
妊娠中に転職を考える薬剤師さんのなかには、「妊娠していても採用してもらえる?」「転職してすぐに産休や育休を取れる?」と不安を感じる方もいるでしょう。
妊娠中でも転職は可能ですが、体調や産休・育休の条件などを踏まえた慎重な判断が必要です。この記事では、妊娠中の薬剤師が転職するときに知っておきたいポイントを解説します。
記事のポイント
・妊娠中でも薬剤師の転職は可能だが、実際は不利になることも。
・産休は無条件に取得できるが、育休や出産手当金・育児休業給付金にはそれぞれ条件がある。
・妊娠中に転職するか、現在の職場で産休・育休を取得するかは慎重に判断を。
妊娠中でも薬剤師は転職できる?

いろいろな事情で、妊娠中に転職したいと考えることはあるでしょう。その場合の難易度はどのくらいでしょうか。
妊娠中に転職することは可能
結論から言うと、妊娠中でも薬剤師の転職は可能です。
求人自体は多く、資格を持つ薬剤師であれば妊娠中でも応募できる求人は存在します。
ただし「できるかどうか」と「スムーズに進むかどうか」は別の問題です。
妊娠中の転職には特有の注意点があるため、事前にしっかり準備して動き出すことが大切です。
妊娠を理由とする不利益な取り扱いは禁止されている
男女雇用機会均等法では、妊娠・出産を理由とした解雇や不利益な取り扱いを禁止しています。
面接で妊娠の有無を執拗に確認したり、それを理由に露骨に選考から外したりすることは、法的には問題となり得る行為です。
法律上の保護と実際の採用されやすさは分けて考える
とはいえ、法律で禁止されているからといって、採用の現場で妊娠が全く不利に働かないというわけではありません。
「総合的に判断して他の人に決まった」など、妊娠以外の理由で採用に至らないケースは実際にあります。
法律上の保護と採用担当者の採用判断には差があることを理解したうえで、転職活動を進める必要があります。
妊娠中の薬剤師が転職で不利になりやすい理由

妊娠が転職の選考でなぜ不利になりやすいのかをみていきましょう。
産休中の代替人員をまた確保しなければならない
採用する側の視点に立つと、妊娠中の人を採用してすぐに産休・育休に入られると、また代替の人員を探さなければなりません。
特に薬剤師は専門職で採用のハードルも高いため、短期間で採用活動を繰り返すことは避けたいと考える担当者は少なくありません。
仕事を覚える前に産休・育休に入る可能性がある
新しい職場では、調剤の流れやシステム、他職種との連携方法など多くのことを覚えなければなりません。
すぐに産休・育休に入ると、教育にかけた時間や労力に対して、実際に戦力として働ける期間が短いということになります。そして、復職時にはあらためて業務を確認することになります。
この教育に関する負担を懸念する職場もあります。
つわりや体調不良による欠勤を懸念されやすい
つわりや体調不良で急な欠勤・早退が発生する可能性を懸念する採用担当者もいます。
新人にはできるだけ早期に安定して戦力になってほしいと期待されているので、人員に余裕のない職場では採用を慎重に判断されるかもしれません。
妊娠中の転職活動はいつ始めるべき?

このように、不利になることも多い妊娠中の転職活動ですが、もし転職しなければならないとすると、いつ始めるのがいいのでしょうか。
体調が安定していれば妊娠早期から情報収集を始める
つわりなどの体調に問題がなければ、できるだけ早い時期から情報収集を始めて動き始めることをおすすめします。
求人の傾向を知ったり、転職エージェントに相談したりする準備段階であれば、体調への負担も少なく進められます。
安定期まで待つと産休までの勤務期間が短くなる
一般的に安定期と言われる妊娠16週前後から転職活動を始めようと考えるかもしれませんが、待てば待つほど入社から産休までの勤務期間は短くなります。
前述の通り、産休までの勤務期間が短いことは採用側の懸念材料になりやすいため、「安定期を待つメリット」と「勤務期間が短くなるデメリット」を天秤にかけて判断する必要があります。
妊娠中の転職で妊娠を伝えるタイミング

