調剤報酬不適切請求問題や「医薬分業」見直し論など、今、薬局や薬剤師にとっては厳しい状況だ。しかし、多くの薬剤師が患者に安全な薬物治療を提供すべく、日々の業務に取り組んでいることと思う。そんな中、今冬の繁忙期にヒヤリ・ハットな体験をした方もいるのではないだろうか。このヒヤリ・ハット事例は、裏を返せば薬剤師の存在価値を示すよい機会だ。今一度、ヒヤリ・ハット事例を確認して業務に活かしてほしい。

(財)日本医療機能評価機構が、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業としてその事例をまとめており、2014年1月~6月に収集された内容が現在の最新データとして閲覧可能だ。最新データには、薬局362店舗2805件の事例が公表されている。これらの事例から、ヒヤリ・ハットが起きやすい状況を把握し、予防策を講じることが重要だ。『共有すべき事例』として具体例も28件記載されている。

    【発生時期の特長】

  • 曜日は金曜日(570件)と月曜日(550件)が特に多い。
  • 発生時間帯は、10:00~11:59が圧倒的に多い。
    【調剤に関する事例】

  1. 数量間違い (727件)
  2. 薬剤取り間違え (410件)
  3. 規格・剤形間違い (365件)
    【発生要因】(※複数回答可)

  1. 確認を怠った (2150件)
  2. 勤務状況が繁忙だった (757件)
  3. 医薬品 (493件)

上記の内容から、繁忙期は薬剤師だけでなく医師も多忙になるため、確認不足・不注意や患者とのコミュニケーション不足によるヒヤリ・ハットが生じやすいことが分かる。そのような状況において、ヒヤリ・ハット事例の13.7%は疑義照会によって解決されている。
その一部を以下に紹介する。

■事例10より抜粋

10歳の子供の処方。タミフル20mgと剤形や用法などの指示もない手書きの処方せんであった。用法がなく、用量も不適切であるため疑義照会したところ、イナビル吸入粉末剤20mgの処方の間違いとのことだった。10歳以上が1回2キットであるため、用量も間違いであることがわかった。その場で適正な用量を伝え、用量も変更となった。

■事例24より抜粋

風邪で診察を受け、エバスチンOD錠10mg「タイヨー」が処方された。お薬手帳を確認すると、他医院でジルテック錠10を服用中であった。疑義照会にてエバスチンOD錠10mg「タイヨー」が削除になった。

こうした事例は「医薬分業」の必要性を訴える根拠にもなるうえ、薬剤師としてあるべき姿だと思う。この集計報告をまだ読んでいない方はぜひこの機会に確認して薬剤師の職能や役割を再認識するとともに、服薬指導や疑義照会などに活かしていただきたい。

薬キャリ編集部K.S.

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