
三女は現在4歳。
相変わらず【違うよ!でもでも、だって】星人の真っ最中だ。
(母)「今は遊ぶ時間じゃないよ。」
と声をかけると、
(三女)「違う!ちょっと(おもちゃを)持ってただけ。」
と言うし、
(母)「今はご飯の時間で立ったら駄目だよ。」
と言うと、
(三女)「違う!ちょっと水がなかっただけ。」
(母)(……いや、普段お水入れに行かないやん!)
と心の中でツッコミつつ、等々……。
とにかく、素直に「はい」と言えないお年頃。
毎度「でもでも、だって」と屁理屈(いや、本人の立派な意見?)をこねられると、ついイラッとしてしまう。
そこで最近は、
(母)「『違う!』とか『でも!』と言わずに、まずは『はい。』とお返事しようね。その後に自分の言いたいことを言ったら、お話を聞いてもらいやすくなるよ。」
と根気強く伝えている。
二人で話し合った結果、「あのね。」と言い始めるルールにしてみた。
すると最近は、何か声をかけた時に、
(三女)「違う!……あ、ちがうじゃなかった、あのねー」
と、一拍置いてから話し始めることが多くなり、その健気な姿にちょっと笑ってしまう。
ある朝のこと。
朝の準備でバタバタと動き回っていると、三女の遊びたいおもちゃが手の届かない高い所にあった。
(三女)「お母さん、あれとって。」
と言われたけれど、
(母)「今は遊ぶ時間じゃないから、帰ってからね。」
と説明した。
すると、
(三女)「うん!わかった!」
と、これ以上ないほど元気な返事が返ってきた。
(母)――おっ、今日はやけに聞き分けがいいじゃん!すごい、成長したな!
なんて感心しつつ、私はせっせと自分の準備を進めていた。
ふと、背後から物音がして三女の方を見ると……。
なんと、自分でリビングの重たい椅子をよいしょ、よいしょと引っ張ってきて、その上にどっこいしょと乗り、自力でおもちゃを取ろうとしているではないか。
(母)(……あれ? 思っていた展開と違うぞ……!?)
さっきの三女の「うん、わかった!」という返事は、「お母さんが忙しくて取ってくれないなら、じゃあ自分で取るね!」の「うん、わかった!」だったのか……!
私の説明をまったく理解していなかったのか、それとも三女の辞書に「諦める」という文字がそもそも存在しないのか。
(母)(長女も次女も、4歳の時ってこんなに肝っ玉座ってたっけ……?)(いや、欲しさにギャーギャー泣き叫ばないだけ、マシだと思うべきなのか……?)
頭の中に無数の「?」を浮かべながらじっと見守っていると、三女はバランスを取りながら見事にお目当てのおもちゃをゲット。満足げに、誇らしげな顔でスタスタと持っていくのだった。
よく考えたら、三女は自分が見えないところがあるとサッと踏み台を持ってきて視界を確保したり、できないことがあるとすぐお姉ちゃんたちの動きを観察して真似っこしたりと、日々ちゃっかり自分の頭で考えて生きている。
要領が良いというか、なんというか……ものすごく「たくましい」。
空気を察する力も、生き抜く知恵も、末っ子らしくどんどん磨かれている気がする。
三姉妹育児は毎日ドタバタで目が回りそうになるけれど、性格が全く異なる三人がそれぞれどんな大人になっていくのか、これからの未来がますます楽しみになった、ある日の朝の出来事だった。