妊娠中に転職活動をする際は、どのようなタイミングで応募先に妊娠を伝えるのがよいのでしょうか。
応募書類に妊娠の事実を書く義務はない
大前提として、履歴書や職務経歴書に妊娠の事実を書く法的な義務はありません。
プライベートな情報であり、開示するかどうかは本人の判断に委ねられています。
書類選考の段階で伝えるメリット・デメリット
ただ、実際には書類選考の段階で伝えるという選択肢もあります。
書類選考の段階で妊娠を伝えると、早い時点でミスマッチを避けられるというメリットがあります。妊娠に理解があり、受け入れ可能な職場に絞って選考を進められます。
一方で、面接で人物像を見てもらう前に、書類の時点で選考から外されてしまう可能性が高くなるというデメリットもあります。
面接で伝えると勤務条件について相談しやすい
面接まで進んでから伝える場合は、直接顔を合わせて話ができるため、現在の状態や、出産を挟んだ働き方について、自分の言葉で伝えやすいというメリットがあります。
企業側に人柄や能力を見た上で判断してもらえるため、書類上の情報だけで落とされるリスクを減らせます。
内定後に伝えると信頼関係に影響することもある
もし、面接のときにも妊娠のことを伝えず、内定が出てから伝えると、「そのような大切なことをなぜもっと早く言わなかったのか」という不信感につながることは否めません。
入社後の関係性にも影響しかねないため、応募時から面接の間に伝えておくほうが望ましいでしょう。
妊娠中に転職すると産休・育休に間に合う?

産休と育休では取得条件が異なります。転職後に取得できるかどうかをそれぞれ確認しましょう。
産休は勤続期間にかかわらず取得できる
産前産後休業(産休)は労働基準法に定められた制度で、働く女性であれば、勤続年数に関係なく、雇用形態を問わず取得できます。
転職して間もない人やパートなどで有期雇用の人も対象です。
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育休も基本的には取得できるが、取得できないケースもあるので注意
育児休業は、原則として1歳未満の子どもを養育する労働者であれば取得できます。
パートなどで有期雇用の場合は、子どもが1歳6か月になるまでに雇用契約が終了し、更新されないことが明らかでなければ対象になり得ます。
ただし、勤務先が労使協定を結んでいる場合、入社から1年未満の場合、育休の対象外となることがあります。
転職後まもなく育休へ入る予定なら、就業規則や労使協定を事前に確認しましょう。
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出産・育児関連の給付金は給付条件を確認する
産休や育休を取得できることと、休業中に給付金を受け取れることは別の問題です。
健康保険の被保険者本人が出産のために仕事を休み、給与を受け取れない場合は、一定の条件を満たすと産休中に出産手当金を受給できます。
育休中に育児休業給付金を受給するには、原則として育休開始日前2年間に、雇用保険の被保険者期間が一定以上必要です。
どちらも、受給条件を満たしているかを事前に確認しておくことが大切です。
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転職先を選ぶときに確認しておきたいポイント

妊娠中に転職先を考える際には、次のようなポイントに注意しましょう。
育休の取得実績があるか
求人票や面接で、実際に育休を取得した社員がいるか、取得率はどの程度かを確認しましょう。
少人数の職場では、制度があっても実際には使われていないケースもあるため、実績を確認することが大切です。
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有期雇用か無期雇用か(契約更新の見込み)
パートの場合、雇用契約が有期か無期かも重要です。
パート・派遣といった有期雇用では、契約更新のタイミングと産休・育休の時期が重なると、更新されずに雇用が終了してしまうリスクがあります。
育休の取得にも契約期間が関係するので、契約更新の見込みや、これまでの更新実績についても確認しておきましょう。
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体調面で負担の大きい業務(立ち仕事・抗がん剤調剤など)がないか
薬剤師の業務の中には、長時間の立ち仕事や、抗がん剤の調剤など、妊娠中の体に負担がかかりやすいものもあります。
配置転換や業務内容の調整が可能かどうかも、事前に確認しておくと安心です。
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妊娠前に転職する前倒し戦略とどちらがよい?

妊娠を希望しているが、転職もしたいという場合、妊娠と転職とどちらを優先するのがいいのでしょうか。
妊娠前なら選考への影響を抑えやすい
妊娠は計画してその通りにできるものではありません。また、転職してすぐに妊娠するのもためらわれると考えて、なかなか転職活動に踏み出せない方もいるかもしれません。
しかし、まだ妊娠していないのであれば、妊娠前に転職を済ませる「前倒し戦略」を考えたほうがいいかもしれません。
妊娠する前に転職を済ませておけば、妊娠を理由とした選考への影響を心配する必要がありません。スキルや経験で評価してもらえるため、採用されやすくなります。
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妊娠前に勤続期間を確保すると産休・育休へ入りやすくなる
転職後、ある程度の勤続期間を経てから妊娠すれば、職場での信頼関係も築けており、産休・育休の取得もスムーズでしょう。
また、雇用保険の被保険者期間などの給付条件も満たしやすくなるというメリットもあります。
妊娠中の転職は慎重に考えよう

妊娠中の薬剤師の転職は、法律上は可能であり、実際に転職している方もいます。
ただし、採用のハードルが高く、採用されたとしても、出産を挟むため、仕事を覚えたり職場になじんだりすることが難しくなるという面もあります。
自分と家族にとって何を優先したいかをじっくり考え、必要であれば妊娠前の転職や、現職での産休・育休取得も含めて幅広い選択肢を検討することをおすすめします。



