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薬学生の実務実習トラブル事例調査!

4年次の終わりから始まる実務実習。これから実務実習に臨む薬学生のなかには、「実習先ともしトラブルがあったらどうしよう」と不安を抱える人もいるのではないでしょうか。

大部分の薬学生はつつがなく実習を終えますが、残念ながら一部の薬学生と指導薬剤師・実習先の間にはトラブルが発生しているのも事実。万が一トラブルに見舞われた際にどう動くべきなのかを理解し、実習前に不安を解消しておきましょう。
ここでは、2020年卒の薬学生を対象に実施したアンケート結果をもとに、実際に実習期間中に発生したトラブルの内容や、トラブル発生時に薬学生が取るべき行動についてまとめました。

薬局実習中のトラブル発生が目立つ

表1:実習期間中に実習先とのトラブルを経験しましたか?

表1:実習期間中に実習先とのトラブルを経験しましたか?

表2:トラブルが起こったのはどちらの実習先でしたか?

表2:トラブルが起こったのはどちらの実習先でしたか?

今回の回答者のなかでは、3割弱が指導薬剤師・実習先となんらかのトラブルを経験したと回答。実際に一定数の薬学生はトラブルに遭遇していることがわかります。なお、病院よりも薬局の実習期間中にトラブルに見舞われる薬学生が多いようです。

9割以上の薬学生がトラブル発生時「我慢」

表3:トラブルの内容

表3:トラブルの内容
  • 指導薬剤師・スタッフからパワハラを受けた(高圧的な態度、暴言など)
  • 実習項目について十分な指導を受けていないと感じた
  • 失敗や自信喪失から実習継続が困難になった
  • 時間外での拘束を強要された(セミナーの参加など)
  • 指導薬剤師・スタッフからセクハラを受けた(ボディータッチや過度なプライベート詮索など)
  • 実習意欲が湧かず、指導薬剤師との関係性が悪化した

表4:トラブルの決着について

表4:トラブルの決着について

参加学生からいただいた声

「指導薬剤師・スタッフからパワハラを受けた」
「(指導薬剤師の)私が言ったことには必ず『はい』と言え」と始めから高圧的な態度で、「国試さえ合格すればいいと思っているだろ」「(挨拶しているのに)挨拶もまともにできない」など、たびたび暴言を浴びせられた

「指導薬剤師・スタッフからパワハラを受けた」
「これだから若い子は」など指導とは思えない暴言を吐かれたり、他の実習生や薬剤師の愚痴を聞かされたりして困惑した。患者対応も処方解析もレポートもしっかり行ったが、実習の点数は不可ぎりぎりにされていた。

「実習項目について十分な指導を受けていないと感じた」
指導薬剤師が急きょ他店の薬局長をやることになり、1月当たり3回程度しか顔を見ませんでした。他の薬剤師の方にフォローしていただきましたが、十分な指導を受けられなかったと感じています。また、「異動のことを大学に言わないでくれ」と言われ、責任感のなさにあきれました。

「実習項目について十分な指導を受けていないと感じた」
初めは1日2、3人の服薬指導ができる日もありましたが、次第に1日1人に減り、最後の約3週間は指導を放棄され、まったく服薬指導に携われませんでした。指導薬剤師は他の薬剤師と雑談か、1人でデスクワークをすることが多く、実習生への指導をほとんどしていませんでした。

トラブルの内容としては、高圧的な態度、暴言などの「指導薬剤師・スタッフからパワハラを受けた」が最多、次いで指導薬剤師の指導放棄といった「実習項目について十分な指導を受けていないと感じた」が多い結果でした。
特に注目したいのは表4「トラブルの決着について」です。なんと9割以上が「(トラブルは)解決されず、我慢を続けた」と回答。他の回答項目「和解・解決し、実習を継続した」「指導薬剤師を変更して実習を継続した」「実習先を変更して実習を継続した」「実習を中止した」と回答した薬学生はいずれもゼロでした。

薬学生は、理不尽な対応を受けた時に「自分の態度に問題があったのかもしれない」もしくは「単位のために11週間とにかく耐えよう」と我慢を続けてしまう傾向があるようです。
しかしながら、指導薬剤師が薬学生をストレスのはけ口として暴言を吐いたり、指導を放棄したりすることは決して許されることではありません。また、適切に実務実習を経験できないことは、知識不足・経験不足により就職後に苦労する原因にもなりかねません。
トラブルが発生した時点で速やかに大学に相談することが大切です。

大学に相談する薬学生はわずか2割

表5:最初に相談した相手

表5:最初に相談した相手

表6:どうすればトラブルを回避できたと思いますか?

表6:どうすればトラブルを回避できたと思いますか?
  • 自分で実習先を選べないので、どうしようもない
  • 事態が深刻化する前に第三者に相談すべきだった
  • 学生気分ではなく「現場で働く」ことに、心構えをしておくべきだった
  • その他

実際にトラブルが発生した時は、大学の実務実習窓口に相談するのが基本の対応です。
しかし、表5の通り、実際の薬学生の行動をみると、「友人・知人」が35.7%、「相談しなかった」が28.6%と高い割合を占め、大学に相談した人はわずか21.4%にすぎませんでした。
前述のように、トラブルが発生した際に我慢を続けて無為に時間を過ごすことは、大きな損失です。しかし、トラブルを解決するために薬学生個人の力でできることには限度があります。速やかに大学に情報を共有して実務実習窓口の支援を得ることこそ、解決の近道といえるでしょう。

また、大学側にトラブルの情報を共有することは自分の身を守る以外にも重要の意味があります。
表6「どうすればトラブルを回避できたか」の回答で「自分で実習先を選べないのでどうしようもない」が他を大きく離していることからわかるように、現状、薬学生は実務実習先について大学からの割り振りに沿うしかありません。
だからこそ、指導薬剤師や実習先が原因のトラブルは大学側に共有しないと、実習先の対応が改善されないまま、毎年後輩が不利益を被り続けることになります。
大学にトラブルの情報を共有することが、後輩たちをトラブルから救うことにもつながるのです。

まとめ:先輩から後輩へのエール

いかがでしたか。
最後に、実務実習を終えた先輩薬剤師から薬学生の皆さんへのエールをご紹介します。

いま振り返ると、私の実習先は指導に慣れていなかっただけかなと思います。私は自分で疑問を探して質問することを心がけたら少し改善しました。やる気があれば、大丈夫です!自分から積極的に学んでいってください。

精神的に病んでしまう前に、相談することが大切です。あなたたち実習生は立派な人間であり、罵詈雑言を受け止めるだけのサンドバッグではないのです。

自分の知識や技能を高められ、なおかつ楽しいと思えるのが一番ですが、うまくいかないこともたくさんあると思います。しかし、トラブルは毎日起こるわけではなく、うまくいったと思える日もあるはずです。頑張ってください。

これまで実務実習のトラブルについて説明してきましたが、実際には問題なく実務実習を終える薬学生がほとんどです。
トラブルが起こったときは、「我慢せずに大学に相談する」ことが唯一にして最大のポイントです。この1点だけ頭の片隅において、実務実習で多くの学びを得てください。