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2011年05月23日

アンケート内容「東北地方太平洋沖地震を受けて薬剤師としてできることとは?」

薬剤師の転職支援サービスを行うエムスリーキャリア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:信長 努)は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を受けて、医療従事者専門サイト『m3.com』薬剤師会員340名を対象に「薬剤師としての環境の変化や意識について」アンケート調査を実施しました。

調査期間
2011年4月22日~4月28日
調査対象
『m3.com』薬剤師会員 340名
調査方法
インターネット調査
薬キャリ
https://pcareer.m3.com
リリースページはこちら
https://pcareer.m3.com/release/110523.html

災害時の薬剤師マニュアル、50%以上が「知らなかった」

問1各薬剤師会が発行している「災害時の薬剤師マニュアル」の内容を把握していますか?

今回の震災で各薬剤師会が発行している「災害時の薬剤師マニュアル」を初めて知った方、震災後もあることを知らなかった方を合わせると50%を超えていて、「災害時の薬剤師マニュアル」自体の認知度が低いことが判明した。

薬剤師の重要性、70%以上が「薬剤師の重要性を改めて感じた/誇りに思った」

問2今回の震災を経て、薬剤師に関しての考え方が変わりましたか?

今回の震災により、薬剤師の方々の73%が災害時には薬剤師が思ったより必要とされていると感じたり、薬剤師の重要性を改めて再認識したりした結果となった。

薬剤師の重要性を認識した理由として以下のコメントが寄せられた。

  • 薬品不足が顕著になった時点で、ジェネリックの使用など、一般名とブランド名を一番よく把握している薬剤師しか即座にできないことが多いと思った。
  • 実際、現地で救護活動をしてきて、医師は自分が使用したことのある薬しかわからないことから、薬剤師の知識が非常に重要であると感じた。

また、反対に「災害時には薬剤師のやるべきことが少ないと感じた」と答えた方は5%となっているが、理由としては以下のコメントが寄せられた。

  • 医師や看護師のように具体的な医療行為を実施できないので、何ができるのかがわからなかった。
  • 昨今は電子機器のデータベースに頼ることが多く、停電の状況においては十分な対応ができない。

被災地の方に呼びかけたいこと、40%が「感染予防」

問3薬剤師として、被災地で避難されている方々に特に呼び掛けたいことをひとつ教えてください。

一番多かったのが、「感染予防」で40%、次に「水・食事摂取の推奨」22%、「トイレを我慢しないこと」12%と続いている。

感染予防」と回答した方からは理由として以下のコメントが寄せられた。

  • さまざまな人が避難所で生活しているので、一度感染者をだしてしまうと連鎖的に蔓延し二次災害に発展してしまうから。
  • 集団生活における最も危惧しなければならない疾患であるから。メンタル面でのフォローも大事だが、避難している方達が自身で出来る事は感染予防であると考えられる。

薬剤師が力になれると思うこと、「代替薬に関する情報提供」「救護所での救済支援」「支援医療品の仕分け」

問4薬剤師の立場で自分自身が特に力になれる思うこととその理由をひとつだけ教えてください。

「代替薬に関する患者への情報提供」29%、「現地の救護所での調剤等の救済支援ボランティア」28%、が一番多く、その次に「支援物資集積所などでの支援医療品の仕分け」18%となっている。

「代替薬に関する患者への情報提供」のを選んだ理由として下記のコメントが寄せられた。

  • 医師は薬物療法において処方の面ではプロである。しかし、同効薬や同じ構造等の特性を見分けられるのは、薬剤師しかいないため。
  • 地域ごとに汎用されている薬のメーカーも違うし、今まで服用していた薬が手に入るとは限らない中で患者の不安感を和らげる必要があるため。

実際に支援したいボランティア内容、40%が「医師・看護師チームと連携した支援」

問5被災地へボランティアに行く場合、特に支援したいこととその理由をひとつだけ教えてください。

「医師、看護師とチームを組んでの支援」が40%と一番多く、「服薬等に関する相談窓口」22%、「支援医療品の仕分け」19%と続いている。
やはり現地で、医師、看護師とチームで動く方が効率がいいと考えている方が多いようである。

「服薬等に関する相談窓口」を選んだ方々からは理由として下記のコメントが寄せられた。

  • 服薬だけに止まらず、健康管理等、薬に関するすべてについて直接被災者と話せるため。
  • 通常時よりも被災した今の方が患者からより多くの質問を受けると思われ、避難所などでは薬剤師の職能を発揮して薬剤管理指導などで患者の不安を軽減させる責任があるため。

