薬剤師の悩みのトップに上がるのが「コミュニケーション」ですが、企業が求める人材の資質として挙げているのも、実はコミュニケーションスキルなのです。そこで、薬局・医療コミュニケーションコンサルタントを務める村尾孝子先生に、薬剤師業務におけるコミュニケーションの重要性についてお話しいただきます。今回は「職場別のコミュニケーション ドラッグストア編」をお送りします。

薬剤師の仕事はチームで成り立つ。「困ったときはお互いさま」の気持ちを忘れずに

Q  調剤併設のドラッグストアで働いていますが、調剤もOTC販売も対応せねばならず、休む暇もありません。忙しい時に仕事を頼まれた際の上手な断り方を教えてください。

断り方を考える前に「仕事を頼まれている」ことについて考えてみましょう。仕事を頼まれるのは頼りにされている証拠。つまり、本来はありがたいことなのです。ですから、つねに仕事を頼んでくれた相手への気遣いを忘れてはいけません。それを忘れず断れば、相手はきっと分かってくれます。

断り方のポイントは、必ず理由も伝えること。たとえば「今、患者さんの急ぎの対応をしているので、15分後でよければ大丈夫」と対応できない理由を伝え、さらに、いつなら対応できるかなどの代替案を提案できれば、相手も嫌な気持ちにならないでしょう。また、次からはタイミングを見計らって相談してくれるはずです。

さらに、断ったあとのフォローも忘れてはいけません。「昨日は手伝えなくてごめんね。今なら時間作れるけど何かある?」と声を掛けてみましょう。どんな理由であれ、毎回断ってばかりでは、職場での人間関係が損なわれる可能性があります。手が空いたときは協力できることを伝えてみてください。 また、言葉だけでなく伝える際の表情や態度にも気をつけましょう。たとえば、お願いを断るにしても、相手の顔を見ずにぶっきらぼうに言うのと、相手の目を見て申し訳なさそうな表情で言うのとでは、相手はどちらが良い印象を持つでしょうか。きっと後者ですよね。薬剤師の仕事はチームで進めるもの。上下関係問わず「困ったときはお互いさま」の気持ちを持つと、互いに気持ちよく働けるのではないでしょうか。

すべてはあなたの成長のため。新入社員に伝えるべきこととは

Q2.5月に店舗配属された新入社員の派手な髪色やネイルが気になります。会社の印象にもつながるため、少し控え目にしてほしい。どうやって伝えたらよいでしょうか。

学生気分がまだ抜け切れていない新入社員は、社会人、薬剤師としての身だしなみについて理解が不十分のようです。しかし、新人とは言え、薬剤師であることには変わりないのです。
ここ数年の新入社員は、注意されることを極端に怖がり、ほんの少しのアドバイスでも「非難された」「嫌われた」などと思い込んで、萎縮する傾向が見られます。また、同僚の前で間違いを指摘されることを非常に恥ずかしがるため、注意する際は「あなたにはもっと成長してほしいから、少しアドバイスするね」と前置きを入れて、できるだけ一対一で話すようにしましょう。そうすれば耳を傾けてくれるはずです。

そして何より大切なのが、日頃からコミュニケーションをとって、信頼関係を築くこと。信頼をおける人からの注意は受け入れやすいものです。万一、相手が納得していない、実際の行動に変化が見られないような場合は、決して目を背けずに、表現を変えるなどして、相手が納得するまで向き合いましょう。

薬剤師はお客さまの命と健康を預かる職業です。特に、ドラッグストアの客層は幅広く、誰が見ても「清潔」「安心」「信頼できる」と感じてもらえる身だしなみが求められます。どれだけ薬剤師としての知識や技術を持っていても「あの薬剤師の髪の色が派手でちょっと相談しづらい」と、見た目の印象が理由で信用を得られないのでは本末転倒です。 身だしなみを整えることは、将来、選ばれるドラッグストアになるための一歩であり、もちろん社会人、薬剤師としての自覚を高めることにつながります。ぜひ、社会人、薬剤師の先輩であるみなさんがしっかり向き合って「あなたの成長を願っている」という思いを伝えてください。

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専門家プロフィール

村尾 孝子

村尾 孝子(むらお たかこ)

薬剤師、医療接遇コミュニケーション コンサルタント、企業研修・講演・セミ ナー講師、株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。明治薬科大学薬学部薬剤学科卒業、埼玉大学大学院経済学部経営管理者養成コー ス修了、病院・薬局・教育研修会社勤務を経て現職。