提供を行っている。海外文献や承認審査資料等を評価し、医師と合同で院内の投薬基準を策定し、副作用のリスクを低減させる試みを続けている。

大和市立病院(講師:榊原加奈恵氏)では、各診療科で個別に登録していた副作用・アレルギー情報を薬剤科が院内のWebシステムで一元化した。これにより、被疑薬のあいまいな情報を排除し、より正確な情報を参照できるようになった。医師・看護師から提出された副作用・アレルギーの報告書を医師と薬剤師、両者で内容を評価・確認し、医師と薬剤師が協議した後、登録レベルを決定しDI担当薬剤師がシステム上に登録する。次回以降の投薬時にはシステムを参照することで記録した情報が閲覧でき、処方オーダ時にはエラーメッセージが表示され、副作用・アレルギーを起こした医薬品の患者への再投与のリスクを確実に回避する仕組みだ。また、同病院では医薬品情報統合(JUS.D.I)システムを採用しており、最新の添付文書の閲覧や掲示板による医薬品情報の配信等、つねに最新の情報閲覧・共有がなされる仕組みづくりも進められている。

日本医薬品情報学会(JASDI)主催のフォーラムの様子③

けいゆう病院(講師:鈴木信也氏)では、ハード面の支援(ITを活用した情報共有)と、ソフト面の支援(人同士の直接的なコミュニケーションによる情報共有)を組み合わせたDI業務を推進している。ハード面では、病棟薬剤業務日誌のシステム、文書管理システムを導入したほか、独自に構築したデータベースで疑義照会の記録や質疑応答の記録、プレアボイド報告の記録、医薬品安全性情報等を蓄積している。これらにより、サテライトである病棟でセントラルである薬局と限りなく近い医薬品情報を使える環境を作っている。一方ソフト面では、DI担当(1人)を責任者に、病棟担当3人と3組のチームを構成し、それぞれのチームが毎日15分間のカンファレンスを行っている。カンファレンスの内容は、薬剤管理指導記録の内容の監査、プレアボイド事例の共有・疑問、難渋した症例の相談、インシデント・アクシデント事例の共有などであった。

見えてきたDI業務の“いま”と“これから”

特集 DI業務の「進化」、そして現場の「今」

DI業務の最前線においてITが非常に有効活用されていることは注目に値する。疑義紹介の記録や、副作用やアレルギーが生じたアクシデント・インシデントの報告等、医薬品・病棟薬剤師業務に関するあらゆる情報をその場限りの出来事として埋もれさせず、院内の今後の薬物治療の安全性・効率性を高める貴重な財産として活用される仕組みが、ITによって構築されている。しかしながら、ITがあるからDI業務が成立するのではない。ITを活かして現場に立つ人がいるからこそ価値があるのだ。
日々データベースに蓄積される膨大な情報の管理・更新を、DI業務に従事する数名のDI部門の薬剤師だけで担うのはマンパワー的に限界がある。DI部門に従事する人員の不足を解消するための採用強化はもちろん、病院薬剤師だけにDI業務の職責を限定せず、院内の職員全員が協同してDI業務をさらに推進していく当事者としての意識を持つことが求められる。

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