今回の震災と転職は無関係、90%以上の方が震災を機に「特に転職は考えていない」

問6今回の震災を機に転職を考えましたか。考えた方はその理由も教えてください。

本設問に関しては、90%以上の方々が、「特に考えていない」という結果となった。ほとんどの方が震災を機に転職を考えていない様子。

逆に「転職について考え始めた」という方の中には、以下のように震災時での職場の対応に不満がもった方がいたようである。

  • 職場にボランティアへの理解がないから
  • 今回の震災についての会社の対応。

被災地の薬剤師を転職先として受け入れる環境がある職場は24%。

問7あなたの勤務先は、被災地の薬剤師を転職先として受け入れる環境がありますか?

「受け入れる環境がある」24%、「受け入れる環境はないがあった方がいいと思う」27%となっていて半数以上が受け入れについて考えられるとの回答だった。反対に受け入れる必要がないと考えている方はわずか3%だった。

被災地へのボランティア募集の要請は各薬剤師会や職場から。

問8今回あなたは被災地への薬剤師ボランティア募集の告知を直接見たり聞いたりしましたか?

「被災地もしくは日本薬剤師会などの機関から…」41%、「勤務先…」18%となっている。「そうした情報を耳にしなかった」のは9%だった。

今回の災害で良く売れているOTC商品は「風邪薬」「鎮痛薬」。

問9災害時によく売れているOTC商品はなんですか?

風邪薬、鎮痛薬が一番多く売れているようで、次に衛生用品(消毒薬、マスクなど)を記述した方が多かった。その他には、感冒薬、うがい薬(イソジン系)、下痢止め、栄養ドリンク、使い捨てカイロ、胃腸薬(整腸薬を含む)などがあげられた。

薬剤師として誇れるもの、薬の知識だけではなく「患者の相談にのれること」。

問10薬剤師として自分が誇れるものは何でしょうか。

以下がコメントとなっています。やはり薬の専門家として誇りを持っている方が多いようです。

  • どの様な職種についていても薬の専門家である。こんな時こそ、実務家教員は医療支援に手をあげるべきと考える。また、現場では薬剤師がバイタルサインを読み取りアセスメントできればと強く感じた。
  • 医師、看護師への薬剤の情報提供。患者への適切な薬物治療の啓蒙。
  • 多くの疾患について、病態を知っていること。臨床検査技師でもあり、検査値の見方について説明してあげられること。体質により、適さない薬をある程度理解できること。
  • 今行っているお薬手帳の活動や患者との信頼関係の向上がいざという時に必ず役に立つという信念をもって業務を行える。
  • 薬剤の代替え(選択の相談)、調剤、精神的なフォロー等への専門性を発揮し、実践できること。
  • 薬や病気に関して不安に思っている患者に対して、相談にのれること。
  • 量販ドラッグストア、病院、調剤薬局など、薬剤師としては多方面の職歴があるので、マルチに対応が出来ると思っている。

日本が元気になるために必要なこと、「協力」「求心力のあるリーダー」「信じること」。

問11今後、日本が元気になるために必要なものは何でしょうか。

以下がコメントとなっています。これに関しては薬剤師というより国民としての意見が多かったです。

  • 自分の我を強く持つのではなく周りをよくみてともに協力すること。
  • 昔のよき日本人の奥ゆかしい部分を取り戻すことにより、消費大国から脱却すること。求心力のあるリーダー。
  • 笑いと義捐金。
  • 原子力にかわるCO2を出さないエネルギーの開発。災害時用のロボットの開発。
  • 日本は必ず復興できると信じること。
  • 風評被害を無くし、被災地域の経済の発展を優先させること。

