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2020年診療報酬改定の主な変更点と薬剤師が意識すべきポイント

近年の調剤報酬改定は、かかりつけ機能や健康サポート機能に代表される「対人業務」と、地域包括ケアシステム実現に向けた他職種連携に資する「地域医療への貢献」が重視されています。2020年度診療報酬改定は抜本的な変更はなかったものの、「対物業務から対人業務への転換」「薬局と病院・クリニックの連携」など業務内容の変革を促すものとなっています。改定の内容から行政が求める薬剤師像をしっかりと掴み、キャリアプランの作成に生かしていください。

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2020年度診療報酬改定の押さえておくべきポイント

2020年度診療報酬改定のポイントは以下の表の通り。まず「かかりつけ機能の評価」と「対物業務から対人業務への構造的な転換」の2本の大きな柱があり、次いで「在宅業務の推進」「後発医薬品の使用推進」「ICTの活用」「残薬への対応の推進」が並びます。
今回は、これらのなかから薬剤師の働き方に影響を与えるトピックを重点的に紹介します。

かかりつけ機能の評価

「かかりつけ薬剤師指導料」の引き上げ

「かかりつけ薬剤師指導料」が73点から76点に、「かかりつけ薬剤師包括管理料」が281点から291点に引き上げられ、薬局ではこれまで以上にかかりつけ薬剤師を配置する重要度が増しました。一方、施設基準に「患者のプライバシーへの配慮」が盛り込まれ、患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようにパーテーション等で区切るなどの工夫が求められるようになりました。

重複投薬解消に対する取り組みを評価

薬局における対人業務の評価の充実の一環として、重複投薬解消に対する取り組みを評価した「服用薬剤調整支援料2」が新設されました。かかりつけ薬剤師として、患者の服用薬を一元的に把握し、重複投薬の解消に貢献できる人材が求められています。

対物業務から対人業務への構造的な転換

吸入薬指導加算、調剤後薬剤管理指導加算、特定薬剤管理指導加算2

対物業務から対人業務への転換については、より患者の薬物治療に貢献する行為を評価する改定が行われました。なかでも特徴的なものが下記の3つの加算。

吸入薬指導加算…喘息などの患者さまに対する実技指導を評価
調剤後薬剤管理指導加算…糖尿病治療薬の適正使用を継続的に確認
特定薬剤管理指導加算2…がん患者の薬学管理と医療機関との連携

高齢者によっては使い方の理解が難しい吸入器の実技指導をしたり、継続的な服薬がことさら大切な糖尿病患者を継続フォローしたり、がん患者の服薬状況を関係医療機関と共有したりと、患者の薬物治療に寄り添った行為に点数がつきました。
患者に寄り添った医療提供ができる薬剤師を評価しようという行政の姿勢は明らかと言えるでしょう。

薬局の売上増に関わる項目と重視される薬剤師の業務

2020年度診療報酬改定を受けて、薬局は今後どのようなことに注力していくのでしょうか。薬局の売上に関連する内容と、算定に伴う薬剤師の業務内容の変化について解説していきます。

「かかりつけ機能」の強化に伴うかかりつけ業務

前述のように、「かかりつけ薬剤師指導料」の評価が76点に引き上げられました。 通常の薬剤師が対応した場合、算定できる点数は「薬剤用歴管理指導料」の43点もしくは57点(来局頻度などによって変わる)であることを踏まえると、かかりつけ薬剤師の対応により大幅な収益アップが見込めます。
かかりつけ薬剤師指導料の要件に含まれる「24時間対応」「継続的な服薬状況の把握」については、薬局薬剤師として「できて当然」の業務になりつつあると言えます。

「地域支援体制加算」の算定に伴う地域医療への貢献

地域支援体制加算は施設基準や要件が厳しく、ハードルが高い加算であるものの、要件を満たせば処方箋1枚あたり38点の算定が認められています。2018年度診療報酬改定では調剤基本料1以外の薬局の実績要件が非常に厳しく、算定は非現実的と言っても過言ではない状況でした。しかし、2020年度診療報酬改定により要件が緩和されたため、算定に乗り出す薬局が増えるでしょう。
これにより現場の薬剤師には、「在宅医療の実施」や「地域の多職種連携会議への参加」などの業務が求められる可能性があります。

「後発医薬品調剤体制加算」の算定に伴う後発医薬品切り替えの提案

後発医薬品調剤体制加算は、数量割合85%以上の薬局では点数が26点から28点に引き上げられました。一方、数量割合75%以上の薬局は18点から15点に下がっています。さらに、数量割合の低い薬局に課されるペナルティが数量割合20%から40%へと高くなりました。
薬局ではこれまで以上に後発医薬品の切り替えが重要になったため、現場で働く薬剤師には後発医薬品の切り替えの提案がいっそう求められるでしょう。

今後の薬剤師には「対人業務」と「地域連携」が不可欠

2020年度診療報酬改定の内容から、今後求められている薬剤師像をまとめてみましょう。

  • かかりつけ薬剤師として働けることは大前提
  • 患者の薬物治療に貢献する「対人業務」を実践できる
  • 地域の医療機関・介護施設と情報を共有し連携できる

処方箋を受け取るだけで自動的に算定できる点数は年々縮小ないし廃止されており、薬剤師の積極的な取り組みによって算定できる加算は大きく変わる時代になっています。特に2020年診療報酬改定では、患者に寄り添った服薬指導を評価する項目が複数新設されたほか、医療機関や医師との連携を評価する内容が要所に盛り込まれています。
十分な薬学知識は前提として、患者や医師と積極的にコミュニケーションをとれる薬剤師の市場価値が高くなると言えそうです。

また、紹介してきたように「かかりつけ薬剤師」と普通の薬剤師では、患者に提供できるサービスも、薬局の売上に貢献できる力も大きな差があります。
実際、転職市場ではかかりつけ薬剤師としての実績がある薬剤師のほうが、実績のない薬剤師よりも内定が出やすい傾向は既に見られており、かかりつけ患者件数は面接において重要なアピールポイントのひとつになっているのです。薬局によっては、研修認定薬剤師の資格取得者に手当を設けているケースもあります。
もし、かかりつけ薬剤師になるために必要な「調剤経験3年以上」「研修認定薬剤師の取得」を満たしていないという人は、なるべく早めに要件をクリアすることをおすすめします。
どんな職場で経験を積むべきかお悩みでしたら、薬剤師専門の転職エージェントに相談しましょう。一人ひとりのキャリアプランを踏まえて、最適な職場を提案してくれます。

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