
育児と仕事を両立するため、勤務時間を短くしたいと考えたときにまず思い浮かべるのはパート勤務でしょう。しかし、時短正社員なら、正社員としての安定性を保ちながら、家事や育児の時間を確保しやすくなります。
本記事では、時短正社員とパート薬剤師や育児時短勤務制度との違い、メリット・デメリット、時短正社員になる方法について解説します。
記事のポイント
・時短正社員は、正社員としての安定性を保ちながら、フルタイムより短い時間で働く方法。
・収入や雇用が安定しやすい一方、給与の減少や限られた時間内で業務を終える負担がある。
・職場を選ぶ際は、実際の勤務時間や給与体系を確認することが大切。
薬剤師の時短正社員とは

まず、時短正社員とはどういう働き方かについて解説します。
フルタイム正社員より勤務時間が短い正社員
時短正社員とは、フルタイム正社員より短い勤務時間で働く正社員のことです。
勤務時間は短いものの、期間の定めのない労働契約を結び、正社員として働く点が特徴です。勤務時間や給与の取り扱いは職場によって異なります。
時短正社員は、フルタイム正社員と比べて1日または1週間の所定労働時間が短く設定されています。勤務例としては、次のような働き方があります。
・週5日・1日7時間勤務
・週4日・1日8時間勤務
1日の勤務時間を減らす形のほか、週の勤務日数を減らす形もあるため、自分の希望に合うか確認しましょう。
育児のための時短勤務制度との違い
時短正社員と、育児・介護休業法に基づく「育児のための短時間勤務制度」は違うものです。
育児のための短時間勤務制度は、一定の条件を満たす3歳未満の子どもを育てる労働者が利用できる制度です。事業主は原則として、1日の所定労働時間を6時間とする措置を含む制度を設けなければなりません。
また、子どもが3歳になった後、時短は「努力義務」となり、子どもが何歳まで時短勤務ができるかは勤務先によって異なりますが、現在は、子どもが小学校入学前や小学校卒業までなど、独自の延長規定を設けているところが増えています。
一方、時短正社員は法律上の育児支援制度ではなく、企業が雇用区分の一つとして設ける働き方です。子どもの有無や年齢に関係なく短時間勤務をすることができます。
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パート薬剤師との違い
時短正社員とパート薬剤師では、雇用の安定性や給与体系、福利厚生などに違いがあります。
| 項目 | 時短正社員 | パート |
| 雇用形態 | 正社員 | 非正規雇用(有期契約または無期契約) |
| 給与 | 月給制が中心 | 時給制 |
| 収入 | 毎月の収入を見通しやすい | シフトや勤務時間で変動 |
| 社会保険 | 原則として加入 | 加入要件を満たすと加入 |
| 賞与・退職金 | 制度があれば対象 | 対象外または少額 |
| 昇給・昇進 | 制度の対象になりやすい | 限定的 |
| 働く時間の調整 | 固定されやすい | 比較的調整しやすい |
上記は一般的な傾向です。時短正社員でも賞与や退職金がない職場がある一方、パート薬剤師にも賞与を支給する職場があります。
名称だけで判断せず、実際の雇用条件を確認しましょう。
薬剤師が時短正社員として働くメリット

まず、時短正社員のメリットについてみていきましょう。
収入や雇用が安定しやすい
時短正社員は原則として月給制で、パートよりも月々の収入が安定しています。
教育費や住宅費などを含めた家計の計画も立てやすいでしょう。
また、パートとは異なり、原則として定年まで安定して働き続けられます。契約更新の有無を心配する必要がありません。
子育てをしながら一つの職場で長く働きたいママ薬剤師にとって、雇用の安定は大きなメリットです。
社会保険や福利厚生を利用できる
勤務条件を満たせば、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入できます。
職場によっては、正社員のための住宅手当や家族手当、研修費の補助、退職金制度なども利用できます。
家事・育児と仕事を両立しやすい
フルタイム勤務では時間に追われてしまう人も、勤務時間を1~2時間短縮できれば生活に余裕を持てるでしょう。
退勤時間が早ければ、保育園や学童への迎え、夕食の準備などに時間を使えます。
安定して仕事をしながら家庭で過ごす時間も確保したい人にとって、時短正社員はメリットの多い働き方といえるでしょう。
キャリアを継続しやすい
正社員として継続して働くことで、幅広い業務を経験したり、研修や昇進の機会を得たりしやすくなります。
将来、子育てが落ち着いたときにフルタイム勤務へ戻れる制度があれば、長期的なキャリアも描きやすくなります。
薬剤師が時短正社員として働くデメリット