ボランティア体験談、「激務、混乱のなか継続的な支援の必要性を感じた。立ち上がれ、薬剤師。

問12実際に被災地にボランティアに行った方にお聞きします。被災地の状況や体験談などがあれば教えてください。

以下がコメントとなっています。

  • 震災2週間後に宮城県石巻に医療ボランティアとして行きました。避難所の衛生状態の格差がありました。せっかく、クレベリンがあるのに箱に入ったままだったり、OTCがあるけど係の方が被災者から咳止めと聞かれて困っていた。薬剤師が居るからと母親の薬を調べてと他の避難所からこられた被災者も居ました。人手としてのみならず、薬剤師の職能も求められていました。明日から、再び被災地に行きます。継続的な支援が必要です。立ち上がれ、薬剤師。
  • 海岸線はこれ以上無いくらい破壊されていました。自分たちは少し丘の上に県として診療所を開設していたのですが、激務でした。まだまだ長期的支援が必要でしょう。行けと言われればいつでも行きます!
  • 阪神と中越地震の時に薬剤師会から派遣されました。どんどん送られてくる救援物資にあらゆる薬が専門家不在では仕分けできない状態で混ざってきます。
  • 被災地の方の心は被災を受けなかった方と違い精神的なダメージが通常のものとはかけ離れています。「かわいそうだから、がんばってほしから」と言うような感じでは接してはいけないと感じました。只々、同じ苦しみを寄り添ってお手伝いをする気持ちが必要と感じました。またその人の苦しみなどの環境を分けてもらう事はその人の人生の一部を自分も共有して一生持ち続ける事になると思います。
  • 法規制が緊急時には障害になった。処方せん薬が目の前にあっても医者がいないと新たに薬が出せない。OTCの成分を増やすことが出来ていれば助かる患者はたくさんいたと思う。
  • 自分から声をかけたおばあちゃんが、インスリンをなくしてしまい血糖値がとても高くなっていた。医務室にあるインスリンの調節方法を指導しながら話を聞いていると、家族を目の前で津波に流された話をしてくれた。普段精神科での対応は知っていたが、そのような状況でどのように声をかけたらいいのかわからず、一緒に泣くしかなかったことがとても情けなく、もっと力になれるようになりたいと感じた。
  • 医療費の負担について、情報が混乱しており、自己負担分の猶予の通知が出ているにもかかわらず、全額自己負担を求められるケースがあった。
  • 地震が起きた翌日夜DMATの一員として仙台に行きました。多くの隊が既に活動しており、医療支援に対する意識の高さを感じました。残念ながら、超急性期では、あまり薬剤師として活動することはできませんでしたし、そのニーズもあまり高くなかったように感じました。ただし、医療人として活動できることはとてもたくさんありましたので薬剤師にこだわらず活動することも大切かと思います。
  • 当時行政が破綻し人材不足であるがどこに派遣していいか分から今回の震災は地震よりむしろ津波の被害による方が大きい。そのため外傷患者は少ない。つまり、歩けない人、怪我をした人はほとんど死んでいると考えられる。救護診療所を受診される方は比較的元気で、慢性疾患の薬剤の継続を希望される方が多い。その他は、風邪症状、特に咳を訴え人が多い。
  • 医療チームとして被災地に入りました。3/16~21。携帯電話が通じず電気以外のライフラインも止まっていました。情報伝達と水は非常に大切であると感じました。当時は震災後約1週間で避難所に1200名ほどいらして、衛生状態が悪くなっていました。嘔吐下痢が増えてきたのですが、水は出ない、隔離できない、後方搬送の病院の状況が分からないなど苦労したのを覚えています。
  • 今回は、発災害後3週間ほどして、日赤石巻薬剤部での支援にあたった。全くと言っていいほど、被災された方の顔をみることのない業務に最初大変戸惑いました。しかし、医療チームへの医薬品の払い出しや、調剤も実は、病院スタッフや医療チーム、そして何よりも被災された方々に対する直接的な支援だと気づくことができました。TVに映っている医療チームなどだけが被災地における支援ではない。お日様の当たらない場所(人目につかない場所)に薬剤師が居てこそ、地上の活動が滞り無く遂行できるんだ。そんな使命感に燃え、薬剤部に詰めていた支援薬剤師は摂るものもろくに摂らず、一休みをするでもなくフラフラになりながら業務に就いていたように感じられました。そんな先生方とも出会えることができ、良い経験になりました。復興にはまだまだ時間がかかります。それを支えていくのも一人ひとりの薬剤師であり、人。薬剤部で出会った先生方、そして同じくしてその他の地区、部署で懸命に活動されていた方々、そして後に続く志を同じくする人々、そんな人たちがいてこそ復興の光がみえてくるように思います。
  • 物流は問題なく行われているが、被災者の不安が多大。集団生活にも限界があるため、プライベートな空間の確保、QOLの向上が必要だと思う。

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