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薬剤師は不足している?職業としての将来性は?求人倍率や地域データから現状を把握

「薬剤師数は増え続けているので、数十年後には供給過多になる」と言われることがありますが、実際にどのような状況にあるのか、ご存知でしょうか。今後の薬剤師に対する需要の増減によって、募集される求人の数や待遇に違いが出てきます。これからのキャリアアップを考えている方にとっては、気になる問題です。現在から未来に向けて薬剤師の需要はどうなっていくのか、データをもとに考えてみましょう。

薬剤師は不足している?職業としての将来性は?求人倍率や地域データから現状を把握


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薬剤師は不足している?薬剤師の需給の現状

「薬剤師は売り手市場だ」といった声がある一方で、「薬剤師は飽和している」「AIに代替されて仕事がなくなる」という意見もあります。実際にはどちらがより正確なのでしょうか。

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薬剤師一人当たりの処方箋枚数は減少傾向

 まずは薬剤師の供給の現状について見てみましょう。薬剤師数は1970年ごろから一貫して増加傾向にあり、2018年末の時点で31万1,289人、前回調査の2016年から3.3%増加しています。業種別にみると、薬局に勤務する薬剤師は全体の半数を超えており18万415人、病院・診療所に勤める薬剤師が5万9956人です。つまり、薬局と病院・診療所で約8割の薬剤師が働いているのです。

 一方、薬剤師の需要を図る指標のひとつに処方箋枚数があります。処方箋枚数も年々増加しており、2018年度は5億9613万枚でした。では、ここで薬局に勤務する薬剤師の一人当たりの処方箋枚数の推移を見てみましょう。

年度 薬局薬剤師数 処方箋枚数
(万枚/年)
薬剤師一人当たり
処方箋枚数(枚/年)
2012年度 153012 78,986 5,162.1
2014年度 157105 80,831 5,145.0
2016年度 166670 82,999 4,979.8
2018年度 180415 84,361 4,675.9

出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」「調剤医療費(電算処理分)の動向」「衛生行政報告例」より編集部作成

 上の表から、薬剤師一人当たりの処方箋枚数は年々減少していることがわかります。つまり、処方箋枚数を軸に考えると薬剤師の需要は徐々に充足していると言えそうです。

有効求人倍率が急速に減少

 では、次に有効求人倍率から薬剤師の需要を見てみましょう。
一般的に有効求人倍率が高いほど、労働者1人あたりの求人数は多く、「売り手市場」の状態といえます。
 2020年9月の「医師・薬剤師等」の有効求人倍率は2.01でした。全体平均の有効求人倍率が0.97ですから、「医師・薬剤師等」の転職のしやすさは他の職業に比べれば売り手市場と言えるでしょう。

 しかし、その推移をみると明らかに年々有効求人倍率が下がっています。有効求人倍率を軸に考えても、薬剤師の需給バランスは供給側に傾いていることがわかります。

・医師・薬剤師等の有効求人倍率

年月 有効求人倍率
2016年9月 5.92
2017年9月 5.25
2018年9月 4.4
2019年9月 3.49
2020年9月 2.01

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況について」より編集部作成

人口10万人当たり薬剤師数から見る薬剤師の需要

 人口10万人当たりの薬剤師数は、全国平均で190.1人です。
一般的に、この平均値を下回る地域では特に薬剤師の需要が高まります。人口10万人当たり薬剤師数が平均以上なのは、徳島県・東京都・兵庫県・広島県・大阪府・山口県・香川県・福岡県・高知県・神奈川県・佐賀県の11の地域。つまり、残り36の道府県では程度に差はあれども薬剤師が平均よりも不足していると言えます。
こうした地域偏在は都道府県レベルにとどまらず、市町村レベルでも存在しています。たとえば、北海道の薬剤師は全体の46%が札幌市に集中しており、地方部では深刻な薬剤師不足です。さらには無薬局町村も存在しており、薬剤師による患者支援が受けられない地域すらあるのです。
 以上のことから、薬剤師の需要は地域によっては依然として高いと言えるでしょう。

出典:平成30年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況 
関連記事:都道府県別 薬剤師年収ランキング(2020年版) 

薬剤師の需給予測

長期的に見ると供給が需要を上回る見込み

 これまでさまざまな軸で現状の需給バランスを見てきました。次は、今後の需給バランスについて見ていきましょう。次のグラフは、2019年に公表された厚生労働行政推進調査事業の「薬剤師の需給動向の予測および薬剤師の専門性確保に必要な研修内容等に関する研究」の資料です。