次に、時短正社員のデメリットについてみていきます。
フルタイム正社員より給与や賞与が少なくなる
時短正社員の給与については、フルタイム正社員の給与に勤務時間の割合を掛けて計算する方式が多くみられます。
たとえば、フルタイム正社員の月給が30万円、1日8時間勤務のところを1日6時間に短縮する場合、単純計算では次のようになります。
30万円×(6時間÷8時間)=22万5,000円
この場合、月給は7万5,000円減少し、年間では90万円の差になります。賞与も基本給や勤務時間の割合に応じて減額されれば、年収の差はさらに広がります。
ただし、実際の計算方法は職場ごとに異なります。
資格手当や役職手当は全額支給されるのか、賞与はどのように算定されるのかも確認しましょう。
限られた時間内で業務を終える負担がある
勤務時間が短くなっても、業務量が十分に調整されないことがあります。
調剤や監査、服薬指導に加え、薬歴の記載や在庫管理などを退勤時間までに終えなければならず、忙しさを感じる人もいるでしょう。
急な処方箋の増加や患者対応によって退勤が遅くなる職場では、時短勤務のメリットが薄れてしまいます。
職場によっては肩身の狭さを感じることがある
ほかのスタッフが忙しい時間帯に先に退勤するため、申し訳なさや肩身の狭さを感じる人もいます。
時短勤務への理解が十分でない職場では、終わらなかった仕事を他の人に頼みにくい、重要な業務を任せてもらえないといった悩みが生じる可能性もあります。
制度の有無だけでなく、実際に時短勤務を利用しやすい雰囲気があるかを確かめることが大切です。
求人数が少なく希望条件に合う職場を探しにくい
薬剤師の正社員求人はフルタイム勤務が中心です。短時間勤務の求人はパートがほとんどで、時短正社員は多いとはいえません。
特に「土日休み」「16時まで」「残業なし」など複数の希望を満たす求人は限られます。
薬剤師が時短正社員になる方法

まだあまり一般的ではない時短正社員になるためには、どのようにすればいいのでしょうか。
現在の職場で勤務時間の短縮を相談する
まずは、現在の職場に利用できる制度がないか確認しましょう。
育児のための短時間勤務制度のほか、企業独自の時短正社員制度を設けている場合があります。
そのような制度がない場合は、正社員として時短で働けないかを職場で相談してみましょう。
現在は制度がなくても、業務内容や人員体制によっては、個別に勤務時間を調整してもらえる可能性があります。
相談する際には、希望する勤務時間だけでなく、時短勤務にしたい理由、これまでの勤務実績や職場への貢献を伝えましょう。自分一人のメリットだけでなく、導入することが職場にとってもプラスになると前向きな姿勢で交渉することがポイントです。
時短正社員を募集している職場へ転職する
現在の職場で希望する働き方が難しい場合は、時短正社員を募集している職場への転職が選択肢となります。
求人が比較的見つかりやすいのは、複数の薬剤師を配置しやすい大手調剤薬局チェーンやドラッグストア、子育て支援制度を整備している病院などです。
また、人員に余裕がある大型店舗や、営業時間が短く勤務終了時刻を設定しやすい職場も候補になります。
ただ、自分だけでは希望に沿った求人を探すのは難しいかもしれません。
自分だけで探すのが難しい場合は、薬剤師向け転職エージェントを利用する方法もあります。
自分の希望を伝えておけば、求人票にない時短勤務の可否を確認したり、勤務条件について職場側と調整してもらったりすることができます。
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薬剤師が時短正社員の職場を選ぶときの確認ポイント

時短正社員に転職する際には、次のポイントに注意しましょう。
勤務時間と残業の有無
始業・終業時刻に加えて、実際の退勤時刻を確認しましょう。
退勤時刻は16時とされていても、薬歴の記載や引き継ぎで残業が発生することがあります。
子どもの急な発熱時に休めるか、土曜日や遅番の勤務があるか、店舗間の応援を求められるかも重要な確認事項です。
給与・賞与・昇給はどうなっているか
基本給の計算方法だけでなく、資格手当や賞与、昇給、退職金の取り扱いも確認します。
また、将来フルタイムに変更することができるか、その際に給与がどのように変更されるのかも聞いておくとよいでしょう。
他に時短正社員がいるか
現在、時短正社員として働いている薬剤師がいるかも重要な確認ポイントです。
もし時短正社員がいるなら、「何人くらい利用しているか」「どのような勤務時間で働いているか」「管理薬剤師や正社員との業務分担はどうしているか」などを確認してみましょう。
利用者が実際に定時で帰れているかも、働きやすさを判断する材料になります。
自分に合った働き方を見つけよう

時短正社員は、正社員としての安定性を保ちながら、家事や育児に使う時間を確保しやすい働き方です。
一方、フルタイム正社員より給与が下がる、限られた時間で業務を終える負担がある、希望に合う求人が少ないといった注意点もあります。
さまざまな働き方を選べるのが、ママ薬剤師のメリットです。家庭の状況に合った無理なく続けられる働き方を考えていきましょう。