出典:厚生労働省「薬剤師の需給調査方法(案)」より 平成30年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
「薬剤師の需給動向の予測および薬剤師の専門性確保に必要な研修内容等に関する研究」(分担研究者 長谷川洋一 名城大学薬学部)

 この研究では薬剤師の需給予測について、「今後数年間は需要と供給が均衡している状況が続くことになるが、長期的に見ると、供給が需要を上回ることが見込まれる」としています。
 この推計は、薬局や医療機関における薬剤師の業務が2018年時点から変わらない前提にしたものです。今後の薬剤師に求められる業務の変化や調剤業務の効率化などによって変わり得るため、単純にこの推計通りに推移するかはわかりませんが、未来の需給バランスを考えるうえで重要な資料と言えるでしょう。

薬剤師の需要に影響を与える要因

 薬剤師の需給バランスは将来的に供給が上回る見込みですが、需給に影響を与えるさまざまな要因があります。そのなかでも代表的なものを紹介します。

◆テクニシャン制度

 欧米ではピッキングや薬剤の調製などの作業を代行する「テクニシャン」が配置されており、薬剤師が管理指導や薬物治療など専門性の高い業務に集中できる環境が整っています。
日本では2019年4月2日より、一定の要件を満たした薬剤師以外の職員が、薬剤師の指示のもとピッキングなど一部の作業を代行できることが明示されました。欧米のテクニシャンに比べてその裁量は限定的ですが、薬剤師不足の緩和に寄与する制度として注目を集めています。

◆対物業務の機械化

 今後は技術の進歩によってAIやロボットによる単純業務の代替も考えられます。まだごく一部の薬局に限られますが、薬剤師の指示を受けると自動でピッキングするマシーンが導入されている店舗は存在しており、技術革新によって一気に普及する可能性もあるでしょう。

◆新型コロナウイルスの感染拡大に伴う患者行動の変化

 全世界的にさまざまな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの感染拡大ですが、薬剤師の需要側にも影響を与えています。感染防止のため「処方の長期化」と「患者の受診控え」が発生し店舗当たりの処方箋枚数が減ったことで、薬局の薬剤師の需要も減少しているのです。 次のグラフを見ると、処方の長期化はピーク時で前年度比120%近く伸び、患者数は前年度比約80%まで落ち込んでいることがわかります。

出典:株式会社医療情報総合研究所「緊急事態宣言解除後、処方日数は減少傾向、患者数は横ばい 各種感染症患者は大幅減~JMIRI 処方情報データベースにおける調査より~」

 2020年12月現在、新型コロナウイルスの感染拡大が鎮静化する見通しが立っていないうえ、仮に沈静化しても患者行動や処方日数が感染拡大以前に戻るかどうかは不透明です。
一方でオンライン服薬指導の普及は徐々に進んでおり、中長期的には薬剤師数の地域格差が軽減されていく可能性があります。以上を踏まえると、新型コロナウイルスの感染拡大による薬剤師の需要減少について、一過性のものと楽観視することはできないでしょう。

薬剤師が余る時代に備えて自己研さんが必要

 これまで紹介してきたように薬剤師が余る時代は徐々に近づいていると言っても過言ではありません。薬剤師不足の現状では好条件で働けているとしても、日ごろの学習を怠ったり、むやみに転職を繰り返したりするのは危険と言えるでしょう。能力やスキルがない人材が好待遇で転職することはこれまで以上に難しくなっていきます。
 薬学のプロとして十分な知識・経験をもち、多職種と連携を取れる人材になることが必要です。

かかりつけ薬剤師や在宅薬剤師として地域医療に貢献

 健康サポート薬局制度やかかりつけ薬剤師・薬局制度、在宅医療など、地域医療における薬剤師の重要性は高まっています。
現在は薬剤師以外の医師や看護師が担っている業務を薬剤師が適正に行うよう推進する動きも活発になっているため、薬剤師の仕事範囲は広がっていくでしょう。
また、これまでの薬剤師は「薬」に対する業務が中心でしたが、「かかりつけ薬剤師・薬局」「健康サポート薬局」を推進すべく、「人」に対する業務に変化しつつあります。知識と経験に加えて高いコミュニケーション能力も求められるようになりました。こういった業務はロボットやAIにも代替されにくいため、将来性も期待できます。

 後は多様化する需要に応えられるよう、自分に磨きをかけていくことがますます重要となっていくでしょう。(詳細は「薬剤師の転職市場に異変!今後評価される市場価値とは」をご覧ください)

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